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修羅場

 藤林との熱い抱擁が終わり、俺たちは二人揃って菜奈の部屋を訪れた。


「やっと終わったの?」


 菜奈は寝ぼけ眼を擦りながら部屋から出てきた。


「まあな」


 だがオレたちの姿をひとめ見て、菜奈は一瞬で目を覚ました。


「ど、ど、ど、ど、ど、どう言う事!」


 菜奈が驚いた原因は藤林がオレの腕にしがみついていることだ。


 因みに胸の感触はバッチリだ。


 この感触は菜奈では味わえない。



「藤林さんの記憶は?」


「消さなかった」


「え……意味わかんないんだけど」


「そう言うことだ」


「すみません、そう言うことなんです」


「はあ————————っ?」


「ん——っ、アレだ……」


「アレって何だよ!」


「2人目の例外だ……」


「例外って……見逃すってこと?」


「まぁ、そうなるかな」


「そんなわけで、美優みゆの事もよろしくな」


 オレはしがみつかれていない方の左手で、美優の頭をポンポンとしてやった。


 もうみんな忘れてるかも知れないが、美優は藤林の名前だ。藤林美優、可愛い名前だろ?


「み、み、み、美優!」


 過剰に反応する菜奈。


「恥ずかしいわ、一奏」


「い、い、い、い、一奏!」


 こう……テンプレ通りに反応してくれると嬉しくて仕方ない。


「て……ていうか、何日も徹夜だったんでしょ? 2人とも何でそんなにつやつやなのよ!」


「いやあ、そりゃ……頑張った結果だ」


「……うん」


 顔を赤くして目を伏せる美優。



「ダハァァァァァァッ!」


 頭を抱えて叫ぶ菜奈。


 面白すぎる。


「そんなわけで、美優もここに住ませるから、そのつもりで」



「えっ」


「よろしくお願いいたします」



「一緒に住むだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「ああ、仲良くしてやってくれよ」


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ! いくら何でもそれはダメでしょ?」


 美優の同居に抵抗する菜奈。


「なぜダメなのですか?」


 菜奈に食い下がる美優。


「一奏の身の回りの世話は私だけで十分だし、ほら、若い男女が一つ屋根の下で暮らすと、間違いが起こるかもしれないじゃん!」


「間違いが起こらないように私がここに住むのですよ?」


 面白いからしばらく静観しよう。


「え……」


「一奏が菜奈さんと、乱れた暮らしをしないためです」


「み、み、み、乱れてなんかないし!」


「いくら菜奈さんの胸がお粗末でも、下着姿でウロウロしたり、一奏を誘惑されたら困るんです」


「お……お……お粗末いうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 胸を突き出す美優。少し菜奈がかわいそうになってきた。


「そ……そんなのただの駄肉じゃない! 形の良さだよ!」


「私……形にも自信ありますよ?」


 風呂で見たが、確かに美優の形はすばらしかった。


「さ……触り心地も重要だよ! 一奏はいつも手のひらサイズ最高だって言ってくれるもん!」


 確かに、菜奈の手のひらサイズは中々のものだ。


 だが、美優の指の間から溢れるあの感触を味わった後では、菜奈の手のひらサイズは物足りなさを感じてしまう。


「一奏に決めてもらえば?」


 え……いいの? そんなハーレム展開あっていいの?


「え……藤林さん本気で言ってる? 触らせるの? 一奏に?」


「いつも触らせてるのでしょ?」


「ち、ちげーよ! 触られてるんだよ! 触らせるのと触られるのでは違うんだよ!」


「じゃぁ、やっぱり一奏が悪いのですね」


 あれ……なんか矛先が……。


「そう、そうだよ! いつもいつも気がついたら……人の胸を何だと思ってんだ!」


「どうなの一奏?」


「い……いや、どうなのと言われても」


 なんだろう……今の状況がわからなくなってきた。


「つかさ、藤林さんいつまで一奏にくっついてるの! 離れなさいよ!」


「いやよ」


「なぬ!」


「だって……私と一奏はもう……」


 誤解を生ませるように発言をしてきたが、これは決定的だ。


「い、一奏! 本当なの!」


「い……いや、それは」


「それはってなに? さっきの熱いキスは嘘だったの?」


「いや、ちがっ」


「き、き、き、き、キス——ぅ!」


「ほら……その……なんつーか、勢いで……」


「勢い……好きでも無いのに勢いでキスを?」


「いや、そんなことはないぞ! 俺はちゃんと美優が」


「俺はちゃんと美優がって……一奏!」


「菜奈……お……お前も」


「お前も?」


「「一奏!」」


 美優には『無かった事にする』が通用しない。


 結局、俺はこの後も2人に責められ続けた。


 新たな境地が開けるかと思ってしまった。



 本作が気になる。応援してやってもいいぞって方は、

 ★で評価していただけたりブクマ、感想、レビューを残していただけると非常に嬉しいです。


 よろしくお願いいたします。

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