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第8話

2話連続投稿です。

今日はここまで、また続きは後日に。






「悠華?入るわよ?」




何日かたち、今日もまた子供たちが来ると同時に部屋にひきこもる私に、お母様は訪ねてこられました。




「……どうしたの?何かあった?」



お母様は私がベッドの中で縮こまっているのを確認すると、縁に座り布団から覗く私の頭を優しく撫でてくれます。




数十分その状態が続きましたが、それでもお母様は根気強く待っていてくれました。




「……お母様、」


「ん?なぁに?」



私は起き上がりお母様の方に向いて、何故外に行かないかを話しました。


話している途中、またあの時の出来事を思い出し涙を流す私を優しく抱きしめ、頭を撫でてくれました。





「そうなの……、気づかなくてごめんなさいね……。怖かったでしょう。」



私はこの家に生まれ、覚えている中では抱きしめられた記憶はありません。

頭を撫でられるのが私たち家族が触れ合う唯一の手段だったのですが、今優しく抱きしめられ、お母様の暖かさを直に感じます。



それに安心して、私もお母様の背中に腕を精一杯回して抱きつきます。




お母様にかけられた言葉はとても優しくて、暖かくて……。


私は安心したからか、また涙をながしました。











気づくと私は泣きつかれたのか、ベッドの中で寝ていました。

窓から差し込む光から、まだそう時間が経っていないようです。



寝る前までいたお母様は仕事なのか、もう部屋の中にはいませんでした。


けれど、私がベッドの中に寝ていることからお母様が私に布団をかけてくれたのは分かります。



私はお母様の優しさに安心しました。

お世辞にも仲のいい家族とは言いがたかった私たちは、もう充分仲良く、お母様にもお父様にも愛されていると感じます。







「悠華!大丈夫!?」



「!れ、玲音……。」



バンっと開いたドアから玲音が駆け寄ってきます。

何処かデジャヴュを感じつつ、玲音が近づいてくるのを起き上がり待ちます。



すると、玲音はギューッと私に抱きついてきました。



「……れ、おん?」


「悠華、ごめんね。気づかなくて……。」


「……………ううん、いいよ。」




玲音はお母様に話を聞いたのか、私に何度も謝ります。


玲音のせいじゃないよ、と言うも玲音は納得しないのか、そのままずっと私に抱きついています。




「こら、玲音。悠華は寝ていると言ったでしょう?」



「……ですが、悠華が起きた気がして……。」



双子テレパシーですね。

玲音は私が起きたと察知したらそのまま走ってきてくれたそうです。


お母様は少し呆れつつ玲音を眺め、私たちの方に近づいてきます。


その後から、これまた少し呆れ顔のお父様も来ました。




「……悠華、大丈夫?落ち着いたかしら。」


「…………はい、すみません。」


「いいんだ、私こそ気付かずにごめんな。」


「いえ、お父様のせいではありません……。」




お父様とお母様はゆっくりまた私の頭を撫でてくれます。


その間も玲音は私から離れませんでした。




「もう明日からあの子達は来ないよ。」


「え、」



少しして、玲音も落ち着いたのか、私から離れ近くに座ります。

それを見届けて、お父様はあの子達が来ないことを教えてくれました。



「……なぜ、」


「知らなかったとはいえ、悠華にあんな事をしたんだ。知った今、悠華に近づけるわけないだろう。」


「そうよ、悠華。もう大丈夫。」


「……次はちゃんと僕が守るから。」





お父様やお母様、玲音の優しく、守るという言葉にまた、とても安心し、また涙が流れてきます。




「あら、悠華は泣き虫ね?」


「悠華、泣かないで!」


「大丈夫だ、悠華。」




また玲音は私に抱きつき、こんどはお母様とお父様にも抱きしめられました。



外から見ると団子のようになっているでしょう。



私は三人に抱きしめられ、胸の中に何かキラキラして暖かいものができたのように、ポカポカしました。






私もまた、皆に腕を回しました。

この時間を切り取って残していれたらいいのに。



そう、思いました。












小話[悠華が泣きつかれて寝ている間の家族の会話]を活動報告にて投稿しています。

そちらも良ければどうぞ、読んでいただければ嬉しいです。


ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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