第7話
あれから毎日のように同い年くらいの男の子や女の子が家に来るようになりました。
後から聞いた話、お父様やお母様の会社の部下のお子さんたちのようで。
同年代の友人を作り、人並みに遊ぶように。というのが目的らしいですが……。
「玲音くん!あのねー、ーーー」
「ちょっと!玲音くん、私とお話しましょう?」
「いえ、私と!」
……玲音は女の子たちに人気みたいです。
もともと美形な両親から生まれた私たち双子はとても顔が整っています。
玲音はいつのまにか、普段から表情筋を動かさなくなっても、礼儀やマナーの講義のおかげかとても紳士に育っており……、当たり前ですがとてもモテています。
私たちは双子だから玲音の考えていることはわかるので、今玲音がとても逃げたそうにしているのも分かるのですが……。
なにせ私はこの集まりが始まってから挨拶の時以外一言も喋っていません!
そうです、皆さんお忘れかも知れませんが、私は転生する前女子校だったのです。
そしてなぜか、異性と話す機会がなかったため、今現在私は活動停止中です。
そして今世ではいままで家族や家のもの以外と話したことないし、そして会ったこともなかったため現在人見知りも仲間入りです。
それを始めに気づいたのか、それを気にしていないのか分かりませんが、女の子たちは私に話しかけるでもなく、玲音に引っ付いて離れません。
しかし、玲音は同性の男の子たちと遊んでいるので、私はポツーンとその現場を傍観中です。
はい、おわかりですか?
私の周りには誰一人としていないのです。
そして私も積極的に話しかけたりしませんので、玲音が頑張ってくれています。
時々助けを求めるように私に視線を送っていますが、そこは双子テレパシー(あるかどうかは不明ですが、私たち双子には喋らなくても通じるナニカがあるので命名しました。)で、はっきり“私には無理です、頑張ってください!”と送っておきました。
何回か続いた後、玲音も諦めてくれたらしく、そして頭のいい玲音も学んだらしく、上手くその場に慣れていきました。
そして、それ以外にも私には大きな問題があるのです。
もちろん、人見知りで話せてないのもありますが、それ以上にコレがとても苦痛です。
それは……
「おい!なんで喋んねぇんだよ!」
「ボッチでいる事が好きなのかよ!アハハ!」
「そんなに一人がいいならコレやるよ!ほらっ!」
玲音が途中、その場を離れる度に私は男の子に囲まれて、一方的に話しかけられ、そして……
ボト、と私の目の前に落ちてきたのは生きたカエルで……。
「っ!!!!!」
このように何故か絡まれます。
静かにしているのに、なぜ。
男の子と言うだけで辛いのに、まだ私の天敵のカエルを投げてくるのです。
それも決まって玲音が私の視界からいなくなった時に限って。
私は夢の出来事とはいえ、すでに精神的に十五歳を超えていますが、苦手なものは苦手です。
毎回このことが起きると、何も発さずに涙が流れ、恐怖に身体が震えます。
「泣いてるのかぁ!弱虫ー!」
「やーい、泣き虫ー!」
男の子達はそのままその場を離れます。
しかし私は目の前にカエル、いえ、天敵がいるので動くことが出来ず、涙を流しつつも天敵が自らこの場を離れるのを待ちます。
そのような事がなんども続くと、私はとうとう部屋から出ることが出来なくなりました。
小さな子供が良くするイタズラだと理解はしていても、苦手は男の子が、これまた苦手な天敵をもってくるので、とうとう耐えられなくなったのです。
「悠妃?皆が来てるよ?」
「……行かない、玲音一人で行って……。」
玲音は何度も私の所に来ますが私は部屋から出ることができません。
ただただこの時間が過ぎることを、この部屋で待つだけです。