第2話
「……うか、…ゆうか…、悠華!」
「…ん、う…、」
私を呼んでいる声に応えるように、瞼を持ち上げた。
するとそこには“双子の兄”の玲音と、“両親”、そしてこの家に仕える“使用人”の姿が映った。
「…っゆうか!」
「っわ!?」
「あぁ、悠華、良かった!」
「悠華…!」
「お嬢様!良かった…!」
突然衝撃を感じ見上げると、玲音に抱きつかれていて、さらに上から両親が抱きしめてるれていた。
「れおん…、おとーさま、…おかーさま、みんな、も…」
「ゆうか、よかった!…ぜんぜん起きないからしんぱいした…!」
「良かったわ、悠華…!」
「悠華、身体は大丈夫かい?」
仕切りに私を心配してくれる姿に戸惑いを感じる。
「…は、い…すこしだけおもくかんじますが、」
「まぁ、…熱があるのね…」
「…ゆうか、あつい…?」
「んーん、だいじょーぶ」
「何かあれば遠慮なく言いなさい。…早く元気な姿を見せておくれ。」
「…は、い…」
仕事中だったのか、お父様とお母様は従者に連れられ部屋から出ていったけど、最後まで私のことを心配そうに見てくれていた。
玲音は私と一緒にいると駄々をこねていたが、時間はもう夜中近いため、メイドに連れられていった。
さっきまで多く人がいたこの部屋は一気に静かになったけど、今の私には丁度よかった。
さっきまで夢の中で見ていたことを覚えている。
私は《ニホン》で生まれ育ち、皆瀬春香として生を受けた。
そして最後は中学に進学した私の最期だった。
はっきりと覚えている。
けれど、夢の中の“わたし”は、“悠華である私”に変わった事に驚いていた。
でも“わたし”には私の前世か、それとも誰かの記憶が私と共有してるという感覚しかない。
どこか夢の話のようで、現実的ではない。
今私に分かることは、“夢の中の私”と今の“悠華である私”の記憶や知識はリンクしていて、でも私は“悠華”であることがはっきりとしていた。
…言葉では表現しずらいけど、…んー、誰かの記憶を共有してるような?
…んー、…わからないけど、これは私とは別人であることにする。
そうだよ、私は五十嵐悠華で、五十嵐家令嬢で、双子の兄がいる。
それで、いいんじゃないかな。
投げやりな感じがするけど、私は私だし、難しいことはよくわからない。
たとえ、皆瀬春香としての記憶や知識があるとしても、五十嵐悠華はまだ3歳で。
多分他の子とは違う、変な子供だろうけど、それでいい。
私は五十嵐悠華として生き続けるんだから。
っと、夢の話はそれくらいにしておいて。
今の現状を理解しなきゃ。
だって明らかにおかしかったもの。
五十嵐家は《数付き》貴族として有名で、医療関係に秀でていて、その功績は計り知れないほど。
私達双子が産まれた時もそれは変わりなく、両親は私達を産んだらすぐに仕事に走るような“仕事人間”だったはずだ。
夫婦関係もいいとはいえず、それでも悪いとも言えず。
お互いの第一が仕事であるから、あまり家庭を顧みない人だった。
幼い私達の日常の記憶の中に、あんなに取り乱した両親の姿を見たことは無い。
なのに、…どうして?
戸惑いが胸の中を占めているはずなのに、どこか光が灯っているような感覚がする。
初めての感情にさらに戸惑うけど、ほっとして…少し、うれしい。
…まだ私が夢の中で、さっきの出来事が夢の話ではありませんように。
……………………………3歳にしては、大人すぎるかな…?
久しぶりの更新です!
受験生という事もあり今度はいつ挙げれるかまだ検討は着いてません。
しかし幼少期編は上げたい…けど、やっぱり3月初句までは出来ない…ですかね?
とりあえず一息の休憩とかにあげれることを考えてますので、お付き合いしていただけたら嬉しいです。
2015.10.11 綾瀬悠妃