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8話 私、アンナちゃんの物になる!?

前回のあらすじ

アンナちゃんに健康な生活を送れるようにした

 アンナちゃんの拠点に住み始めてから一週間が経過した。

 最近の日課は朝二人分の朝食と弁当作り。

 今日はサンドウィッチをアンナちゃんに持たせた。


「美味そうだな、じゃあいって来るよ久里」

「うん、いってらっしゃいアンナちゃん!」

 

 ちょっと嬉しそうな顔をするアンナちゃんを見送る。

 この一週間でアンナちゃんは私の事を名前で呼んでくれるようになった!

 というか普通に私が名乗るの忘れてただけみたいなんだけど。

 さアンナちゃんが出勤したらまずは拠点の洗濯と掃除。

 それが終わると健康のため外で軽く運動。

 屈伸したりちょっと走ったり。

 結界の中だからあんまり動けないけどそれくらいのスペースはある。

 時間が余るとアンナちゃんの本を読んだりする。

 男を魅了する方法が書かれた本ばっかだけど恋愛モノもあってなかなか楽しめている。

 このセクシーポーズってやつ今度やってみようかな?

 夕方になると夕食の準備。

 アンナちゃんが食材を持ってきてくれるのでそれを使う。

 今日は具沢山のシチューでも作ろうかな。

 調理中にアンナちゃんが帰って来て、本に書かれたセクシーポーズをしながら『お風呂にする? ご飯にする? それとも……」って冗談を言おうとしたら「風呂で」とあっさり返された。

 もーちょっとは相手してくれてもいいじゃない。

 拠点の外に周りを板で囲ったお風呂専用スペースを作ったので、そこにバスタブを出してアンナちゃんが入る。

 結構気に入っているみたいだね、私もだけど。

 その後は二人でテーブルに座って夕食の時間。

 この時アンナちゃんとはよく喋る。


「今日の仕事はどうだったの?」

「成果無しさ。勇者を召喚したという事実は公表しているが、肝心の勇者とその仲間に関する情報は徹底的に隠されてるようだ」

「そうなんだー」


 そんな感じで今日はどうだった? みたいな事を話す。

 ちょっと前から思ってたけどまるで夫婦みたいな生活だよね。

 いいのかなこれ?

 

「逆に久里の話はかなり広まってるな。高額賞金首として国中に似顔絵が貼られているぞ」

「私が一体何をしたっていうのー!?」


 そりゃ脱獄はしたけどさ!?

 罪が重過ぎない!?

 うーんそう考えるとアンナちゃんに捕まったのは寧ろ良かったかもしれないなー……。


「あ、そう言えば久里。一つ決めたことがあるんだが」

「え? どうしたの?」


 アンナちゃんが急にその赤い瞳で私を見つめて来る。

 そして。


「久里……お前、あたしの物にならないか?」

「え!?」


 思わず木のスプーンを床にカランと落とす。

 だって告白だよ!?

 しかも女の子から!

 いや、落ち着くんだ私!

 アンナちゃんって見た目はともかくサキュバスらしく妖艶で大人の雰囲気がある。

 確かに魅力は十分あるけど!

 それでも私は!!


「ごめんなさい! 私結婚するなら男性って決めてるから!」

「なに気色悪い勘違いしてるんだ!! あたしが言ったのは奴隷の件ついてだよ!!」

「え? 奴隷?」

「おい……まさか忘れてたのか?」


 アンナちゃんが呆れた目をしてこっちを見て来る。

 確かにここに連れてこられた時、そんな話してたような……。

 拠点が汚い事ですぐ頭いっぱいになったからすっかり忘れてた。


「はぁ……とにかく、お前を奴隷として売るのはやめてアタシのメイドとして雇う事にした。異論はないな?」

「うーん私もアンナちゃんなら安心だけど……え、なんでメイド?」

「お前のスキルはメイドとか使用人向けだろう」

「えー? 私のスキルは健康を損なわないためのスキルなんだけど……」

「でもやってる事はほぼ変わらないだろう?」


 そう言われて、自分のスキルで出現した道具と効果を思い出す。

 

