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9.聖水最強?

書きたい内容が決まっていると書くのが楽で良いですね(^^)


一作品目も今日中になんとか更新いたしますm(_ _)m



ボス部屋らしき扉の前の巨木を退かした俺は聖水を口に含みながら休憩をとっていた。

次はボス戦なので万全の態勢で臨みたいのである。

なので戦う前に一度自分のステータスを確認したのだが……予想の斜め上をいく値に驚愕した。


「ブホォッ!ゲホッゴホッ!…ハァ………なんだこれ?」


思わず聖水を吹き出し、むせてしまった。


「めっちゃ体軽いとは思ってたけどなぁ。まさか自身のステータスが全部SSSとは……ん?召喚者上限だと?」


見ると、ステータスのあちこちにその文字が見受けられた。


「言葉通りに受け取れば召喚者の上限に達した……つまり、カンスト状態ってことか?」


しかしそうなると召喚者以外の場合はどうなるのだろう?


「確かシルヴィアは人類のステータス限界はS+って言ってたな。もしそれが嘘でなかったとすると…………」


上限値は種族によって異なる。

そういう予想がたてられるが、召喚者のような例外もあるのかもしれない。

どちらにせよ、ここで考えて片づく問題ではないのは明らかだ。


「……進むか」


俺は目の前の大きな扉を押し開けた。







ボス部屋に入った俺は慎重に気配を探りながら歩みを進める。

部屋の中は真っ暗で全貌は見渡せないが、途轍もなく広いことだけはなんとなく気配で理解できた。


そして圧倒的な強者の発する威圧感。

間違いなく敵は目の前に居るのだ。

しばらく歩き、やがて目の前に大きな黒い山のようなものが現れた。

が、俺は理解していた。


こいつこそがこの最下層の……ダンジョンのボスだということを。


俺が歩みを止めた直後。

部屋に取り付けられたランプに青い不気味な炎が灯された。

そして、目の前の山の正体も明らかになる。


それは、翼を丸め、休んでいる黒竜であった。

黒竜は部屋に炎が灯されているのに気づいたのか、瞳を開いた。

眼光が俺を貫いた時、あまりのプレッシャーに足が震えそうになるが、なんとか堪え、その瞳を見返し負けずと殺気をはなった。


黒竜は殺気に反応したのか、身を起こし、その大きな翼を広げ、常人であれば鼓膜が破れるほど馬鹿でかい咆哮をした。

それは衝撃波を伴い、俺へと向かってきた。

だが、


「はっ!」


俺は腕の一振りでそれらを薙ぎ払った。

衝撃波は呆気なく霧散した。

黒竜はそれに少々驚いたのか、瞼をピクリと痙攣させた。


さて、始めるか。

相手は体長15メートル程もある巨体だ。

一筋縄ではいかないだろう。

しかし俺は今まで生き残ってきたのだ。

今回も絶対に生き残ってやる。

俺は構え、黒竜目掛けて駆け出した。


「行くぞデカブツ!」

「グルォオオオオオオ!!」


戦いの火蓋が切って落とされた。







俺は駆け出した勢いのまま、相手の懐に入ることに専念した。


奴はドラゴン。

ならば、必ずブレスを放ってくるだろう。

遠距離にいればすぐに焼き払われてしまう。

だからこそ、一番最初に懐に飛び込み、戦いを有利に進める必要があるのだ。


「ま、そう簡単には行かないかっ!」


俺が接近戦にもちこむことを理解したのか、黒竜は巨体に見合わぬスピードで、巨大な死神の鎌のような爪を振り下ろしてきた。

俺はそれをギリギリまで引きつけてからサイドに跳んで避けた。


(問題無い。しっかり視えている)


黒竜のスピードに自分が対応できていることが分かった。


「なら、倒せる!」


もう片方の手が迫るが、それを今度は先程よりも更にギリギリで躱した。


(あともう少し…!!)


