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どうしても介護実習に行きたくありません。

作者: 紘

また、介護実習が始まると思うと憂鬱で仕方ありません。でも、おじいちゃんやおばぁちゃんが嫌いなわけではありません。

確かに、生活介助はとても大変です。前回の10日間の実習でも、腰は痛くなるし、腕も筋肉痛、そして少し認知症の疑いのある方に腕を引っかかれる、噛まれるなどたくさん大変なことがありました。でも、嬉しいこともたくさんありました。

例えば、老人ホーム内のイベントや、ボランティアの方が訪問演奏などしてくださる時がありました。その時に、「あんた、今日演奏あるみたいよ。一緒に行かんけ?」と誘って下さったり、何気ない日常生活会話をしている時、「たくさん話聞いてくれてありがとう。久しぶりに楽しかったよ。」と言ってくださったり。


もちろん、辛いことも多いですが、嬉しいこともたくさんありました。


でも、私が「介護実習に行きたくない」と思うは、実習先の職員の方の目がどうしても気になってしまうのです。私は実習生という立場で施設にお邪魔しているので、当然しっかりしなければなりません。職員の方もたくさん色んなことを教えて下さって、とても有難いと思っています。


でも、どうしても私の中で『実習生なんだからもっとちゃんとしなきゃ』『利用者と話しているだけだったらサボっているように見られるのかな?』と考えてしまい、だんだん辛くなってしまいます。


職員の方もそんな事は思っておらず、「今日もたくさんお話してくれてありがとう」と言ってくれます。



ある日、巡回担当の学校の先生が様子を見に来ました。私が担当していた3階のフロアにきて「おはよう。元気?大丈夫そう?」と話しかけてくれました。


その時、今まで溜まっていた不安や、『実習生なんだから』と勝手に自分にかけていたプレッシャーが溢れて、職員、利用者の前なのに号泣してしまいました。


部屋を変えて、先生に今までの不安だったことなどたくさん話を聞いてもらいました。その間も、涙は止まりませんでした。

全て話し終わった時には、なんだか心が軽くなったような感じでした。

先生からは「大丈夫!大丈夫だから!あなたはちゃんとやれてるよ!また不安なことあったら電話してね。いつでも聞くよ?」と言ってくれました。

その言葉がなんだか凄く嬉しくて、温かくて…。


先生と話が終わり担当フロアに戻る階段で私は、「大丈夫、大丈夫だから、きっと出来る」

そう呟きながら涙を拭って担当フロアの扉に手をかけた。

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