 太陽の光で空気、水を浄化するランタン「キュアシャイン」

 部屋のゴミや散らかりを一瞬で片付ける箒、『レインボースイーパー』

 どんな頑固な汚れでも落とす洗剤水が入った洗濯桶、『バブルウォッシュバレル』

 どんな食材でも健康的で美味しい料理を作れるようになる調理器具『ヘルシークッキング』(試したら鍋以外も出せた)

 体の汚れを落とし、とてつもないリフレッシュ効果がある魔法のバスタブ『クリーンホットバス』

 すぐ眠ってしまうほどリラックスできる魔法の香水、『フローラルスプレー』


 以上の六つだね。

 一週間の間で魔法の道具らしく名前もつけたよ!

 うーん……確かに人を健康的にお世話する物ばっかと言ってもおかしく無いかも……。


「ところで、なんで私を自分のメイドにしようと思ったの?」

「それは……別にいいだろう? そろそろメイドが欲しいと思っただけだ」


 アンナちゃんがそっぽ向きながらそんな事を言う。

 ははーんこれは……。


「アンナちゃん……私を手放したく無くなったんでしょう?」

「な!? 別にそんな事……!」


 わかりやす!

 よーしここは……。


「私がいないとまたゴミ屋敷に逆戻りだもんねー? 以前これでいいんだよみたいな事言ってたけど、清潔で快適な生活のほうがやっぱいいってわかったんでしょー。正直に言えばいいのにこのこの〜」


 ニヤニヤしながらアンナちゃんの肌を指で突っつきまくる。

 いつも真面目なアンナちゃんを弄るの楽しいな〜♪


「……よしやっぱお前を簀巻(すま)きにして王都の入り口に置いて来るか」

「ごめんなさい。それだけは勘弁してください」


 アンナちゃんがキレたので速攻土下座して謝った。

 うん、やり過ぎた。

 反省。


 ……そして次の朝。


「そういえば久里、今日は魔王城に行くぞ」

「え、魔王城!?」


 魔王城って言ったら魔王様が住むお城だよね?

 多分凛華さん達が最終的に目標にする場所でもある。


「ああ、魔王様へ定期報告しに行くんだ」

「そうなんだ。でも、魔王城ってそんな近くにあるの?」

「アタシの転移魔法なら一瞬で着く。何も問題はない」

「流石アンナちゃんだね! よーし、今日は気合い入れて弁当を作るから報告頑張ってね!」

「なにを言ってるんだ? 久里、お前も行くんだよ」

「え」


 一瞬頭が真っ白になった。

 私が魔王城に行って魔王様に会うの?

 いや、なんで!?


「なに意外そうな顔をしてるんだ? この一週間で得られた情報は結局お前の証言だけだからな。連れていかなきゃ話にならないだろう」


 あーそうだったー!!

 私凛華さん達の事喋ったんだったー!!

 確かに情報吐いた本人連れくの当たり前じゃん!!

 こ、こうなったら……。

 

「行きたいんだけど……ちょっとお腹の具合が……」

「常に健康を気にしてるお前が仮病使っても説得力ないぞ」

「グフッ!?」


 至極真っ当な言葉の刃が突き刺さり床に崩れ落ちる。

 逃げ道はないみたい……。

 結局その一時間後、出かける準備を終えた私とアンナちゃんは拠点の外で立っていた。


「じゃあ魔王城への道を開くぞ、準備はいいか?」

「う、うん」

「よし……開け、転移の門よ!『l門ゲート』!」


 アンナちゃんが闇の魔力を解放し呪文を唱えると、直径二メートル程の大きな黒い空間が現れる。

 

「す、凄い! これが転移魔法!」

「これは……どういう事だ?」


 初めて見る凄い魔法に私が感激している横で、アンナちゃんが不思議そうな顔をしている。


「どうかしたのアンナちゃん?」

「……いや、何でもない。あまり長い間開いてはいられないからな、早く行くぞ」

「うん。わ、わかった」


 アンナちゃんの後ろをついて行き、転移の門を潜っていく。

 うう……ドキドキする。

 魔王城ってどんなところなんだろう?

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