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白く吐く息  作者: につき
3/10

滅びて後想うなんて噓だ

滅びて後想うなんて嘘だ

だから

もしも君が崖っぷちにいるのなら

まったくそうでなくても

こころの何処かで落ちてしまいそうな

暗い穴から目が離せなくなっているのなら

今なんだ

やわらかさを最初に教えてくれたひとのことを

君の全ての弱さをこめて

ひとつだけのこころで想うこと

煩わしさがあったとしても

生ぬるさがあったとしても

それらは

土壌であるから

全ての世界が君を見ている

それは

君が全ての世界を見るように


届くだろうかだとか

手ごたえが欲しいだとか

姿が見えないだとか

本当に誰かを想うとき

そんなことはどうでもよくなって

生まれたてに戻って

分厚い暗雲を突き抜いていく叫びとして

想うのだ

そのとき君に真っ白な祈りが降りてくる

全ての願いは叶えられ

全ての思いは受け入れられ

全ての手は握られる

これは理想ではなくて

これは夢想ではなくて

これは悲愴ではなくて

これは空想ではなくて

これは……


引かれ者の小唄ではないんだ!

我らは世界に隷属しないことを誓う!

少なくとも対等であろうとして

小さな小さな灯を信じている

この暗闇でこそ輝きを際立たせるものよ

これこそが

今なんだ

つよさを最初に感じさせてくれたひとのことを

君の全ての意地をかけて

頑ななこころで想うこと

口惜しさがあったとしても

傷が痛むとしても

それらは

北風であるから

全ての星が君を見ている

それは

君が全ての星を見るように


時を戻したいだとか

やり直したいだとか

もう一度だけもう一度だけだとか

そんなことばかり涙に浮かぶとしても

そのままの君として

分厚い岩盤さえ持ち上げる根となって

噴き上げるのだ

そのとき君を眩い光線が射し貫いていく

全ての思いでは意味を取り戻し

全ての悲しみは暖かに浸り

全ての痛みは光に包まれる

これは願望ではなくて

これは虚構ではなくて

これは消失ではなくて

これは郷愁ではなくて

これは……

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