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第五回・強敵、現る

秘密基地で考えてもらったキャラが二人登場します。

前回、所長の友人の小次郎さんから依頼を受け、我々探偵事務所はレイチャー=ラインという男の捜索に乗り出しました。


所長はあちこちの店…店と言っても、早い話が「ヤ」の字がつくような人が経営する店なのですが…。

とにかく、いろいろな店を訪ねて情報を集めます。

一緒にいるのは白鷺さんと鳶さん。

ロボットと言えども子供をその道の店に連れていくのは気が引けるので、夜鷹君は留守番です。




「レイチャー=ライン ? 元傭兵やな。あいつはやばいで。戦争のプロやさかい」


丸いサングラスをかけた中年の男性が、そう言います。


「そこは安心しろ。俺もストーキングのプロだ」


所長、探偵の仕事とストーキングを同列に見ないでください。


「最近はZV社に雇われとるらしいで。まあ、何を企んでおるのか解らへんが…」


「へえ、ZV社…」



ZV社とは、主にレーザー兵器を作っている会社で、現在宇宙軍などで使われているレーザーガンの60%が、そのZV社の製品だと言われています。

しかし、最近その会社には何かと黒い噂が流れているのです。



「聖山はんやったら大丈夫やろから、教えたるで。今日の7時半…駅の裏にある廃ビルで、ZV社が用心棒を連れて何処かと会合を行うそうや」


「解った。ありがとうな」


所長はそう言って、数枚のお札を置いて店から出ていきました。



「聖山さん」


白鷺さんが、所長に話しかけます。


「廃ビルに行くのですか ? 」


「行くとも」


「危険度78.99%です」


白鷺さんは、警告するような口調で言います。

でも、聞くような人じゃないから…


「ああ、危険だな。けど行く」


やっぱり所長はそう言いました。


「俺には俺のこだわりがある。こんな中途半端な仕事しただけで、報酬をもらう気にはなれないしな」


「行ってはいけません。危険です」


白鷺さんがそう言うと、所長は、


「なら、お前が俺の側にいてガッチリ守ってくれればいい。お前ら、人間よりずっと強いんだろ ? 」


そう言いながら、腕時計を見ます。


「5時10分か…今から事務所に戻って、刀持ってくるか」


「刀…時雨裂を使うんですか ? 」


私はそう尋ねました。


「ああ、そうしなきゃいけない相手だろう。多分な」


「…所長、まさか戦う気じゃ… ? 」


「安心しな。できる限り戦わないで逃げるようにする」





…そして、私達が事務所に戻って装備を調え、廃ビルに向かって出発したのは7時20分でした。

所長が「何処かに対レーザー用ベストをしまっておいたような気がするから、それを探しだして着ていこう」とか言うので、対レーザー用ベスト探しに2時間以上費やしました。



ベストを四着見つけだし、所長は夜鷹君を留守番に残して、私と白鷺さん、鳶さんを連れて廃ビルに向かいました。

やがて到着したそのビルは、もうかなりボロくなっていました。


「聖山さん、このビルには生命反応はありません」


白鷺さんが言います。


「お前らがいると便利だな。レーダー内蔵だし」


「所長、しばらく待ちますか ? 」


「そうだな、菓子パンも用意したし。張り込みの基本は菓子パンだからな、覚えておけ」


所長がまた意味不明なことを言ったとき、白鷺さんの表情が僅かに変わりました。


「…裏手の方に、誰か来たようです。今レーダーに反応が有りました」


「裏手か。よし、気づかれないように、静かに行くぞ」


所長はそう言って、ゆっくりと歩き出しました。

この時ばかりは物音を立てるのはまずいので、所長は下駄ではなく草履を履いています。


そして、ビルの裏に回ると、会話が聞こえてきました。



「例の物…ちゃんと奪ってきたんだな ? 」


「ああ。この通りだ」


ビルの柱の陰に隠れて、裏口の中を覗き込んでみると、男性三人が話していました。


短いジャケットを上半身裸で来ている男が、ネクタイを締めてサングラスをした男に鞄を手渡します。

サングラスの男がそれを受け取って中身を確かめるのを、その隣にいる日本刀を携えた赤い髪の男は黙って眺めていました。


「…よし、間違いないな。さすがはレイチャー=ライン。見事だ」


「世辞はいいから、今回の報酬をもらいたいね」


「わかっている」


サングラスの男は自分が持っていたトランクを、ジャケットの男…レイチャー=ラインに手渡します。

と、その時。

赤髪の男が、蛇のような目つきをして、私達の隠れている方を睨みます。


「どうした ? エリウッド」


「……鼠だな」


そう言って、その男は刀に手をかけました。



その瞬間、私は金属同士がぶつかり合う音を聴きました。

赤髪の男と同時に所長も抜刀し、赤髪の男の一太刀を受け止めたのです。


「…先に逃げてろ」


赤髪の男はサングラスの男にそう言うと、刀を握り直して再び所長に斬りかかります。

