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2.3つあるけど?

大変遅くなりました、申し訳ありません。

これからはもう少し頑張りますので見放さないでください(╥ω╥`)


ども。何の変哲もないゲーム、漫画、ラノベ好きな高校2年生如月聖也だ。

好きな食べ物はカレー。

嫌いな食べ物は不味いもの。

得意教科は実技一択。

最近ハマってることは課金するための費用を調達することだ。

ん?普通に本屋のバイトだよ。

なぜ本屋かって?

俺はコミュ障だからな。

最低限の会話で済む本屋はうってつけだったんだ、悪かったな!


さて、なぜいきなり自己紹介しだしたかって?

そりゃ今まで学校に居たのにいきなり大聖堂っぽい広間に一瞬で連れてこられたら誰だって現実逃避くらいしたくなるだろう?

ははは。もはや空虚な笑い声しか出てこんよ。


………………。


さて冗談はこの辺にしておいて現状を整理してみようか。

まずここにいるのはさっきまで学校の体育館にいた2年G組一同と先生10数名で間違いないだろう。

それで突然床が光ってここに来ってことだよな。


薄々思ってたんだけどさぁ。




これって異世界転移?





小説で言ったら間違いないだろうが、ここは現実だ。

しかし、もし小説通りの展開だったらここは王女とかが出てきて説明などを……。


「ようこそおいでくださいました、異世界の勇者様方!わたくしはこの国の第一王女、シルヴィア・ミストリカです。わたくし共『神聖ミストリカ王国』はあなた方を歓迎いたします!」


声のした方を見れば銀髪蒼眼の華奢で儚げな美少女がそこにいた。

うん、小説通りだったわ。

しかも異世界転移決定じゃんこれ。

マジか………………。





っしゃあああああああああああ!!!





俺は内心で思いっきりガッツポーズをした。

だってマジもんの異世界だよ?

しかも勇者。

これ最強チートフラグ立ったでしょ!

これから無双出来ることを思うとワクワクがとまらねぇ!


いったい自分は何チートなのかと考えを巡らせていると、第一王女シルヴィアがざわつく会場を宥めながら話を続けた。

黙って聞きますとも。

説明は大切だぜ?


「皆様、どうかご清聴ください。この国は今、未曾有の危機に追いやられています。卑しく、野蛮な亜人族とそれを率いる自らを魔王と名乗る者によって。ですからどうか力無いわたくし共にその強大な勇者様方の力をお貸しいただきたいのです!」


あ~。亜人達と仲悪い感じ?

獣人モフれないのかなぁ、と若干萎えていると会場から怒号が飛び交った。


「ふざけんな!」

「俺らに戦争しろっていってんだろ!」

「人殺しになんてなりたくねぇよ!」

「帰してよ!私達を今すぐに!」


などなど、まあ当然と言えば当然な結果になった。

するとそこで第一王女に勝るとも劣らない凛とした綺麗な声が大聖堂に響き渡った。


「落ち着け!ここで騒いでも話が進まないだろう?」


声の主は雨宮夏姫であった。

さすが社長令嬢。

喜んで従いたくなるようなカリスマ性を発揮している。

雨宮は第一王女に目を向ける。


「第一王女シルヴィア・ミストリカ様。幾つか質問をさせていただきたい」

「わたくしに答えられることであればなんでもお答えします。それとシルヴィアとお呼びください。敬語も必要ありませんよ」

「ありがたいな。それではシルヴィア、単刀直入に聞くが私達は元の世界には帰れるのか?」


その問いにシルヴィアは顔を曇らせた。


「……残念なことにそれは不可能でございます。理由としてはそのような術は確認されてないからです」

「召喚はできたのに、か?」

「それも我が家に代々伝わる文献から探し出したものですので確証が無かったのです。日を追う毎に増していく亜人達の攻撃は最早手に負えなくなり、国民の被害は増えるばかり。もうわたくし共はそれに縋るしか無かった。たとえ帰還方法が記載されていなくとも……」


