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8/10

8 運はとってもいいようです

その時感じたのは、風のようなそうでもないような、何とも言えない不思議な感覚でした。恐怖とは少し違う、肌寒いような感覚でした。

男の人達もそれを感じたのか警戒するような言葉が交わされています。逃げるなら今な気がします。手を開放されているわけではないのでちょっと厳しいですが、チャンスは逃せないので暴れましょう。

気合を入れるために息を吸った瞬間でした。ピカンと世界が真っ白に眩しくなりました。咄嗟に目をつぶると、すぐにドゴオォンと、凄い音がします。そしてごつんと背中と頭に何かぶつかります。いえ、落ちたような感じがします。さっきのしょぼしょぼきーんとは全然違います。目も耳も何故か痛くないです。絶対、おかしくなりそうな凄い光と音だったと思うのですけども。


「な……なにがありました……?」

恐る恐る目を開けると、そこには何も居ません。イヤな感じだった人達も見えませんし、腕も自由です。一応警戒しながら立ち上がって振り返ります。まず見えたのは、黒色に変色した地面です。わりと近い位置の地面を中心にグラデーション掛かっています。室内の焚き火後とかこんなイメージです。その上にぺちょんとしている銀色のおまんじゅうみたいな子に慌てて駆け寄ります。


「ギンちゃん、大丈夫ですか?怪我はないですか?」

『ぷゆ〜ゆ〜』

手で掬ってあげると手にすりすりしてくれます。可愛いです。って、そうじゃありません。目を凝らしてギンちゃんを見つめます。パッと見では怪我や焦げはありません。ひとまず安心ですね。

さて、切り替えていきましょう。検証のお時間です!何があったか調べないとちゃんと安心できませんもんね。一介の可愛い女子高生ですけど、ビビビッピピピンって閃くかもしれませんし。

まずは焦げ茶色になった床の中心です。ギザギザの円みたいな形で、外側に行くほど薄くグラデーションっぽくなってます。近くによってみますけど、焦げた匂いも熱も感じません。触ってもつるりとしているだけですね。元からそういう模様だって言う方がしっくり来ます。こんな目立つ模様はなかったはずですけど。


「むむむ……隠されてたのでしょうか。一回限りの使用済み落とし穴とか?大きい音は落ちたときの音、ぴっかりーんな光は、きっと演出ですね。」

とは声に出しては見るものの、雷が落ちて焦げちゃったという方がしっくりはします。最初にあった人たちもそんなことを言っていたはずです。

『喧嘩とか破廉恥なことをすると消し炭にされる』

多分、これがそうです。

むぅそうするとチャラチャラな彼らは知らなかったんでしょうか。それとも、ここなら大丈夫とでも思ったとか?考えてもわかりません。わからない事はスパッ止めて、別の事を考えましょう。


「えーっと、どこに?どっちに行きましょうか。」

水を正面に右手側、元々出てきた壁ですね。えぇ、壁なんです。戻ることができません。前もこんな感じでしたね……これがココの普通なんでしょうか。戻れたとしても登り道になりそうですし、ちょっとイヤです。

後側も壁ですね。見た目には普通でコゲコゲもありません。ギンちゃんも、特に反応していませんね。一応触ってみましょうか。

硬いです。カッチカチです。今までと同じ、素材のよくわからない何かです。ムニューとかデロローンとかしません。してもちょっと行くかは悩みますけど。

左手側も同じ壁ですね。水を渡れない今は閉じ込められてるっぽいってことです。今更ですけどね。

あの人たちは一体どうやって来たんでしょう。私と同じルートだったり、入口が消えちゃったりしたのでしょうか。……無いものは無いので無視しましょう。

さて、本命のお水の側ですね!


「仕掛けとかないでしょうか。橋がるとか、ブロックが出るとか。」

ジャンプ力があがるのも良いですね。キノコはイヤですが、尻尾が生えたりするのはありかもしれません。カワイイですし。


「いっそお風呂みたいに水抜けしたりはしませんかね?」

こう黒い栓が……見えませんね。隠れてるかもしれませんが、この可愛い二つのお目々には見えません。


「ギンちゃんはなにか案ありますか?」

『ゆーゆーぷー』

ぽよーんと肩に乗ったギンちゃんがスリスリしてくれます。ぷにぷに幸せです。

ハッ、もしやこの可愛い行動に何か意味が……ほっぺスリスリ、柔らかい、可愛い……うん、わかりません。

あの時のお兄さん?だったらギンちゃんが何を思ってるのかわかるのかもしれませんが……キョロキョロ見てもいません。居てもびっくりですけどね。

さて、水……ホントにどうしましょうか。

泳ぐ事は出来る……ってさっきは思いましたけど、着衣泳は苦手なのです。そして水着はないですし、他の人がくるかもしれないって考えると裸になるのは出来ればしたくないです。服を持って泳げる気もちょっとしません。


