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40話 レッドドラゴン襲来4

「ルーク、もっと満遍なく焼かないと、焼きムラができて味が偏るね! もっと、しっかり回すよ」


 僕とサバチャイさん、それからポリスマンは、レイモンド様が用意した屋根のない馬車の上で、ロックリザードの肉を焼いている。ピカピカ鎧の僕はサバチャイさんの調理補助兼、生け贄担当としてお手伝いをしているのだ。


「そんなこといったって、重すぎて……」


 ロックリザードの肉がデカすぎて回すのがとても大変なのだ。一応、手回し式の大型調理器具が用意されているのだけど、既にミシミシと悲鳴をあげていて、いつ壊れてもおかしくない。急きょ用意したものだから、しょうがないとはいえ、せめて僕たち以外の調理補助の人がもう何人かは欲しかった。


「レベルアップしたサバチャイさんが、回してもらえませんか? 僕には、ロックリザードは重すぎますよ」


「サバチャイ、このあとドラゴンやっつけなきゃならないから、こんなところで体力使っている場合じゃないね。ポリスマンは普通にやってるよ。ルークも頑張るね」


 召喚主の言うことを聞かない、召喚獣への指導方法とか、学園が始まったら勉強したいと思う。英霊とかって騒いでいたジアス先生も、興味があるはずだから、きっと協力してくれるに違いない。


「ポリスマンは大丈夫なんですか?」


「うん? これぐらいは問題ねぇよ。一応、職業柄鍛えているからな。ルークさんも、もうちょっと鍛えた方がいいと思うぜ」


 公爵軍は馬車を後方に配置して、レッドドラゴンを誘き寄せようと匂いをピンポイントに風魔法で上空に飛ばしながら、徐々に街から離れて行っている。


「レッドドラゴンがこちらを気にしている! 誘導に成功しそうだぞ」


 街の上空を旋回していたレッドドラゴンだが、もう物見が終わったのか、それともロックリザードの丸焼きに心動かされたのか、チラチラとこちらを見ながら、近づく素振りを見せはじめている。


 まるで僕を見ているようで正直、気が気でない。こうなったのもチャップルン改め、ルンルンのせいだ。感謝の気持ちが、いつの間にか余計なことをしやがって、となってしまうのも致し方あるまい。


「ルーク、手が止まってるね。今が頑張り時よ。焦がしたら全てが台無しになるね! やっと茸に熱が伝わって、香ばしい薫り出てきてるよ」


 確かに美味しそうな香りが辺りに漂いはじめている。馬車周辺の風属性召喚師が上空へとその匂いを立ち上らせている。空にいるレッドドラゴンも、完全にこちらの匂いが気になりはじめている様子。明らかに街を離れて、こちらに近寄りはじめていてめっちゃ怖い。


「あ、あの、僕のことはちゃんと守ってくれるのでしょうか?」


 なぜかとても不安に思った僕は、馬車の回りにいる風属性召喚師に話を振ってみた。


「私たちの役割は、匂いをレッドドラゴンに飛ばすまでです。レッドドラゴンが来たらひたすら逃げるしかありませんよ。はははっ」


 はははっ、じゃないよ。馬車を囲うようにしていたので、てっきり守ってくれているのかと勘違いしちゃったじゃないか。


 レイモンド様とシャーロット様は当たり前のように馬車から一番離れた先頭で馬を走らせている。あそこが安全地帯か……。いや、レッドドラゴンが襲ってくるわけで、この囮部隊に安全な場所なんてないんだけどさ。


「サバチャイさん、この場所はレッドドラゴンが一番に襲ってくるとこだと思うんだ。何か作戦を考えておかなくて大丈夫かな」


「ルークとポリスマンが、拳銃をぶっ離せば終了ね。あのデカイ翼を狙うといいよ。飛べなくなって弱ったところを、サバチャイの鮪包丁で一刀両断するね」


 ざっくりしすぎて、不安すぎる。


「両断するなら牙をとってあげてよね。シャーロット様に怒られるよ」


「牙なんて後でとればいいね。そんなことより、ルーク手が止まってるよー! そんなんじゃ美味しいお肉にならないよ。ドラゴン来てくれないね!」


 サバチャイさんは、ドラゴン討伐にノリノリだ。結構年齢がいっているだけに、本当に若返りたいのかもしれない。無理だと思うけど……。



「く、来るぞぉぉ!!!」


 馬車周辺の風属性召喚師さん達が一斉に逃げ始めている。正直、とてもうらやましい。周りで控えている、公爵軍の方々には全力で僕を守ってもらいたい。そう、若い芽は摘んではいけないのだ。ほ、本当に助けてくれるんだよね!?


「ルークさん、あれだけデカい獲物でも、やはり動いているのを狙うのは相当難しい。ロックリザードの肉に食らいついた瞬間を狙って頭を撃ちましょう」


「は、はい。わかりました」


 何でレッドドラゴンが襲い掛かって来ているのに、こんなにも落ち着いているのか。ポリスマンがとても頼りになる。


「ここが勝負です。三発連続で仕留めましょう」


 サバチャイさんは鮪包丁を準備して、いつでも斬りかかれるように身を隠している。僕たちも、少し馬車から離れた方がいい。


「ポリスマン、少し離れましょう」


「あー、了解だ。ルークさん、集中していきましょう!」


 鎧を来ている僕に代わってタマを抱えているポリスマン。こんな時でもグッスリ眠っているっぽいタマがとても羨ましい。とりあえず、僕とポリスマンには心を開いてくれているようで助かった。

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