表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/24

義雄4

 見知らぬ女の子から急にいとこだと言われて、疑うべきなのかもしれない。

 しかし義雄は、そんな気になれなかった。




 退屈な毎日。

 学校と家との往復。


 わかり切っていることを、くどくどと念押しする先生たちに、くだらない下ネタでゲラゲラ笑うだけの生徒たち。

 がり勉だと決めつけて、卑怯なからかいを仕掛けてくる、低俗なサルども。


 家に帰ったら帰ったで、笑顔をはりつけた、作り物のような母親。




 ああ、だからといって、そこから飛び出すだけの力なんて、自分にはないのだ!

 大人になるまで、じっとがまんするだけ。





 放課後、義雄はパソコン教室に行く。

 そこは情報クラブの部室兼用なのだ。


 顧問の先生は放任主義で、ほとんどいない。

 それをよいことに、常連の数人がこっそりとゲーム機を持ち込み、FFやマリオゲームなんかに興じている。


 ゲームのキャラや攻略方法について熱く語り合えさえすれば、たちまち仲間になる。

 そこだけが、義雄の息抜き場所なのだった。



 目の前に繰り広げられる、非日常の世界にずっぽりと入り浸り、無心にコントローラーを操る少年たち。

 いろんな色の光に照らし出された顔は、まばたきもしない。


 難しいステージをクリアしたり、敵を一掃したりすると、うらやましがられ、尊敬される。

 万能の神になったような満足感に浸れる。

 


 であるからして、たやすく攻略できるようなゲームは、義雄の好みではない。


 何度も失敗し、どうにかしてクリアしてやるといろいろと戦略を練って、自分の思惑通りにできた時の満足感といったら!

 退屈なんて、吹き飛んでいく。




 

 今、かすかに体温が伝わるほど接近している、生身の(かぐわ)しい少女は、義雄の本能を、いたく刺激していた。


 だいたい、彼女の登場の仕方からいって、これはもう、新たな世界の(とびら)が開いた、といってさしつかえない。


 義雄は、彼女に選ばれ、召喚されたのだ。

 義雄のストーリー。未知の冒険へと。


 キツネでも、ゴーストでも、全くかまわない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