言葉は共に冬眠している
一、
なんて細い首筋
消えてしまうような
美しいラッピングのチョコレイト
冷たい流れは
暗い夜の只中を
眩い朝の岸辺を
流れて行く装いの彩りとデザイン
頬を染める少女たちは
隠した凶暴で強く跳ねる
幾千の薔薇の魂の香りはオイル
導き出す数式の
組み込まれている化粧
夢の光沢の肌に添うウォーター
(消費物とはつまり
壊されるために作られたもの)
揺らいでいる
見えないように
炎は透明を
最も灼熱に選んだ
震えている
声は鼓膜に触れる
君の昏い喉の奥より
少し浅いわたしの耳腔の膜へ
進んでいる
決して戻ることのない
頭の後ろで感じるものは
記憶の視線
時間は決して記録できない
生きている
釣り上げた魚は
まだ手の中で暴れている
暖かくはない
熱で彼らは煮えてしまうから
(情報とはつまり
ほとんどを視覚に頼るもの)
ニ、
凍えている
凍えてしまう
飢えている
飢えてしまう
止まっている
止まってしまう
目を開けたままで
流れている
流れてしまう
落ちていく
落ちてしまう
震えている
震えてしまう
目を閉じたままで
三、
ちいさな花
きいろい一重の花弁
ほそい茎
いつか摘み取られて
だれかの病床の枕元へ
あめあがりの光に
濡れることは無く
岩の隙間で
死んだように動かない
脚の無いトカゲの
心臓は確かに動いている
言葉は共に冬眠している