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23話 冒険者登録

食事中の方、これから食事をされる方は、そのままブラウザバックしてください。気持ちを落ち着けてから閲覧することをおすすめいたします。

 クエストの掲示板に集まる冒険者たちから少し離れた場所で、僕たちは冒険者登録をするために窓口へと進むことにした。登録するために必要なものは身分証明のできる学生証と、登録料が銀貨五枚のみ。サバチャイさんに渡したお金よりも少し多い。この現場を見られたら賃上げ要求をされそうでちょっと怖い。


「すみません、登録をお願いしたいのですが」


「はい、では身分証明書と登録料をお願いします」


「えーと、ルーク・エルフェンさんですね。召喚獣は何でしょうか?」


「召喚獣ですか?」


「はい、ギルドカードに記載しなければなりませんので。学園で召喚の儀は終えられているのですよね?」


「は、はい。終わってます」


「では、召喚獣を教えてください」


「そ、その、どうしても言わないとダメなんでしょうか」


「ええ、規則ですので」


「……名前はサバチャイで種族はバングラディッシュ人です」


「バングラディッシュ? 聞いたことがありませんね、それは新種なのでしょうか?」


「……新種といえば、新種かもしれませんね」


「新種の場合は種族登録からになりますので、召喚いただいてもよろしいでしょうか」


 朝はサバチャイさん忙しいのかな……。ランチの仕込みとかあったりするのだろうか。そもそも、こちらの時間と異世界の時間帯が一緒かどうかはわからないんだけども。


「えーっと、やっぱり呼ばないとダメですか?」


「あっ、ひょっとして大型種になりますか? それなら訓練場で召喚をお願いいたします。しかも後ろにおられるお方は、レイクルイーズ家のシャーロット様でございますよね」


 僕が召喚を渋っている理由を、どうやらここでは召喚出来ない大型召喚獣であると、盛大に勘違いされてしまったようだ。シャーロット様と一緒にいることで、僕の評価が上がってしまったのかもしれない。


「そうですね。少し特殊ですから、ここではなく訓練場で召喚をしましょう。私の召喚獣もおそらく確認が必要になると思いますので」


 そっか、シャーロット様の召喚獣も歴史的に類を見ない精霊様だった。あまり、冒険者ギルドで見せびらかすようなものではないのかもしれない。


「か、かしこまりました。では、すぐに訓練場をおさえますので、少々お待ちください」


「すみませんが、よろしくお願いいたしますわ」


「では、念のため後ろのお二人の身分証明と登録料もお願いいたします」


 受付でシャーロット様とフィオレロさんの支払いを済ませると、すぐに奥にある訓練場へと案内された。


 ここでは普段、冒険者たちが鍛錬を積んだり、召喚獣との連携を試す場所なのだが、早朝となるとこの場所には誰もいない。使われるのは午後から夕方にかけての時間帯になる。つまり、現在は貸し切り状態になる。


「それでは、ルークさんの召喚獣からお願いします」


「は、はい。サバチャイさん召喚!」


 ペンダントの紅い石を握りながらサバチャイさんを召喚する。すると、眩い光と共に魔方陣が浮かび、しゃがんだ体制のサバチャイさんが現れた。


「……ルーク、トイレ中に召喚するのはルール違反よ! いくら優しいサバチャイでも、さすがにこれは怒るよ。あっ、出ちゃうね……」


「き、きゃあー!! へ、変態ぃぃぃ!!!」


 どうしよう。ギルドのお姉さんが叫び声を上げてしまった。とはいえ、目の前で中年のおっさんが、お尻を出していたら叫ばれても致し方ない。


「フィオレロ、紙を用意してさしあげて」

「はい、ただいま。サバチャイ様、こちらの紙をお使いくださいませ」


 なんで、お尻を拭く紙をフィオレロさんが持っているのかは、よくわからないけども助かった。主にサバチャイさんが。


「女子に見つめられながら、大をしなければならない、サバチャイの悲しみを是非ルークにも体験してもらいたい思うねっ」


 ぶりぶり、ぶりおっしゅっ!


 人前にも関わらず、じっくりと凄まじい音を鳴らしながら、大をしてみせるサバチャイさんは、ある意味肝が座っていると言っていい。僕には絶対出せない音だろう。


 音は我慢してもいいのだけど、強烈な臭いだけはどうしようもなく、みんなして少しずつ距離をとりながら鼻を塞ぐしかない。


「ど、どうした! ローラ? な、何があった……って、く、くっせぇぇぇ!!」


 体の大きなヒゲのおじさんが、慌てた様子で訓練場に入ってきたのだけど、ギルドのお姉さん同様、こちらも鼻を押さえながら絶句している。


「ルーク、せめて人は増やさないでもらえるか? サバチャイ、ちょっと恥ずかしくなってきたよ」


 顔をポッと少し赤くしてみせるサバチャイさんが、満更でもなさそうな表情をしているのが妙に腹が立つ。


「ギルドマスター!?」


「えぇっ、ギルドマスターですか?」


 最悪の出会い方といってもいいだろう。今後、僕がギルドを訪れる度に、この二人は僕のことを見て『あいつの召喚獣うんち』とか思われるのは間違いない。


 もちろん誰も悪くはない。悪くはないが、印象って大事だよね。


 それにしても、今後サバチャイさんを召喚する時は前もって呼び出しておかないと不味い。これから戦闘って時に、この状態だと間違いなく負けるイメージしかない。


 ぶりぶり、ぶりおっしゅっ!


 あー、酷い臭いと、凄まじい音だ。これは確かにギルドの中で召喚しなくてよかったかもしれない。ギルド内でこの状態だと、きっと冒険者のおじさん達から陰湿ないじめにあっていたことだろう。

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