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2012年11月・12月  作者: 山猫亭
12月
4/7

【悠】ふしぎ

ホラー系等書こうと思ったらいつの間にかホラー要素が抜け落ちてました。自分はやっぱりこの路線しかかけないのだろうか?

「ねぇ、あの部屋の噂って知ってる?」

「あの部屋って旧校舎四階の部屋のこと?」


 この学校には噂がある。

 噂……というより七不思議といったほうがいいのだろうか? 各学校にそういうものはあると思う。この学校の七不思議は夜中に鳴り響くピアノ、無人なのにチャイムがなり始める放送、のこぎりで何かを切っている音が聞こえる技術室、本が宙に浮く図書室、動く人体模型、教室に浮遊する幽霊という一般的な六つがあり、最後にこの旧校舎四階の開かずの間がある。

 いつも南京錠がさてれある部屋が旧校舎の四階にあるのだ。なぜいつも南京錠がされてあるのか? それは赤ちゃんがそこで亡くなったかららしい。


 南京錠という簡素な留め具で大丈夫なのかという話も出ているが、旧式の鍵は輪を通すタイプの扉のため南京錠しか使えないのだ。

 そんな部屋を放置してる学校もどうなのかと思っているのだが、旧校舎は使用しているため取り壊すこともできずそのままの状態で放置してある。また、隣が会議室のため扉の前まで立ち寄るのは簡単だ。南京錠も簡略な作りなので入ろうと思えば普通に入れるはずである。

 不良の生徒が南京錠を壊そうとした。工具に指を挟んで骨折した。技術部の人間がピッキングしようとした。突然心疾患を起こして半年入院することになった。などなどのことが実際に起きたためもうそのようなことをする人はいない。

 そんなん場所がどうしたのだろうか。

「実はさ、いじめられっ子の彼いるじゃん? なんか夜に入ることになったらしいよ」

「いじめられっ子の彼って……谷川くんだっけ?」

「そうそう。で、証拠として中の写真を取って来いだって。」

 不良生徒が面白半分にやったのだろう。とても危険である。

「そんなことあったんだ。で、それがどうしたの?」

 私は平静な感じでそう答えた。

「それ今日やるんだって! 私もあの中知りたかったから楽しみ!」

 そういう彼女。私はというと微妙な心情である。別に谷川くんのことが好きでも嫌いでもないしどうでもいいけれども学校で死人が出るのは虫が悪い。それに噂など興味もない。

 そんな話をしているうちにホームルームが終わった。帰宅の時間だ。

「じゃあまた明日ね!」

 彼女は部活、私は帰宅で向かう場所は真逆だった。


 夜になる。なんとなく学校に来てみる。

「やっ! 谷川くん!」

 彼はビクッとした感じでこう答える。

「や……やぁ、こんばんは。えっと、河合さんだっけ?」

「正解。ね、一緒に入ろう?」

「え、でも……」

「いいから」

 こうして私たちは校舎の中に立ち入った。


 事前に調べた結果、職員室の鍵かけの一番右下にその鍵があるらしい。先生に頼られる立場って素晴らしいね。職員室にすぐに入れるから。

「はいこれ。持ってくでしょ?」

「あ、ありがとう」

 すらっと鍵を取り、旧校舎四階へ向かう。軽快な足取りで怖さを感じていないかのように振る舞う。ちょっとした強がり。

 実は夜の校舎に入るのはこれで二回目である。一回目は友達と六人で七不思議ツアーをするという感じで入ったのだ。

 結果から言うとほとんどがデマだった。しかし、この開かずの間だけは調べなかった。いや、調べられなかったのほうが正しいのだろうか?

 旧校舎の階段を登っている時に起きた出来事である。四階に向かう途中の踊り場で二人が意識を突然失った。そして残りの三人は激しい頭痛を訴えた。無事だった私はまず気を失った子を一人ずつ玄関まで連れて行った。後の頭痛で苦しんでいる三人には協力できる範囲で協力を仰ぎみんなで無事に脱出した。それが一回目。

 それを思い出しつつ無言のまま進む私と谷川くん。旧校舎四階の踊り場を超えた。そして部屋の前についた。私の心臓は突き抜けそうなくらいにバクバクしている。谷川くんもそうだろう。そして彼は決心したかのようにこういった。

「鍵は僕が開けるよ」

 そして彼は鍵をあけた。


 カチャッ!


