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異能

 修羅場にはならなかった。


 まあオレと菜奈はそんな関係ではない。……藤林もだけど。

 

 藤林に用意した男物の着替えは菜奈的に却下ということで、藤林を菜奈に任せてオレはリビングで待つことにした。


「お待たせ!」


 菜奈とつれだってきた藤林の胸が、はち切れんばかりだ。


 同じ女子でも菜奈と藤林ではランクが違う……悲しい現実だ。


「おい、今なんでボクを哀れむような目で見た」


「あ……ああ、悪い、つい……」


「ついってなんだよ! ついって!」


「いや……2人が並んでたらさ……言わなくてもわかるだろ?」


「なんだよ! いつもボクのおっぱいは手のひらサイズでちょうどいいとか言いながら、触りまくってるくせに!」


 否定はしない。そこに山があれば登りたくなるものだ。だが……より大きな山が目の前にあると、そちらに登りたくなるのが自然な流れなのだ。


「なんだよ、触ってほしいのか?」


「ちげーよ!」


 なんて馬鹿な話しをしていると藤林の分かりやすい咳払いが聞こえてきた。


「悪い、藤林」


「ず……随分乱れた生活を送っているようね……」


「冗談だよ冗談、オレはちっぱいには興味ないし」


「ちっぱい言うな! もう触らせないぞ!」


 それは困る……後でこの件を菜奈の記憶から『無かったこと』にしておこう。

 


「それはそれとして浅井くん……なんか色々迷惑をかけちゃってゴメンなさい」


 それはそれとしとくんだ。


「いや……こっちこそ、なんかありがとう」


「ありがとうって何よ!」


 しまった……つい本音が……でも、やっぱ藤林可愛いな。


「忘れないうちに渡しておくね」


「あ、ああ」


 そうだそうだ、藤林はプリントを渡しに来ただけで風呂に入りに来たのでは無かった。


「じゃぁ、私はこれで……」


「送って行こうか?」


「大丈夫、すぐそこだから」


 すぐそこなのに、オレんで風呂に入ったのか……ま、いい思いしたから別にいいけど。


 そしてオレは藤林を見送った後で、思い出した。


 飯……買いに行くんだった。



 オレがうなだれていると菜奈が……。


一奏いちかちょっといい?」


「ああ」


「あの子……能力者だったよ」


 そうか……だから、オレの『無かったことにする』が打ち消されたのか。だが、藤林が異能で『無かったことにする』を打ち消したようなそぶりはなかった……どう言うことだ。


「何よ、黙りこくっちゃって……何か心当たりでもあるの?」


「まあな」


「きゃっ!」


 とりあえず、このままだと欲求不満になりそうだから菜奈のおっぱいを触っておいた。


「何すんだよ! いきなり!」


「ちょっと大きくなってたみたいだから、確認しておいた」


「えっ! マジ! マジなの!」


 もちろん嘘だ。



 ——この世には異能が存在する。


 なんて馬鹿な話しと思うかもしれないが事実だ。


 オレも10年前の襲撃事件まで、異能の存在なんて信じていなかった。


 オレは10年前の襲撃事件で全てを失った。


 そんなオレに残ったのがこの異能『無かったことにする』だ。


 実はオレ、浅井一奏あさいいちかは27歳、加齢を10年ほど『無かったこと』にしている。


 菜奈は襲撃事件の襲撃者の1人。


 異能により洗脳状態であったこと、命乞いをしてきたこと、絶対服従を誓ったことで、オレと同じ十字架を背負わせ、そばに置いている。


 ちなみに菜奈の異能は、能力者を見分ける異能。


 だから藤林が、能力者と分かったのだ。


 オレは異能を与えることができる、能力者を探している。


 それが10年前の襲撃事件の首謀者だからだ。


 まあ、平たく言えば復讐のためだ。


 だが、奴はなかなか表に姿を現さない。


 だからオレは若返ってまで、学校に通っているのだ。


 オレの通う千秋学園せんしゅうがくえんは能力者が異様に多い。


 教師なのか、俺みたいに異能で学生に紛れ込んでいるのかは分からないが、奴は必ずこの学園にいる。


 オレはそう睨んでいる。


 オレはオレから全てを奪ったヤツを許さない。



「きゃ————っ!」


 菜奈! 浴室からだ。


 もしかして藤林の異能絡みか?


 オレは急いで浴室に向かった。


 そこで見たものは、信じがたい光景だった。

 

 

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