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5話 健康の危機にスキル発動!

前回のあらすじ

健康的に奴隷落ちした

 アンナちゃんの汚い拠点を健康の為掃除する事になった私。

 木造の小屋くらいのレベルなら一人でも何とかなるはず!

 とにかく綺麗にしてアンナちゃんをびっくりさせてやろう!


「まずは窓を開けてっと……うう、ホコリが凄いなぁ」


 木で作られた窓を両開きに開ける。

 窓部分もすごく埃がついていて開けるだけでゴホゴホと咳が出る。

 一体どれだけの間窓を開けてなかったんだろう?


「よし、次は落ちてる物の整理だね」


 足の踏み場もないほど床に散乱している本や服、ゴミなどを片付けないといけない。

 まずは本からと思って足元に落ちていたのを手に取る。


「これもホコリやゴミが凄いな……。日干ししてから本棚に戻したほうがいいかな? でも……」


 外は霧の結界のせいで太陽が遮られ、おまけに湿気も高い。

 これじゃあどうにもならない。

 しょうがなくホコリやゴミを払うだけにして本棚に戻していく。


「次はこ……うわわ!?」


 床に落ちていた服に足を取られ、床にばたんと仰向けに倒れる。

 しかも、その衝撃で本棚に戻した本が私の上に降って来た。

「ギャァァァァ!?」


 大量の本に埋もれた私は何とか起き上がると、ホコリを振り払う為外に出る。


「はぁー……一からやり直しだー……ゴホッゴホッ」


 咳き込みながらパンパンッとホコリを叩いて振り払う。

 その直後、お腹からグ〜っと音が鳴り始めた。


「そういえば昨日はパンと水だけだったし、今日に至っては何も食べてなかったなー。でも……」


 拠点の中に入って台所を見つめる。

 ハエがブンブンしている腐った果物や肉、使ってそのままの汚れた包丁や鍋。


「ダメだー! これじゃあ余裕でお腹壊しちゃうよー!!」


 頭を抱えながら叫ぶ。

 すると今度はトイレに行きたくなって来た。


「ここがトイレの部屋かな……うわぁ!?」


 トイレは汲み取り式だった。

 それは異世界だから予想はしてたんだけど、臭いがやばい!!

 思わず吐きそうになるのを我慢して新鮮な空気を吸う為再び外に出る。


「はぁ、はぁ、あ、危なかった……もう少しで吐いちゃうとこだったよ……」


 何年も手入れされてないのかな?

 結局トイレは茂みで済ませ、解決案を練る。


「そうだ! 水だよ! 水さえあれば!」


 全部解決とはいかないけど水があれば少なくとも水拭き、水洗いが出来る!

 丁度よく拠点の横に井戸があるのを見つけ、早速取り付けられた桶を投げ込み、ロープを引っ張って汲み出してみる。


「うんせ、おいせ、あ、桶が見えて……げぇ!?」


 思わず引っ張るロープから手を離しそうになる。

 汲み出した水は酷く汚れた茶色い水だった。

 おまけに虫の死骸などが大量に浮いている。


「……こんな水じゃ飲むどころか掃除にも使えないじゃーーーーん!!」


 感情のままに水をぶちまけると、絶望で膝から崩れ落ちた。


「ど、どうしよう……」

 

 やれることは全部やろうとした。

 でもダメだった。

 改善する手段がそもそも無かった。

 日本では普通のことが異世界では無理ゲーだった。

 ……だけど。


「こ、こんな事じゃあ諦めないんだから……」


 何をどうすればいいかはわからない。

 だけど、心が諦めることを否定した。

 だって……それは私自身を否定する事だから。

 ここで……折れるわけにはいかない!


「だって私は……私は……健康に生きるんだからーー!!!」


 そう叫んだ瞬間、体の中から何か不思議な力が溢れてくる。

 

「こ、これって……まさか!?」


 その時、凛華さんが聖剣を出現させた時のことを思い出す。

 そうだ、凛華さんが『勇者』のスキルを習得したように、私だって『健康上手』ってスキル習得してた……!

 もしかして……この力があれば!


