1章 邂逅編 Episode:03 誰にでも背を向けられない時は来る。
やっと戦いまでいけそうです。
2076|03.30/12:07 庶民街- 路地裏
「あ゛あ゛ん?っだ手前!!」
テルの側近が絡んできた。感想...怖い( ;∀;)
何でこんなとこ来たんだろう。あぁ~変なプライドに負けて思い切って来ちゃったけど泣きそうだ。父さんにも怒られたことないのに。
あ...いないか。
それに、よく考えれば八百屋のおっちゃん怒ってるおばちゃんの方が怖いぜ!!
その時のおばちゃんを思い出し少し身震いする。
その様子を自分にビビったものだと勘違いする側近A
「悪いことは言わねえ。早く帰った方が身のためだぞ」
そんなキモイ顔を近づけんなよ。キモイ何かがうつったらどうする。
「そっちは頼んだぞ」
テルが側近Aに向かって言った。側近Aはテルを少し見ただけで何も言わなかった。
(ま、カッコつけに来たどっかのガキだろうな。)
と、その時だ。テルの足に何かがぶつかった。
「なッッ」
こちらを見るテル。言葉を失うのも無理はない。なんてったって俺よりでけぇ野郎だ。
それに、テルと俺までの距離は三メートルもある。
自分でも何で投げ飛ばせたか解んねぇけど。
ここは一つ格好つけて、
「俺には敵わねぇよ!」
テルは恨めしそうに舌打ちをした。
ふと、目につくものを龍我は見つける。
(なんか鎖で繋がれてっけど、まだ大丈夫そうだな。)
身体中が鎖に巻き付かれた少女を見つめる。
(女の子の近くにいるのがこいつらの頭か?さて...あそこまでどうやって行くか)
周りを見渡すとそこかしこに障害物となるゴミ箱などが置いてある。
龍我は、よしと呟くと走り出す。それに合わせてテル達も動く。
(まずはお前!!)
向かってくる側近Bに向かって左の拳を突き出す。当たらない。いや当たらなくて当然。左拳はただの陽動。相手に一瞬の隙を与えればいいだけの話である。
そして案の定相手に一瞬の隙ができる。
龍我はそれを見逃さない。地面を蹴り一気に間合いを詰め、がら空きになった腹に向けて渾身の右をぶち込む。次は後ろのテルへと視線を移し、勢いを殺さずそのまま頭へ向けて強烈な蹴りを放つ。その一撃でテルの意識は強制的に闇へと送られる。そして起きてきた側近Aにもう一発蹴りを入れる。
「ゴフッッ...ク...ソが...」
テルは自分の意志に抗おうとするが本能がそれを許さない。この少年には勝てない、そんな答えが頭の中で見え隠れする。
(ダメだ...意識が遠のい...て)
明滅するテルの意識で最後に映ったのは、瞳を紅色に染める少年だった。
2076|03.30/12:15 庶民街- 路地裏
三人組が気絶したところで龍我は視線が自分に集まっていることに気づく。
今の一瞬の出来事を信じられないみたいな眼で見てくる女の子と、不気味な微笑みを浮かべる好青年。だがそいつからは、ただならぬ雰囲気を感じ取れる。
「面白い。」
男から感嘆の声が漏れた。
この男からは仲間がやられたことに対しての怒りが全く見えなかった。
むしろ、新しいおもちゃを見ているかのようである。
「フフフ。怖い顔ですね...。ゾクゾクします。」
フフフと不気味に笑う男。確か半田とかなんとか言ってたな...。
グッと拳を構えて戦闘態勢にはいる俺。油断できない。
そんな俺にこんな声が聞こえてきた。
「早く逃げなさい!!貴方が何処の誰だか知らないけど、貴方に勝てるような相手じゃ...」
必死な顔で少女は叫んだ。それでも少年の気持ちは揺らがない。
いや、揺らぐ事が出来ない。
「アンタがどこの誰だか知んないけどさ、助けてやるからそこで待ってな」
カッコよく拳を少女に突き出しポーズを決める。そこにはもう一つ理由がある。
それは、
(あんな声なんかに負けたくない)
≪フッ≫
笑い声が聞こえる気が...きっと空耳だ。
「フフフ。涙が出るような話ですね。まるで物語のヒーローとヒロインのよう」
すぐにさっきの笑いはこの男だと考え付いた。男は薄気味悪い笑い顔を浮かべながら
語りかける。
「嘘つけ...笑ってんじゃねぇか。」
今、戦いの幕が上がる。
次からは声も少しづつ出てきそうです。