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60話 レッドドラゴン戦再び1

「ここが、レッドドラゴンの巣なのですか……」


 壁の入り口近くは血まみれで、その壁面は激しく暴れている様子が見てとれた。入口でのこの状況を見て、よくあのエルフの幼女は生き残っていられたものだと思ってしまった。特段隠れるようなスペースもほとんど見受けられず、あの凶暴なレッドドラゴンをここまで身近にして過ごしていたのだ。正気の沙汰とは思えない。


「奴は、この奥の広間で寝ている。ここでシャーロットとタマ2号は待機だ。我々が失敗した時は頼む」


 失敗した時というのは全滅した時ということだろうか。怖くてとても聞けない。


「ご武運を。ルーク、無理はしないでくださいね」


 無理はしたくないけども、僕たちが失敗したらシャーロット様が更に代償を必要としてしまう事態に陥ってしまうので、そこは何とかしたいとは思ってはいる。僕も少しは戦えるようになったはずだ。少なくとも前回のようにレッドドラゴンの攻撃から逃げ惑うだけということにはならないはず。


「何とかしてみるよ。一か月前の僕とは違う、特訓の成果を何とか見せたい」


「それでは行ってくる。シャーロット、わかっているとは思うが出し惜しみはするなよ」


「もちろんです」


 シャーロット様にそう言うことで、僕が全力を出さざるを得ない状況に持っていくゴドルフィン様は何というか手慣れている。いや、やってやるつもりだけどね。いつまでもサバチャイさんとポリスマンに頼ってばかりはいられない。


「ルーク、奴も所詮はトカゲよ。しかも寝ているなら先制攻撃ぶっ放し放題ね。パワーアップしたサバチャイの敵ではないよ。今度は尻尾ではなくその首をまるっと斬り落とすね」


 最初は飛べないように翼から攻撃するという作戦は、ちゃんと覚えているのだろうかと不安にさせられる。一応、今回は近くにポリスマンもいるので大丈夫だと信じたい。


「ルークさん、俺にサバチャイさんをどうにかできる訳ないだろう。だって、サバチャイさんだぜ?」


 僕がポリスマンを見ていたことで何かを察したのだろう。心外だとばかりに、サバチャイさんが反応してくる。


「ルーク、もっとサバチャイを信じていいのよ。特に今回は必殺技もあるからね!」


 そう言って、大量に抱えた水袋から一つを開け、飲もうとしてその匂いにやられすぐに蓋を閉めた。何をやっているんだこの人は。


「そろそろ奴のいる大広間だ。静かにしろ」


「は、はい」


「まずは水袋を広間の中央に設置、それからすぐに戦闘配置につけ。いいか! ここを抜かれたら街も親も友人も全てが全滅すると思っておけ。では、作戦開始!」




 持っていた大量の水袋を広間中央に投げ込みながら、全員が指定の位置に辿り着く。レッドドラゴンの後方にサバチャイさんとポリスマンが回り込み、僕とゴドルフィン様とキングは正面前方からレッドドラゴンの様子を窺う。


 深い眠りについていたと思われるレッドドラゴンもさすがにこのドタバタ音に目が覚める。しかも、見知ったピカピカが前方にいるのだからその目覚めも早い。


 しかしながら、先制攻撃はこちらから始めさせてもらう。後方から轟音が鳴り響くとレッドドラゴンの右翼に大きな風穴があいた。


「おいっ、サバチャイさんは左狙えって言っただろ!」

「えっ、ドラゴンから見て左じゃなかったね?」


 ぐぅおおおおおおおおお!!!!!!


 とはいえ、片側の翼が使えなければ空を飛ぶことは難しいはずだ。ダメージを集中させて、右翼を完全に潰せたことは結果オーライともいえる。


「ったく、頼むぜー! って、ヤバっ!?」


 条件反射で後ろを振り返ったレッドドラゴンがいきなりブレスをぶっ放していた。寝起きから激おこなご様子だ。サバチャイさんとポリスマンは分かれるようにして左右にダイビングしながら逃げ延びたはず……。正確にはよく見えなかったのだけど大丈夫だと信じたい。


「ルーク、キング、行くぞ!」


 さて、次は、僕たちの番だ。キングに跨ったゴドルフィン様が正面からレッドドラゴンへ駆けていく。全く、あの人に怖い物とかあるのだろうか……。僕の役割は囮役に近い。なるべく近くでレッドドラゴンの目のつきやすい場所をキープする。そして、場合によっては追撃に参加すること。


 ほらっ、僕のピカピカを見てレッドドラゴンの目が輝いているのを見逃さなかったんだからね! 僕の体はブルブルに震えているけど、これはきっと武者震いってやつなのだろう。拳銃を握りしめながら追撃の隙を窺おうじゃないか。


 目の前では、キングとゴドルフィン様がレッドドラゴンに真っ正面から激突している。真っ向勝負とか頭がおかしいとしか思えないんだけど、上手く力を入れたり抜いたりしながらレッドドラゴンを翻弄させている。ただの脳筋ではないので少し安心出来る。


 体勢を立て直した、サバチャイさんとポリスマンも戦線に復帰。それでも挟み撃ちを継続出来ているのは、ゴドルフィン様がいるからだろう。


 タイミングを見計らって僕も拳銃を撃っていく。


 ぐぅあああああおおおお!


「よしっ、サバチャイ、ポリスマンこっちへ戻ってこい!」


 拳銃の攻撃でレッドドラゴンが膝を地面に着いたその瞬間を逃さずにゴドルフィン様が指示を出す。


 レッドドラゴンの今いる位置は大量のパクチー酒の近くなのだ。

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