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24話 ギルドマスター

「ふぅー、とてもスッキリしたね。サバチャイもうお金に困らないから、昨日はハッスルしちゃったよ」


 どうやら、昨晩は翌日が店休日だったこともあり、豪華なディナーをたらふく頂いていたらしい。おかげで、朝からボリュームのある物が出たようだが……。


「すまないな、プリシラ。召喚獣の確認は俺が引き継ごう」


 訓練場に残された汚物については、なんとか気を持ち直した受付のお姉さんプリシラさんが処理してくれることになった。


「だ、大丈夫で……お、おぅぇぇ。へ、平気です……おぅぇぇ」


 本当に申し訳ない。今度、差し入れでも持ってこようと思います。


「それで信じられないが、そこにいる男性が召喚獣だというんだな……」


 危うく不審者として、連行されそうになったサバチャイさんだが、僕たちの説明で何とかギルドマスターを説得することができた。シャーロット様がいたことが信用を高めたのだろう。


「サバチャイ様は超上級召喚獣とも言われております」


「どっからどうみても、普通のおっさんだけど、確かにその小僧とパスが繋がっているな。それで、種族はなんだ?」


「よくわからないんですけど、バングラディッシュ出身のサバチャイさんです」


「そこの筋肉のおっさんは名前何て言うね? 人の名前は、聞く前に名乗るのがバングラディッシュの常識よ」


「おー、すまねぇな。俺はここの冒険者ギルドのマスターでランドルフだ。よろしく頼む」


「その体で名前がランドセルとか、ギャップあってうらやましいね」


「ランドセルじゃねぇ、ランドルフだ」


「それで、種族を聞かれても人間としか言いようがないんですけど、どうしましょう?」


「登録上で必要なんだよな。学園の先生は何か言っていたか?」


「そういえば、サバチャイさんは英霊だとかいってました。異世界から召喚されてくるようなんです」


「英霊か……。とりあえず、それで仮登録とさせてくれ。本部に問い合わせして回答を待とう。それまでは、英霊として登録しておく」


「かしこまりました。変更が必要になりましたら教えてください」


「あぁ、ギルドに来たタイミングで情報が更新してれば、その場で伝えるようにしよう。それで、次はどちらが召喚するんだ?」


「では、わたくしが呼びます。ウンディーネ召喚」


「上級召喚獣だろうとは予想していたが、精霊様かよ……。今年はすごい年だなおい」


「登録に問題はございますか?」


「精霊様は、過去に登録した記録が残っている。問題なく登録できる」


「それはよかったですわ。次はフィオレロね」


「はい。一角ウサギ召喚」


「それは、一角ウサギか? 普通の一角ウサギでいいんだよな?」


「はい、普通の一角ウサギで間違いありません」


「そ、そうか、そうだよな。上級が二回も続くと、さすがに警戒しちまうよ。とりあえず、確認させてもらった。ギルドカードは発行に半日かかるがどうする?」


「もう一人、友人を待ってからクエストを経験してみたいと思ってましたの」


「討伐か?」


「ええ、そのつもりです。何か新人向けのクエストはございますか?」


「新人っていっても上級召喚獣か……。まぁ、それでも無難にゴブリン狩りがいいだろう。強さと本番の戦闘は別物だ。ゆっくり馴れていった方がいい」


「そうですね。無理をするつもりはありません。経験を積み重ねてから進んでいくつもりですわ」


「ところでなんだが、仲間の到着を待っているとか言ったな。ただ待っているのも暇だろう。俺の雷獣と対戦してみねぇか?」


 雷獣、雷属性の中級召喚獣だ。ギルドマスターの雷獣は有名なので、その強さも知れ渡っている。定期的に行われるモンスター狩りでも、先頭に立って活躍していると聞く。


 おそらく、上級に近い中級召喚獣なのだろう。レベルは四から五に近いところまできているはず。


「ここで召喚獣が負傷してしまったら、クエストを受けられなくなってしまいますわ」


「今のお前さん達にとっては、つまらんゴブリン退治よりも、俺との実践の方がよっぽど力になると思うぜ」


 随分と強気な人だ。上級と聞いて戦わずにはいられなかったのだろう。この戦闘狂ギルドマスターめ。


「確かに一理ありますわね。でも私たちは初心者なので、三人チームで戦わせてもらってもよろしいですか?」


「わかった。それから召喚主への攻撃はしないでおこう。雷獣、召喚!」


「サバチャイさんはポリスマンを召喚してください。防御は、また私がしますわ」


「あの、キツネみたいな奴が相手か? 弱そうね。とても弱そうね。あんなの、サバチャイキックで圧勝よ」


 きっと、雷獣の背の高さを見て神の左ではなくキックを選択したのだろう。タマの三倍ぐらいのサイズといえば、だいたいその大きさがわかるだろうか。


 そういえば、今回のサバチャイさんは包丁を持っていない。トイレにいたのだから当たり前だけど武器らしい武器は何もない。


「サバチャイさん、雷獣に直接触れるのはよくありません。雷を身に纏っているので痺れて動けなくなっちゃいますよ」


「まったく卑怯なキツネね! でもサバチャイ諦めないよ。とりあえず、ポリスマンは召喚するからルークは拳銃の使い方習うといいよ」


「了解です。サバチャイさんも無理だけはしないでください」


「サバチャイ、レベルアップしたから無敵よ。チチンポイポイ、ポリスマン」


 うにゃあー!?


 小さい魔方陣が光輝くと、驚いて毛並みを逆立てた三毛猫のタマが、僕の目の前で召喚されていた。

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