1章 邂逅編 Episode:05 待ってろ。
なかなかタイトル決まりませんね。
あと、文章も・・・。
2076|03.30/12:28
結果から言う。失敗だ...。まだ半田って野郎本気すら出してなかった!!!
あいつの後ろに回って渾身の一発を打ち込んだ。
勝ったって思ったよ。綺麗に入ったし、半田をかなり遠くまでぶっ飛ばして不意を打てた。
なのに、あいつ少しふらふらしただけで笑ってやがるんだよ。
「今のは効きましたよ...?」
と聞こえた瞬間、俺の体は宙に浮いていた。
そして遅れてくる腹と背中への重い衝撃。背中から着地したことで肺の空気が一気に出てしまい呼吸が困難になる。
再び本能が警告する。さっきの三人組の比じゃない。
(勝てそうにないな...)
せめてあの娘だけでもここから逃がさないと。
素直に勝てないなんて思ったのは何時ぶりだろう、八百屋のおっちゃんぐらいだ。
何をどうあがいても負けの未来しか見えない。
(とりあえず、あいつの注意を惹くものがあれば...)
おもむろにポケットへ手を入れると、何かが指先へ触れた。
『これも持っていきな』
あの八百屋の夫婦の顔が頭の中に浮かんでくる。
龍我は覚悟を決め、前を見据える。
「まだ、こんなところで終わらない!」
彼の力の鱗片が解放される。
「フフ。まだこんな力が残っているんですね...」
迫ってくる少年に感嘆の声を漏らす。
しかし
(残念ですね。最後の攻撃が捻りもない特攻なんて)
勿体ないと、もう見ることの無いであろう少年へ迎撃の構えをとる。
しかし、彼は再び半田の狙いを覆すこととなる。
向かってくる龍我が消えた。
「何ッ!!」
消えたのではなかった。半田を飛び越え少女へと向かう。
遅れて半田は振り返った。少年は少女のもとへ走っている。
半田は動かなかった。動かない理由があった。
「そうですか鎖を...」
半田は呟いた。あの少年が自分を翻弄したことに対して素直に賞賛の気持ちしかなかった。
だが、
(鎖は、君のような子供に壊せるほど軟くはないんですよ)
その時にはすでに少年は鎖に手をかけている所だった。
たかが14.5歳の少年に鎖を解除することなど不可能だと彼は確信していた。
だが、彼の甘い考えは音を立てて崩れ去っていく事となる。
「ぬぅうおぉおぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおぉ!!!」
少女を縛る鎖を握りしめる。
鎖を握りしめている掌が焼けるようだ。
「もう止めて!貴方の手が!」
縛られている少女から悲鳴に似た声が聞こえる。
龍我は少女へと顔を向ける。
「大丈夫。俺が絶対助けるから。」
だから、待ってろ
鎖に力を込める。先程までの手を焼くような痛みは、もうどこにも無い。
パキィィンッッ!!
高い金属音を立てて少女を捕らえていた鎖は砕け散った。
「そんな、バカな...!」
半田は驚愕の色を隠せないでいた。それは捕まえられていた少女もそうだった。
「え...」
「お待たせしました。お姫様!」
捕らえられている少女へ冗談を言いつつ半田へ向き直る。
彼の中で驚きという感情と龍我への興味の感情が鬩ぎあっている。
「ハハハ。素晴らしい...!鎖を砕くとは...君、普通の人間ではありませんね?」
「うるせぇよ。俺が誰なんて関係ないだろ。」
目の前にいる敵を見据え龍我は吼える。自分という存在を認めるように。
「俺は古月龍我だ!」
ゴールデンウイークは楽しめましたか?
正直お金がすっ飛んで行ってます。
すごい勢いで・・・。