-プロローグ-伝説が繰り返される時
世界が闇にのみ込まれ光が失われた時、一筋の希望が天を貫く。
勇者アスティ。
その名を知らないものは、この世界にいないだろう。かつてこの世界を魔王の魔の手から救った者の名。
勇者、賢者、パラディン、戦士、武闘家、魔法使い。
たった6人で世界を救ったヒーロー達。
この先もずっと、ずっと語り継がれるだろう。
◇◇◇
「おばあ、今日もアスティの絵本読んでくれますか?」
小さな男の子が、何度も読まれクタクタになっている絵本を、両手で自分の顔の前に出し見せている。
「はいはい」と男の子から受け取り、手を握り二階へと上がっていく。
「ルーぼうは本当にアスティが好きなのねぇ。」
ルーぼうと呼ぶ子をベッドに寝かせニコニコと表紙をめくる。
そっと頭を撫で物語を読み始める。
◇◇◇
世界を飲み込む程の闇。
光と音が消えし時希望を奪い絶望が支配する。
我が名はロギウス。さぁ。今こそ我がモノに。
大陸に少しづつ希望が消えていく。
先に消えたのは火の大陸。次は風、土、水。次々ゆっくりと絶望に呑み込まれていく。
最後の大陸に魔の手が伸びる。
皆が死を覚悟したその時一筋の希望が天を仰ぐ。
そんなことはさせない!この世界から希望を俺たちが消させない。
勇者、賢者、パラディン、戦士、武闘家、魔法使い。6人が連携を取り魔王へ攻撃を繰り出す。
世界を護る精霊の力も借り魔王の動きをとめる。
皆が一斉に叫ぶ。アスティいまだ!トドメを刺せ!
グッと構えて喉元めがけて突き刺す。
皆の思いが右手の紋章に宿り光りかがやく。
これで終わりだぁーーーーーーー
アスティたちのおかげでまた希望と笑顔が大陸に溢れ世界に平和が戻りました。
おしまい。
◇◇◇
すやすやと寝息をたてる孫を優しく見守る。むにゃむにゃと寝言を言っている幼い子を優しく、ただ優しく、しわくちゃな手でそっと撫で小さな手を握る。
その握られている手にはアザのようなモノがうっすらと刻まれている。
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深い眠りから意識を覚醒させるかのように響く声。
目覚めよ、勇者よ、目覚めよ。
世界が、皆が、助けを待っているぞ。
さぁ、目覚めよ。
これは、僕が勇者として世界の平和を取り戻すまでのお話。