次に繰り出されたのは横薙ぎの尻尾攻撃だった。

尻尾は鞭のようにしなりながら向かってくる。

俺は垂直跳びの要領で跳んで躱し、懐まで一気に距離を詰めた。


巨体を支えるにはかなり足腰がしっかりしていて、姿勢制御が優れていなければ出来ない。

もしも人間が巨大化したなら、重量に耐えきれず、崩れ落ちてしまうだろう。

巨体を支えるのはとても難しいのだ。

だからこそ、バランスを少し崩してやれば奴は簡単に崩れるはずだ。


普通の人間なら間違いなく出来ない芸当だろう。

だが、ここにいる俺は全ステータスSSSのほぼ人外だ。

だから、やってできないことはない。


「せやぁああああああああ!」


雄叫びを上げながら跳んだ勢いを膝に乗せる。

狙うは下っ腹だ。

人間なら丹田がある箇所である。

鱗のない腹なら柔らかいため、内臓へのダメージも相当いくはずだ。


殺った!


と思った刹那。


バリーン。


「は?」


なんとも気の抜ける破砕音がなると同時に、途轍もない力に弾き飛ばされた。


「ぐぉっ!?」


壁に叩きつけられ、血が音を立てて流れ出す。

なぜだ?

今のタイミングは間違いなく直撃だったはずだ。

俺は視線を黒竜へと向ける。


そこで俺は思い出した。

ここが魔法の存在するファンタジー世界だということを。


「なるほどな……」


俺の狙った箇所の上には割れた闇色の魔法陣が何枚も重ねられていた。

魔法障壁。

ある程度の物理、魔法攻撃を防げる防御魔法だ。

その強度は属性を付与することで上がり、使用者の魔力次第では最強の盾と化す。

魔力が湯水の如く溢れ出しているドラゴンならば、防ぐことなど造作もないだろう。


「くそっ!すっかり忘れてた」


長らくこのダンジョンで戦ったが、ドラゴンほど魔力の多い奴には会わなかったため、障壁ごと抹殺していた。

それが裏目に出たのだ。

体は超再生により癒えている。

しかし、勝ち方が思い浮かばない。


「クソったれが!何か……何かないのか!」


ドラゴンがゆっくりと迫ってくる。

どうやらもう俺が瀕死だと思い込んでいるらしい。

今がチャンスか?

いや、アイツはまだ俺を警戒している。

もう一度行けば更に警戒させるだけだろう。

考えろ。考えるんだ俺。

今までだって何とかしてきたじゃないか!


黒竜をもう一度気付かれないように見る。

奴は近づくことをやめたのか、漆黒のブレスを溜め始めた。

そこにある破壊のエネルギーはこの身を灰も残さず焼き尽くすだろう。

そうなれば超再生も当てにならない。

まさに絶体絶命だ。


「くっ!せめてあの蹴りが闇の障壁に阻まれなければ…………ん?待てよ」


俺は迷わず鑑定を行使した。


*


邪黒竜ヴリトラ 竜族 Lv.120


ステータス???(レベルの差があるため鑑定不能)


・元々はダークドラゴンだった個体が進化したもの。

その身は闇属性の鱗に守られ容易に傷をつけることは不可能である。

全ての闇魔法を行使することができる。


*


ビンゴ!

