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10話 シャーロット

シャーロット様視点のお話になります。

 上級召喚獣を呼ぶ者が私以外にもいた。それは私にとって驚きでもあり、また喜びでもあった。可能性があるとしたら、幼い頃から付き合いのある貴族のテオやジル、キースあたりだと思っていたのですから。


 ところが、上級召喚獣を呼び出したのは、なんと商人の出だと名乗ったルークだった。しかも、今まで見たこともない英霊召喚をやってのけたのだから驚きでした。おそらく魔力量は平均より少し多いぐらい、となるとルークは魔力濃度が、かなり高純度なのかもしれない。


 雰囲気のある魔力だとは思っていたけど、正直驚かされた。私は小さい頃から、なんとなく魔力をオーラとして見ることができた。誰も信じてくれなくて、よく笑われたものだけど、ルークのオーラは私と同じ美しい虹色をしていたのです。つまり、この色を持つ人が上級召喚以上を可能にするのかもしれない。


 打算的ではあるけどルークとは仲良くなって、目的の為にもなんとか協力を願いたいと思っている。彼は助けてくれるだろうか……。




「シャーロット様、早速ですがルーク様の情報を入手致しました。エルフェン商会の次男坊で、商会の方はお兄様が継ぐことが決まっているようです。また、エルフェン商会と深いつき合いのある上位貴族は、今のところおりませんでした」


「ありがとう、フィオレロ」


 フィオレロは私の侍従として学園にも通ってもらっている。ちょっとした調べものから、身の回りの世話まで全てこなしてくれている。


 そして、調べものをしてもらったのには理由がある。


 私は、ある目的の為に恐ろしいレッドドラゴンを倒しうる強力な戦力を探している。何故、レッドドラゴンを倒さなければならないのか。それは、私の妹が受けてしまった呪いが関係してきます。



 妹のソフィアは、馬車で移動中に運悪くバシリスクの群に襲われてしまったのです。護衛の数もそれなりに多かったにも関わらず、石化攻撃による戦力ダウンが影響し、残り数名で何とか逃れるように街に辿り着いたのです。


 バシリスクは低確率ではあるのですが、石化の呪いを発動するモンスターとして、冒険者から嫌がられています。そして、ソフィアも運悪くその呪いを掛けられてしまったのです。


 治癒術師のおかげで、何とか一命はとりとめたものの、街に戻るのに時間が掛かり過ぎてしまったらしく、通常なら治癒魔法で回復する石化の呪いが、かなり進行しているため解呪出来なかったのです。


 現状では、進行を遅らせる治癒魔法を定期的に掛け続ける以外に手段がなく、最近ではソフィアが起きて話をする機会も、かなり減ってしまいました。


 父上や母上が方々に指示を出し、多くの者が文献を読み漁りながら、ようやくたどり着いた結論。それがレッドドラゴンの牙。このアイテムが呪いを解呪するのに必要になるとのこと。


 とはいっても、レッドドラゴンと戦おうと考える冒険者なんて、この世の中にはそういない。命あっての冒険者稼業、ギルドに依頼をかけてもリスクが高すぎて誰も手を挙げることはなかった。


 公爵軍を動かしたとしても、レッドドラゴンに勝てるかと言われると難しいのでしょう。今日までに、父上が動いてないということは、つまりそういう判断なのだと思われます。


 ソフィアの体の半分は既に石化してしまっている。おそらく、心臓の位置まで石化が進んだ時に命が失なわれるのでしょう。進行のスピードから判断しても、残り半年も持つかどうか。急がなければなりません。


 今の私に出来ることは、石化を解呪する最高位の治癒術師を探すことか、レッドドラゴンを共に倒すことの出来る仲間を探すこと。



「ルーク様は仲間になって頂けるでしょうか?」


「どうでしょうね。少し優しすぎる性格のように感じました。どちらかというと商人向きではなさそうですね」


「そのようでこざいますね」


 人の良さそうなルークの顔を思い浮かべる。妹の為にルークを巻き込んでしまっていいのだろうか。


「でも、召喚獣には可能性を感じます。少なくとも中級召喚獣を一刀両断にしてしまうアイテムなど、私は聞いたこともありません」


「時間がないのは事実ですけど、もう少しルークとサバチャイさんについて調べを進めていきましょう」


「そうですね。模擬戦だけでは、まだ本当に戦力となるのか判断が出来ませんでしたから」


「サバチャイさんについては、ルークもよく理解していないようでした。こちらからも実力を探るように動きましょう」


「はい、かしこまりました」


「それから、ルークだけでなくサバチャイさんから攻めるという方が効果的かもしれません」


「確かに、そうかもしれませんね……」


 それにしても、召喚獣を見たルークの困惑顔といったら面白かったわ。そもそもサバチャイさんは召喚獣と呼んでいいのでしょうか。召喚人? 英霊様? いえ、サバチャイさんはサバチャイさんね。


 とても不思議な人だけど、そのポテンシャルは無茶苦茶ながらも異常に高そうに思えた。ルークとサバチャイさんなら、レッドドラゴンとも戦えるのではないでしょうか。少なくともあの武器はレッドドラゴンの厚い鱗を突き抜ける可能性を秘めている。


 私とウンディーネも負けられない。もっと強くなってレッドドラゴンと戦えるようになってみせる。属性の相性としては水属性は有利になります。


 そして、契約時に私とウンディーネはある約束を行いました。ソフィアの命が尽きるまでの時間は限られている。だからこそ、多少の無理は承知でも私は私のできることをやる。


 例えこの命が削られようとも。

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