なんかすげぇ亜人達が悪者みたいに聞こえるな。

でも肝心の攻撃された理由を言わないのは怪しい。

これは俺の持論だが、こういう場合において、相手の非ばかりを攻める奴は信用できない。

本人の自覚、無自覚は問わず信用できない。

ここは第三者の目が欲しいところだが、そんな便利なものは無い。

まあ一応覚えておこう。


「先ほど私達に強大な力があるようなことを言っていたな。私達は平和な国にいたのだ。そんな期待するような力は無いと思うが?」


雨宮はさっきからすごく冷静だな。

頼りになる。


「文献によれば勇者様方は皆、神よりそれぞれ一人につき一つずつ強力無比な力が贈られているそうです。わたくし共はそれをギフトと呼んでおります」

「ギフト?」

「はい。文献によれば、ギフトには様々なものがあり、どれもある分野において他の追従を許さぬ突出した才能なんだそうです。例えば、一度剣を持てば並みいる敵を薙ぎ倒すほどの剣技や、魔族にも勝るとも劣らない膨大な魔力、四肢の欠損までもを一瞬にして直してしまう回復魔法の才能など、人によって様々です。後ほどステータスプレートという自身の才能を見ることができる魔道具をお渡し致しますので、そちらでご確認下さい」


魔法や魔道具と言う言葉に会場がまたもざわめく。

しかし今度のざわめきは好奇心からなるものだった。

雨宮は続ける。


「なるほど。私達が戦力になることは分かった。しかし戦ったからといって、私達に何かメリットがあるのか?」

「金銭面や衣食住、その他戦闘に関するサポートはさせていただきます。また、何かご入用でしたら言っていただければ可能な限りご用意させていただきます。もちろん、戦いたくない方がいたとしても、この国で暮らしていけるよう職や衣食住は用意しましょう。ただ、戦ってくださる方々のように贅沢な暮らしは保証しかねます。ご了承ください」

「至れり尽くせりというわけだな」

「ただ、戦争が終わらない限り絶対に安全な場所というのは確保できません。ご理解ください」

「なるほど。結局戦わねば安全には暮らすことができない。なにより周囲の住人には白い目で見られるというわけだ。ふふ、上手い作戦だな」

「申し訳ございません」


やっぱり雨宮さんパネェッス!