「……お願い! 私に力を貸して!」

 

 強く願いながら空に向かって手を突き出す。

 すると、力が手の先が光り出し、何かの形に形成されていく。

 そして、光が収まると、私の手の中には淡い光を放つランタンが握られていた。


「え? ら、ランタン?」


 不思議な事に凄い軽くて手に馴染む、中世にありそうな古めかしい黒いランタン。

 まるで太陽のように暖かく、安心出来る光を放っている。

 いや、そんなことより何でランタンが出て来たんだろう?

 今の状況どころか健康にも全く関係ないよね?


「うーんよくわからないけど光が弱いなぁ。調節する方法は……うわ!?」


 何もしてないのに急にランタンの光が強くなる。


「もしかしてこれって私の意思で調節できるのかな? ちょっと試してみよう」


 そうして色々やった結果、イメージするだけで光の強さ以外にも、特定の方向にだけ光を放ったり集中させて強くしたり、自分の意思で出し入れが出来ることがわかった。


「うーん……便利だけど……この状況で何の役に立つんだろう?」


 よくわからないけど、私の思いに応えて出て来たのは確かだよね。

 きっと何かの役に立つはず。

 差し迫って今一番どうにかしたい事は……。


「水……だよね」


 物は試し、もう一回井戸から汚れた水を汲んで地面に置き、ランタンの光を近づけてみる。


「お願い! 力を貸して!」


 願いを込めてランタンを強く光らせる。

 すると、水が淡く光り出し、汚れた水が透き通った透明の水に変化した。


「凄い! 本当にどうにか出来ちゃった!」


 試しに手で掬って飲んでみると、透き通った清涼感が口の中に広がり、シルクのように滑らかに喉を潤してくれる。

 

「今まで飲んできた中で最高の水だよ!」


 このランタンすごい!

 清潔な水を確保出来た!

 これで掃除や水洗いが出来る!

 早速水を持って拠点の中に入る。

 だけど、床に今だに散らばったままのゴミや本、服などを見て現実に引き戻される。


「そうだよー……まずはこの部屋を片付けないと……。ランタンでどうにか出来ないかな?」


 試しにランタンで拠点の中を明るくしてみる。

 だけど、部屋の中が明るくなっただけで何も変化はなかった。

 ランタンも万能じゃないみたい。


「うーんどうしよう……いや、でも私のスキルなら!」


 『健康上手』のスキルはどんな環境でも健康になれるよう改善する能力!

 水を綺麗にするだけの筈がない!


「お願い! この状況をどうにかする何か来て!!」


 強く願うと、今度は目の前が光り出し、(ほうき)が現れる。

 アニメで魔女が使ってるかのような、毛先がふさふさで手触りがいい箒だった。


「これはどんな効果があるんだろう? とりあえず……えい!」


 箒を振ると、虹色の軌跡を描きながらキラキラとした光が拠点を包む。

 すると、部屋中にあった大量のホコリとゴミが消えて行き、散乱した服や本が浮かび上がって勝手に棚に戻されていく。


「な、何これ凄すぎ!!」


 あれだけ散らかっていた部屋がたった一振りで綺麗に片付いちゃったよ!

 一応戻った本を手に取ると、本にこびりついてたゴミやホコリも完全に消えていて、清潔になっている。


「うん、大丈夫だね! あれ、この本のタイトル……『男性を魅了するための7つの方法』?」


 試しに他のタイトルも見てみると、どれも女性が男性を誘うためのテクニックとかそういう感じの本だった。

 うーんサキュバスのアンナちゃんが何でこんな本持ってるんだろう?

 読まなくても魅了出来そうな気がするけど……。

 まあ今はどうでもいいか。


「よし、この調子でどんどんこの拠点を健康的な生活ができるよう綺麗にしていくぞー!」


 気合を入れ、次は台所に立つ。

 腐った食材、汚れまくった食器や鍋。

 これも私のスキルで何とかなる筈!


「まずは食器から! お願い! 私に力を貸して!」


 そして、また新しい道具が目の前に形成されていった。

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― 新着の感想 ―
このお話でいいな!と思いました!ポジティブ過ぎて大丈夫なのかなぁ…?と心配したんですけど、健康は心すら健康になるんですね!そして前回のあらすじが毎回必ず健康に絡んでる、徹底してていい!ので読み進めてい…
2025/10/10 17:08 退会済み
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