第4話
今日は二話投稿でした。
ふわふわとしている気がする。
これは前にも経験したから、多分意識が夢の世界から現実へと戻ろうとしているのだ。
そこで私の頭をそっと撫でる暖かいものに気づきました。
なにかが愛おしむように、優しく優しく、撫でてくれています。
その正体が気になるので、起きることにしましょうか。
瞼をそろりと開けると、そこにはお母様が私の寝ているベッドの淵に座って私の頭を優しくなでてくれていました。
「……お、かあさま…?」
「…あら、起こしちゃったかしら?おはよう、悠華。」
「おはようございます、」
戸惑いつつ声をかけると、優しく微笑んだまま続けて私の頭を撫でてくれています。
お父様の時もそうでしたが、私たち双子はお父様たちに頭を撫でられたことを記憶していません。
なんせ、仕事人間の両親でしたから。
しかし、私が昨日から目を覚ますと両親は今まで見たことのないような優しい視線を送ってくれます。
少し気恥ずかしい気もしますけど、それ以上に嬉しくて。
「具合はどう?」
「はい、ねたらげんきになりました。」
「そう、良かった。けど、まだ安静にしているのよ?」
「……はい。」
「…ふふ、」
私の返事が少し遅かったのに気づかれたのか、また優しく笑って頭をなでて下さいます。
そしてお母様は秘書の方につれられ部屋をあとになさいました。
再び訪れた静かな空間ではありますが、先程まで寝ていたので眠くはありません。
すこし退屈だな、と思いつつも外に出るほどまだ体力は回復していないので大人しく、窓の外の景色を見ることにしましょうか。
もう外は暗くなっていて、私は一日中寝ていたようです。
朝会えなかったお母様は、多分仕事が終わって私に会いに来てくださったのでしょう。
そう考えているとやはりまた眠気がきました。
幼い身体は全然体力はないみたいで、また眠りにつきます。
あれから一週間、私はずっと安静にしていましたとも。
途中一人でいるのが退屈になってそろーっと部屋を出ようとしたら決まって凛がドアの前に立っているのです。
そして抱っこされベッドに逆戻りです。
まぁ歳は離れてますし妹のように可愛がってもらってますが、なんで凛は私の行動が読めるのですか。
そして凛がいない時でも玲音だったり蘭だったりが私を見張っているそうで、脱走できませんでした。
体の熱も引き、体力も普段ぐらいに戻ってきてようやく部屋からの外出許可がでました。
玲音と久しぶりに遊んだりしましたよ。
お父様とお母様は私が回復したのをとても喜んで下さり、また頭を撫でていただきました。
そこでまた私と玲音は視線を絡め、照れくさそうな笑顔をお互いに向けるのです。
もしかしたら私の看病を通じて家族仲が修復したのかもしれない。
理由を聞くつもりはないけど、気恥ずかしいのには変わりありませんし、それ以上にとても嬉しかったです。
こうして私の病人生活(?)は終を告げました。