 ドアを開く。そこには一畳の小さな部屋があった。私と彼で部屋の中に入る。


 ガシャッ!!!


 突然ドアが閉まった。内側からは開かない。

「ねぇ、どうするこれ?」

 諦めた顔で谷川くんに聞く。

「とりあえず写真取る。河合さん、お願いします」

 なんとルーズなのだろうか。仕方なく写真を取ることにした。

 シャッターが落ちる。写真を保存する。これで完璧だ。あとは外に出れればよろしい。


 ドンッ!


 大きな音が鳴り響く。

 部屋が揺れる。

 全身が痛くなる。

 私は悟った。

 あぁ、怒りに触れたのか。

 私は諦めた。

 意識が遠のいた。


――――――――


――――――


――――


――


「僕はいじめられっこだ。キミはどうなのかな? 赤ちゃんの頃にそのまま死んじゃったからわからないとは思うけれども幸せだったかな? 僕は幸せだよ。学校でいじめられても、僕を気にしてくれる人がいる。それだけで僕は嬉しいんだ。一人の人間として僕がいるって認めてくれているから。偽善であってもいい。僕の存在を認めてくれるなら。だからキミも前を向いて歩こう」




 目が覚めた。私はどうしたんだろうか? 確か開かずの間の中で……

「あ、気づいた?」

 谷川くんが声をかけてきた。

「いきなり倒れたからビックリしちゃったよ。今は保健室。安静にしてもらってるところ」

 彼がここまで運んできてくれたんだ。少しうれしくなった。

「ありがと……体調も良くなったしそろそろ帰ろうかな」

「僕の方こそ、付きあわせちゃってごめんね」

「いいよ、勝手についてきただけだし」

 お互いに笑いあった。


 帰り道、近くの公園のところまで一緒だったので一緒に帰ることにした。無言でお互いに並んで歩くだけ。でも寂しくはない。暖かかったのだ。

 そして公園についた。

「僕こっちだからここまでだね。時間的には送りに行ったほうがいいと思うけど……」

 時刻はすでに三時を回っていた。私はクスっと笑ってこういった。

「谷川くんも帰り遅くなるでしょ? それに今日親いないから送り狼になったら困るし」

「分かった。じゃあ僕はここで帰るとするよ。河合さん、本当にありがとう」

 帰ろうと踵を返す彼、私は呼び止めた。

「ちょっと待って!」

「え? まだ何かある?」

「今日のことでね、好きになっちゃったかもしれないの……でね、えっと、もーなんでもない! また今度ね!」

「ちょっと! 河合さん!!」

 私は彼の呼び止めも無視して走って帰った。



 あれから十日経過した。その後のことを少し語ろうと思う。

 まずは開かずの間、鍵はしっかりとかかっていた。これは谷川くんのおかげだろう。

 次に開かずの間まつわる怪奇現象についてだ。あらかた収まった……訳ではないけれども以前よりもましになった。骨折とか心疾患の人は出なくなり、一律気を失うだとか頭痛だとかという範囲に収まっているらしい。これについて谷川くんに何があったのか聞いてもなにも教えてくれない。

 最後に谷川くんについてだ。以前よりも強くいじめっこにぶつかっていく事によっていじめというものがなくなった。ちょうどあの日を堺に何かが変わったのだと思う。あの部屋で何かがあったのだろうか? これも彼に聞いても何も教えてくれない。

 これが今回の騒動で大きく変化したことである。

 小さな変化? それはどうでもいいことである。私にまつわる変化なのだから。


 チャイムがなった。

 教室を出て校門の前で人を待つ。

 ほら、急いで来た。

 十日前に芽生えた左手の感触を確かめながら私はゆっくり一歩一歩踏みしめていった。

開かずの間……ではないですけれども小学校に「謎の部屋」という部屋が南京錠で施錠されていました。赤ちゃん云々っていう話もこの話からとってきたっていう感じです。

 この部屋の詳細を語ると長くなりますけれども小学校の思い出話をただもっと大人目線でホラー・ミステリー系で書いたらどうなるかなって感じで書いてみたかっただけです。はい。

 帰り道の公園も実際に小学校と家の中間辺りに公園があったなっていうことを思い出して書いてみました


 つたない文章ですがあとがきまで読んでくださってありがとうございました。

……流石に文庫本と違ってあとがき最初に読む人はいませんよね?

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