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金の像
その鈍い輝きに惹かれ
われわれは金の像を見る
その像は何も眺めない
塔のように
人々の視線を受信して
なにかを発信している
見知らぬパリの
その夕暮れに
塔の影が伸びる
やがて
金の像へ届くとき
彼女は震え
見えない涙を落とす
夜を眠れず過ごすものが
その足音を忍ばせ
近づいてきて
微かに街灯の光で
それとわかる像の足元を探り
彼は今日の欠片を拾う
また夜が明けるなら
金色の悲しみがあるだろう
それでも
ひと時の澄んだ空に
忘れられそうな星が
しがみつき
ただじっと見つめている
金の像はまた目覚めて
再び今日を思い出す
偽りに満ちていたか
それとも
真摯であったかということを