要するに戦わずにそこらへんに住めばそこいらの住人から「何であいつ強いのに戦わねぇの?」と白い目を向けられるわけだ。

その場合一番安全で快適に暮らしをするには、現状この王宮に住まう他ないわけだ。

しかし、ここに居続けるには戦うしかない。

これは上手い手だろう。


「とりあえず質問はこれくらいだ。それで、私達はこれからどうすればいい?」

「はい。皆様にはこれからわたくしの父、この国の王に会っていただきます。そこでステータスプレートをお渡し致しますのでわたくしについてきて下さい」


ここで王様登場か。

果たしてどんな人なのだろうか。

少しワクワクしながら俺達一行はシルヴィアについていくのだった。








大聖堂から抜け、俺達は今大きな扉の前にいた。

シルヴィアがこちらを振り返り注意を呼びかける。


「ここが謁見の間です。皆様どうかお静かにお願いします」


俺達の話し声が聞こえなくなるとシルヴィアは静かに一礼し、扉を押し開けた。

そこは豪華絢爛という言葉がぴったりの大きな部屋であった。

中央にはレッドカーペットがひかれ、俺達より数段高い位置にある玉座には王らしき人物と隣には王妃や王子らしき人物も見受けられる。


「そのままわたくしについてきて下さい」


静かにシルヴィアが告げると、場の雰囲気に飲まれたのか皆大人しくシルヴィアについていった。

シルヴィアは部屋の中央まで来ると、立ち止まり王に言った。


「お父様。勇者様方をお連れ致しました」

「シルヴィア、ご苦労であった」

「もったいないお言葉です」


その言葉に王は大きく頷くと俺達を見回し、立ち上がった。


「よくぞ来てくれた勇者達よ!余の名はギルガメッシュ・ミストリカ。この国の王をしておる。余はこの国を代表してお前達を歓迎しよう」


王、ギルガメッシュはとてもダンディな男だった。

髪は金色で彫りの深い顔立ち。

身にまとう礼服と相まって威圧感を出している。

相当できそうな男だ。

名前かっけぇ。


「もうシルヴィアから聞いてるとは思うが、この国は今、亜人共によって危機的状況に陥っている。どうか余らにその力を貸してくれ」


そう言って頭を下げるギルガメッシュ王。

王が頭を下げるのは覚悟のあらわれか。

これはインパクトでかいな。

するとそこでまたも雨宮が手をあげる。


「私は雨宮夏姫。失礼ながらギルガメッシュ王に質問がございます!」


この状況に呑まれてないのはさすがだな。

かっこよすぎる。


「なんだ?」

「和解の道は無いのでしょうか?」

「……残念ながらそれはできん。奴らは人族を見下しておる。屈せば待っているのは悲劇以外には無いだろう」

「そう、ですか……」


出来ることなら戦いたくないのだろう。

雨宮は端正な顔を悲痛に歪ませた。



「いいじゃないですか助けてあげれば!」



そこで声が響き渡った。

その発信源は我がクラスのイケメン、木下勇樹であった。


「ここには困っている人々が居て、僕らが唯一救ってあげられる。なら話は簡単だ。助けてあげればいいんですよ!」

「き、木下君!何を言って……」

「てめぇと意見が合うのは気に食わねぇが、俺も賛成だな」

「久保田君まで!?」

「それに、望むなら何でも用意してくれんだよなぁ?」


そう言って嫌らしく笑みを浮かべながらシルヴィアに確認をとる。


「わたくし共に用意できるものであれば、可能な限りご用意いたします」

「だったらいいじゃねぇか。亜人共を倒しさえすれば地球(あっち)では到底出来ない贅沢ができるんだからよぉ」

「ちょっと待てよ久保田!そんな簡単に決めていいことじゃ……」

「てめぇはスっこんでろようぜぇなぁっ!」

「ぐはっ!?」

「聖也君!」


このままではまずいと思い声を張るが、殴り飛ばされる。

痛ってぇ。

唇が切れて血が出てきた。


「久保田君考え直せ!そんなことは……」

「大丈夫だよ雨宮さん。君は僕が守るから」

「木下君!?」


するとそこかしこから同意する声が聞こえてきた。


「だ、だめですよ!そんなこと!」


我らが担任ちはるんが反対の声をあげるが、ある女の子がちはるんに希望を持たせる。


「でもちはるん、こっちでなら彼氏出来るかもだよ!」

「そ、そそそそんなことは今関係ありません!私は教師として皆さんを無事に保護者の方に帰す義務が……」

「じゃあその方法はあるのかよ?」


久保田が分かりきったことを言う。

こいつホントに性格捻じ曲がってんな!


「そ、それは……」

「無いなら偉そうに義務とか言ってんじゃねぇよ!ここはもう学校じゃねぇ。アンタらに従う理由なんて何一つねぇな!」

「そんなっ!」

「俺は好きにやらせてもらう!」


久保田が暴走してんな。

これはヤバそうだ。

ちはるん以外の先生も必死に説得を試みているが、効果が無いようだ。

最後に木下が王へ言った。



「僕達は魔王と戦います!この国の平和を掴んでみせましょう!」



その宣言に、生徒からは歓声が上がった。


「感謝する……勇者達よ!」


もはやこうなってしまっては大人達もどうしようもなかった。


「ではこれよりステータスプレートをお配りいたしますので少々お待ちください」


待機していた兵士達がステータスプレートを配る。

その間にシルヴィアがステータスプレートについての説明を開始した。

と言っても使用方法は簡単だ。

「ステータスオープン」と言えば勝手に微量の魔力を吸い取られ、自分のステータスが表示されるらしい。

記載されるステータスは、氏名、年齢、種族、レベル、職業(ジョブ)、能力値、スキルの大きく分けて計7項目。


ジョブはゲームでよくある剣士とかそういうの。

能力値はHP、MPは数値化され、残りのATK、DEF、AGI、DEX、VIT、はF-~S+までで表記されている。

それぞれ攻撃力、守備力、敏捷、命中、体力であり、村人レベル1だと平均Eだそうだ。


スキルは持っている人と持ってない人が存在し、持っている人の方が遥かに強くなるんだとか。

ちなみに持ってない人のほうが多い。

だから勇者は優遇されるのか。

ギフト万歳!


そうこうしていると、全員にステータスプレートが行き渡ったようだ。


「では皆様、ステータスオープンと唱えて下さい」


そこかしこからステータスオープンという声が聞こえてきた。

よし!俺もやるか!

切れた唇が痛むが、我慢して唱えた。

結構血が出て痛いんだよ。


「ステータスオープン!」



如月聖也 17歳 人族 Lv.1


職業:腹切侍(はらきりざむらい)


HP:1000/1000 MP:100/100

ATK: D

DEF: E+

AGI: C-

DEX: D+

VIT: B


スキル:

・侍の最期腹切り

血を流せば流すほどにステータスが上昇する。上昇率は流した血に比例する。

腹切りを行うと効果が大幅に上がる。

変化したステータスが下がることはない。


・BP操作 現在BP:23

流した血に比例しBP(ブラッドポイント)を取得する。

BPを使ってスキルを取得することが可能。


・超再生

血液、四肢の欠損をも瞬時に再生させられる。

自身の細胞がある限り再生は可能。

また、意識的に止めることも可能。





――――――――――――――――――は?




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