義雄4
見知らぬ女の子から急にいとこだと言われて、疑うべきなのかもしれない。
しかし義雄は、そんな気になれなかった。
退屈な毎日。
学校と家との往復。
わかり切っていることを、くどくどと念押しする先生たちに、くだらない下ネタでゲラゲラ笑うだけの生徒たち。
がり勉だと決めつけて、卑怯なからかいを仕掛けてくる、低俗なサルども。
家に帰ったら帰ったで、笑顔をはりつけた、作り物のような母親。
ああ、だからといって、そこから飛び出すだけの力なんて、自分にはないのだ!
大人になるまで、じっとがまんするだけ。
放課後、義雄はパソコン教室に行く。
そこは情報クラブの部室兼用なのだ。
顧問の先生は放任主義で、ほとんどいない。
それをよいことに、常連の数人がこっそりとゲーム機を持ち込み、FFやマリオゲームなんかに興じている。
ゲームのキャラや攻略方法について熱く語り合えさえすれば、たちまち仲間になる。
そこだけが、義雄の息抜き場所なのだった。
目の前に繰り広げられる、非日常の世界にずっぽりと入り浸り、無心にコントローラーを操る少年たち。
いろんな色の光に照らし出された顔は、まばたきもしない。
難しいステージをクリアしたり、敵を一掃したりすると、うらやましがられ、尊敬される。
万能の神になったような満足感に浸れる。
であるからして、たやすく攻略できるようなゲームは、義雄の好みではない。
何度も失敗し、どうにかしてクリアしてやるといろいろと戦略を練って、自分の思惑通りにできた時の満足感といったら!
退屈なんて、吹き飛んでいく。
今、かすかに体温が伝わるほど接近している、生身の香しい少女は、義雄の本能を、いたく刺激していた。
だいたい、彼女の登場の仕方からいって、これはもう、新たな世界の扉が開いた、といってさしつかえない。
義雄は、彼女に選ばれ、召喚されたのだ。
義雄のストーリー。未知の冒険へと。
キツネでも、ゴーストでも、全くかまわない。




