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転生令嬢姉妹は平穏無事に過ごしたい  作者: のえる
第七章 冬休み ~レミリア15歳~
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135.お泊 そして 恋話よ

 冬休みも残り僅かとなったある日、私は王城へと出向いていた。もっと正確に言えば私とマリアーネ、そしてフレイヤとティアナの四人である。

 この四人で──となれば、凡そどんな目的かと予想が付くだろう。……そう、女王陛下にご招待されたのだ。

 とはいえ、この時期はまだ寒さも少し厳しい時期。女王陛下ご自慢の庭園でお茶会……というわけにもいかず、今回は室内での座談会という感じになった。

 元々私達は幾度か御呼ばれしており、女王陛下とも仲が良いのだが──


「本当にティアナさんが来てくれて嬉しいわ」

「は、はいっ、ありがとうござい、まっす」


 茶の席にて、隣に座られてそれはもう嬉しそうに離される女王陛下に、ティアナは緊張の限界突破状態で返事をしていた。

 学園で話をしたときも随分な緊張をしていたが、今いるここはぐるりと360度みわたしても、すべてが上流階級で、貴族で、王族と主張するモノばかり。壁も床も天井も、なんだったら目の前にある紅茶のカップですらそうだろう。下手をすればこのカップ一つで、ティアナの家を買ってお釣りがくるだろう。……いやもっとか。


 なぜこんな状況になっているのか……それは、私とマリアーネが両殿下と共に聖地を訪れた日の帰り道のことだった。






「そうだ! 兄上、母上から二人に言伝があったのでは?」

「ああ、そうだったな。いかんな……今日が楽しすぎてつい忘れるところだった」


 そう行って恥ずかしげに笑うアーネスト殿下に、アライルは呆れながらもどこか安堵した様子を見せる。というのも、どうやら女王陛下からこの言伝を忘れぬようにと幾度か念押しされたらしいのだ。そんな場合にうっかりをしてしまったら、それはもうとてつもなく怒られるらしい。

 なんだか王族でも、親子の関係性があっていいもんだなぁとか思ってしまう。そんな事を思い浮かべてちょっとばかり笑みを浮かべていると。


「実は母上から、レミリア嬢、マリアーネ、それからフレイヤ嬢とティアナ嬢の四人で遊びに来て欲しいとの伝言を持ってきたのだ」

「そういえば……」

「以前そんな事も……」


 言われてみて、私もマリアーネも思い当たる節がある。以前女王陛下に、皆で泊まりで遊びにきてねと誘われていた時のことを。四人ともが学園の生徒であり、寮にいるため行くとなれば長期休みを使うしかない。そのため折角のお誘いであったのに、中々にお伺いすることができずにいたのだ。

 その辺りの事情は女王陛下も十分理解してくださっており、いけなくとも全く文句を言ったりとかはされなかった。でもこうして誘ってきたということは、やはり来て欲しいという事なのだろう。


「陛下からのご要望、承りました」

「ふふっ、楽しみですねレミリア姉さま」


 私達の言葉を聞いて、アライルもアーネスト殿下も明らかにほっとした表情を見せた。それを見て女王陛下って、いわゆる教育ママっぽいのかしら……なんて思ったりした。


 そして、返事をした二日後。すぐさま王城よりお迎えがきた。なんでも準備はすべて用意してあるので、すぐにでも遊びに来て欲しいと。

 そんな感じで私達は、あれよあれよという間に女王陛下主催のお泊り会へとなだれ込んでしまったのだ。






 そして今、私達は女王陛下が寛ぐために使う部屋で、五人で紅茶を頂いている。正確には王城勤めの侍女も何名かいるが、当然この場合は頭数には入れない。

 皆で茶と菓子を楽しみながら会話を楽しむ……特にティアナがこうやって訪れるのは初めてなので、ことさら女王陛下がお喜びになっているのが微笑ましい。最初はひどく緊張していたティアナも、徐々に鳴れてきたのかだんだん談笑をするようになってきた。

 そんな中、ふと思いだしたように女王陛下が言った事は。


「そうそう。お休みの間、レミリアさんやマリアーネさんに会ってないのなら、まだティアナさんはお聞きになってないのではなくて?」

「え? えっと……申し訳ありません、何の話でしょうか?」


 急な内容に戸惑うティアナ。だが私とマリアーネは即座に理解する。そして、休み中に会っているフレイヤも「あっ」と小さな声をあげる。

 それが聞こえたようで、ティアナがフレイヤの方を見る。んー……まぁ、これは私達から言うべきことよねぇ。


「あのねティアナ。その、えっと……」

「?」


 いきなり言おうとしたためか、ちょっと緊張してしまう。別にそこまでなる事じゃないと思っているのに、やっぱりどこか気恥ずかしいものがあるのか。


「んっ、んんっ。えっとね、私とアライル……それと」

「私とアーネストは……」

「……あ! もしかして……?」


 マリアーネがアーネスト殿下を呼び捨てている所で、一瞬驚いた表情を見せるも何かに気付いたような顔を浮かべる。うーん、ティアナってばやっぱり賢いわね。


「……ええ、その通りよ。私達は正式に婚約の申し出を受け入れたわ」

「これがその……指輪よ」

「わあああっ!」


 私とマリアーネが、左手の薬指にはまる指輪を見せるように手をあげる。それを見てティアナが目を輝かせる。今思えば私もマリアーネも、本日はどこかこの指輪をティアナに見せないようにしていたような気がする。無意識に驚かそうって思ってたのかも。


「えっと、レミリアさん、マリアーネさん、おめでとうございます!」

「ふふっ、ありがとうティアナ」

「ありがとうティアナ、嬉しいわ」


 笑顔でお礼を言う。そこからは、暫く私とマリアーネを中心にどういった感じでの告白だったとか、心境だとかを聞かれた。

 中でも女王陛下からの関心は結構強めだった。なんでも自身の息子である両殿下は、その事に関してはほとんど話してくれないんだとか。いや、私もちょっと恥ずかしいから率先しては言いませんよ? ……まぁ、女王陛下に懇願されたら無理ですけど。


 ……そして。

 結局そこから、女子会ならではの恋話(コイバナ)談義に移行してしまい、私とマリアーネは無論だが、フレイヤやティアナさえも話題の中心にすえられてしまった。

 ただ、中でも女王陛下と国王陛下の話は中々に面白かった。

 周囲に政略結婚だ──と思われていながらも、実はお互いちゃんと恋愛をしていたというエピソードは中々胸が高鳴るものだった。

 その詳細をお聞きしたい……そう思った所で、夕食となってしまった。いつの間にか外も暗くなっており、まさに時がたつのも忘れるほどだと。


 …………でもね、なんとお話の続きは今夜寝る前にお話してくださると約束をしてくださったのよ。

 ふっふっふ~。こりゃあもう夜更かし確定コースですわね。お泊り万歳!



いつも誤字報告ありがとうございます。

ただその中に「侯爵」と「公爵」に関して誤字では? という報告もありました。あまり明言せずに記載しておりましたので、誤解させてしまったのかもしません。申し訳ありません。

本作の主人公の家は「侯爵」であり、「公爵」家は他に存在します。念のためご報告致しました。

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