闇の障壁。

漆黒のブレス。

そして、闇属性の鱗。

ここまでくればもうこっちのもんだ。


と、その時。

溜めに溜められた闇のブレスが俺へと襲いかかってきた。


インパクトの瞬間。

凄まじい爆音が轟き、ダンジョンを揺るがした。


「グルゥ」


勝利を確信したのであろうヴリトラは僅かに気を緩めた。

それが、大きなミスだと気付かずに。


直後。

煙から跳び出してきた俺を見て、ヴリトラは鋭い瞳を大きく見開いた。


「聖水なめんなぁあああ!」


ブレスが俺に直撃する少し前に俺はアイテムボックスから聖水の大魔石を取り出して頭からかぶったのだ。

そのおかげで闇属性は無力化され、無事だったというわけである。


懐に飛び込もうとする俺へ咄嗟に右手を盾に出したのは流石は歴戦の覇者。

だが、


「っらぁ!」


ヴリトラの右手に俺の拳がくい込んだ瞬間、

鱗が別の生き物のように蠢き出した。


「グルゥアアアアアアアアアアア!?」


ヴリトラは激痛に耐えかね、絶叫した。

ヴリトラを殴った反動で一度地に足をつき、再び一直線に懐へ入り込んだ俺は、先程失敗に終わった渾身の膝蹴りを腹めがけて繰り出した。

しかしまたも闇の障壁が俺を遮るように幾重にも貼られる。


「もうその手は通用しねぇ!」


俺は迷いなくそのまま突っ込んだ。

闇の障壁に俺の体が触れた瞬間、


障壁は跡形も無く消失した。


そのまま十分な体重と勢い、そしてSSSの筋力の乗った膝蹴りが完全にヴリトラの柔らかな腹に決まる。


ズン。


鈍い音と共に巨体が僅かに宙に持ち上がった。

ヴリトラは堪らず真っ黒な血を吐き出した。

あれだけ高い位置にあったヴリトラの頭が徐々に下がってくる。


好機到来。


俺は後方宙返りをして着地すると同時に、足に有らん限りの力を込めて下がってきたヴリトラの頭を横へ蹴り飛ばした。


「はっ!」

「グルゥっ!?」


またもヴリトラが黒血を吐き出す。

ヴリトラの頭がサイドに吹っ飛ぶのを待たず、俺は素早く回り込むと元の位置までまたも頭をサッカーボールよろしく蹴り飛ばした。


「これで、終だァああああ!!」


そして再び頭に追い付くと、ダメ押しとばかりにその頭を全力で蹴り上げた。

聖水の力により闇が無力化されたため、もはや紙装甲のヴリトラに為す術はなかった。

断末魔を上げることもできず、頭が吹き飛んだのである。

間違いなく致命傷だ。


「よっしゃ!」


こうして、ドラゴン退治は無事終了……しなかった。

俺は喜びのあまり最後に自分が何をしたのか忘れてしまっていた。


喜ぶ俺の頭上へ不意に影が差し込んだ。

俺が上を見たとき、既に倒れてきたヴリトラの亡骸が目の前にあった。


「いいいいやぁああああああああ!」


そして俺は意識を失った。










「酷い目にあった……」


目を覚ました時には、ヴリトラの亡骸は影も形も無くなっていた。


「あーあ。あれ、絶対高値で売れただろうに……ついてないな」


あれ、とはもちろんヴリトラのことである。

ま、何はともあれ倒せたし良いか。

アイテムボックスから聖水の大魔石を取り出し、聖水を飲みながら立ち上がる。

辺りを見回すと、少し先に剣が刺さっているのが見えた。


「ヴリトラのドロップか。収穫あって良かった」


そう言いつつ剣へと近づいていく。

ヴリトラが落としたことからさぞ名剣なんだろうと予想し、手に持って(・・・・・)鑑定した。


*


暗黒剣ヴリトラ

・ヴリトラのドロップアイテム。所有者はステータスが大幅に上昇し、状態異常にかからなくなる。この剣は決まった形を持たない。また、この剣は代償として所有者の血を喰らう。常人であれば一日ともたずに命を落とす。普段は所有者の血液と共に流ている。一度装備すれば二度と外すことは出来ない。


所有者:如月 聖也


*


「Oh…」


気づいた時にはもう遅かった。

剣は突如形を失うと、俺の右腕の脈へ吸い込まれるように入っていった。


「…………もういいや。超再生ずっと発動しててもあんまり問題ないし」


俺からしたら便利以外の何でも無いのだから、ここは開き直ってありがたく使わせてもらうとしよう。

一度試しに出てくるよう念じると、普通に出てきた。

刀の形をイメージするとその形に変化した。


「……結構いい拾い物だったな」


もっとも、俺以外は使えないだろうが。

まあ死ぬまで一緒らしいし、仲良くやっていこうか。


「さてと」


暗黒剣ヴリトラを体内に戻し、前を見る。

前方には大きく、豪奢な扉がある。

シルヴィアの話だと、あの先に転移結晶があり、それで外に出れるはずだ。

ついにこの時がやってきたのだ。

俺はツカツカと扉の前まで行くと、


「……っ」


万感の想いを込めて扉を押し開けた。




ステータスは変わってません。

所持品に剣が追加されるだけでございます(^_^)

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