所長も時雨裂の柄を握って、受け止めます。


「所長 ! 」


私は咄嗟に、愛用の暗器・九節鞭を取り出しました。

金属製の細い棒をいくつもつなぎ合わせ、先端に鋭い切っ先を着けたムチです。

私がそれを赤髪の男に向けて放つと、男は刀でそれを防御しようとしました。

私の九節鞭がその男の刀に巻き付きます。


すると…


「…燃えろ ! 」


何が起きたのか、一瞬解りませんでした。

その男の叫びと共に、刀身から炎が沸き出したのです。

私の九節鞭がその衝撃で刀からはずれます。



「…昔聞いた、“火之迦具土神ひのかぐづち”のエリウッドってのはてめぇのことか ! 」


所長がそう言って、刀を握り直します。


その時、レイチャー=ラインが私に接近してきました。


「悪いな、逃がすわけにはいかねぇ」


その時、白鷺さんが右から、鳶さんが横から飛び出してきて、ラインの腕に組み付きます。


「くっ…なっ…」


ラインは振りほどこうとしますが、ロボットの腕力に押さえつけられ、動けないようです。


私は咄嗟にラインに接近し、腹部にパンチを入れようとします。


と、その瞬間に、細い鞭のような炎が、私の方に伸びてきました。

白鷺さんが私を突き飛ばしてくれたので、私はなんとか助かりました。



「“慎伸焔”…この呪刀『焔産霊ほむすび』の変幻自在の炎、いつまでも逃れられはせぬ…」


エリウッドがそう言いました。


「玲奈、逃げてろ ! 」


所長がそう言って、時雨裂の刃を水平に構え、突きを繰り出します。

新撰組が得意としたとされる、平突きと呼ばれる形です。

エリウッドが横に避けると、所長は横に薙ぎ払って次の攻撃に繋げます。

しかし、エリウッドの刀は振る度に炎が飛散し、所長は苦戦を強いられています。






ズシュゥゥン !




轟音に私がハッと振り向くと、そこにはビームショットガンを握っているラインと、その隣で倒れている鳶さんの姿がありました。


「鳶さ… ! 」


私が叫んだ瞬間、ラインは私に接近してきました。

私は咄嗟に九節鞭を放ちます。


「ちっ、厄介な武器を持ってやがるな。だが、女には銃は使わない主義だ…」


そう言うと、ラインは私めがけて拳を振り上げました。


「東風さん、危ない ! 」


白鷺さんが飛び出してきます。

ラインは再び舌打ちすると、ビームショットガンを白鷺さんに向けました。





その時、別の方向から一筋の光が飛来しました。それはラインのビームショットガンの銃口と、白鷺さんの間を通り抜け、所長とエリウッドが戦っていた側の壁に穴を空けました。


「そこまでだ」


私はその声のする方を見ました。

そこには、長いレーザー銃剣を構えた、小次郎さんの姿がありました。


「…“独眼天龍”か…」


エリウッドが、所長から離れて間合いを取り、そう呟きます。

見ると、所々所長に斬られていたようです。

所長の方も、肩に傷があり、服が焼けこげていました。


「厄介だな…ライン、退くぞ ! 」


「ちっ」


そう言って、エリウッドの後に着いて、レイチャー=ラインも引き上げていきます。

所長も私達も、そして小次郎さんも、それを追いませんでした。



「誠、大丈夫か ? 」


小次郎さんが、所長に近づいて、言います。


「俺は大したことない…鳶は ? 」


「まだ直ります、聖山さん」


白鷺さんが、倒れている鳶さんの体を調べて言います。

鳶さんの胸には、ラインに撃たれた穴が空いていて、中の機械がはみ出していました。


「玲奈、鳶を平井の所に運べ。すぐにだ」


「はい ! 所長は…どうするんですか ? 」


「いいから早くしろ ! 白鷺、一緒に行け ! 」


「あっ、は、はい ! 」


「了解しました」






私と白鷺さんは、目を閉じて動かない鳶さんをエアカーに乗せ、科学省に向かいました。





「平井 久国さんをお願いします ! 」


私は受付の人にそう言うと、鳶さんをソファーに寝かせました。

やがて平井さんの部下がやって来て、鳶さんを連れていきました。

私と白鷺さんも後に続きます。


「酷くやられてるな…」


「動力炉は大丈夫か… ? 」


エレベーターの中で、平井さんの部下達がそう話しています。


そして、平井さんの開発ラボに到着し、平井さんが早速修理に取りかかりました。


「…大丈夫ですか ? 」


「まあ、なんとかなるよ。ただ、時間はかかるかもしれない。帰って、聖山に伝えてくれ」


「はい、お願いします…」


私はそう言って、白鷺さんと一緒に事務所に帰ることにしました。



「Dr.平井なら、直せるはずです。心配する必要はないですよ」


白鷺さんがそう言います。


「ええ、そうですね…」


私はそう言って、エアカーのエンジンを起動させました。

戦闘シーンなど、ちょっと不安が残ります。

よろしければアドバイスなどをお願いします。


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