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1章 邂逅編 Episode:8.5 剣に...
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暗い空間の中で何かが目を開ける。
≪僕は...誰...≫
答えは返ってこない。この空間には声の主以外誰もいないのだから。そこには何もない漆黒の闇が広がるだけである。自分は今生まれたのか、それとも何年も眠っていたのか。そんなことを延々と考えていた。
だが、ここにいて退屈をした覚えは一度もない。耳を澄ますと笑い声や泣き声が聞こえてくる、目を開ければ少しの間、外の世界を見ることもできた。
≪僕の宿っている少年は...≫
姿の見えない〝何か″は答えを見つけることをやめた。
自分の生まれた時や場所すらもわからない。そんな異物を受け入れるほど彼はまだ成長していない。
ならばせめてと、〝何か″は思う。
≪君を守る剣になりたい≫
と、〝何か″は思うのだった。
眠っている間に聞こえてきた声。それに、見えた景色も覚えている。そこには必ず涙を流す少年がいた―――