「ボートとかありませんかね。イカダとか……漕いだことないですけど!」

無いなら作る……とかでしょうか。木目っぽいだけで木目でない未知建材ですが、剥がせませんかね?いっそドドンと船が収納されてたりとかでも良いんですが。

そういえば、焦げ色以外の床はちゃんと調べませんでしたね。


「そうと決まればチェックです!隠し階段さんは出てきていいんですよ〜!」

鼻歌なんて口ずさみつつ探しちゃいますよ。対して広くはないですが、狭いと言うほどじゃないですし、きっとお約束な何かがあるに違いありません!

ギンちゃんも床をぴょんぴょん跳ねて応援と確認をしてくれています。

足ではなくて、手と目でじっくりと端っこから探していきます。もちろんコゲコゲのところも……と、言いたいところですが、何処にあったのかわかりません。綺麗サッパリ、何もなかったかのように同じような床が広がっています。目を離した時間はそんな長くないはずなんですが……びっくりです。

そんな細かいことは気にしてたら負けなので、目的の何かを探しましょう。


「…………隙間……じゃなくて模様でしょうか?いえやっぱり隙間?」

ちょっと大変ですね?分かりづらいですし。ギンちゃんも確かめるの手伝ってはくれるのですが……それなりに広いですし。

何か簡単な方法は無いでしょうか。コンコン叩いたらスイカみたいにわかりませんかね?

拳でノックしてみますが、硬いような硬くないような音が返って来るだけです。

「……そういえば、水が隙間に染みたりしませんかね??」

穴があればそこに吸い込まれる気がします。もしかしたら見逃した部分とかもわかるかもしれません。

デメリットは……床が濡れちゃうくらいでしょうか。


「お水をかけるだけですし、やってみましょう。」

ペットボトル、まだちゃんと持ってました。落下してるときにポロリしなくて良かったです。

中にはまだ少しお茶が残ってますので、まずはぐびぐびぷはー。


「よし、いきますよ。」

ペットボトルの先を水につけると、ポコポコ音を立てて中に入っていきます。とっても透明度の高い……いえ、ちょっと青い?よくわからない水です。奥が見えないほどじゃないですけど、ちょっと飲みたくないくらいです。


「ギンちゃん。濡れたら大変なので。」

『ぷゆ!』

ギンちゃんを掬い上げて肩に乗せます。さて、他は大丈夫ですかね?

チェックは念入りに。さっきのように急に落ちたりするかも知れませんからね。私は学ぶ子なのです!

もう一回だけ問題ないか確認して、それからパチャパチャと水を撒いていきます。

水を弾く素材のようで、表面にぺちゃーって感じで広がっていました。水玉みたいな感じにはならないようです。

ペットボトル一本ではちょっとずつですが、空っぽになったら水を掬って……を、繰り返していきます。


『ぷきゅーぷきゅー』

ギンちゃんもフレフレ応援です。ちょっと伸びて先っちょをブンブンしているのでラインダンスばりの足上げかもしれません。


「あれ?もしや、ココですか?」

目論見は見事成功です!なんだかお水が無くなるのが早い場所があります。

もう少し多目にお水をかけると、そこだけ、スススっと水が無くなります。

名探偵白音ちゃんの目は誤魔化せません!


「うーんっと、ここが隙間ですかね?」

すごい細いですが、黒い線が真四角に繋がっています。見逃しちゃうレベルです。

ではでは、ここを抉じ開け……いえ、穏便に開けましょう。私はとってもおしとやかなので!


「指はかけれませんし、爪も入らなそうですね……」

上でドンドンすれば壊れたりするでしょうか?

ひとまず……そうですね。私は軽〜いので、水を入れたペットボトルでゴンゴンしてみます。

何も起きません。とっても丈夫ですね。


「開け方があると思うんですが……」

よくあるのはスイッチですよね。それから横に引っ張ったり、上に引き上げたり、強く押したらなんか開くとかもありますよね。自動ドアとかは人を感知するんでしたっけ。

電気で動く物は除外するとして。……そうですね、まずは色んなとこを押してみましょうか。他と違うところがわかるかもしれません。四隅から回ってぐるっと円を描くような順番で力強めに押していきます。


「よっ、ほっ……うんしょ……ふぅ……よいしょおおおお!?」

床を手が擦り抜けました。ずりりーっとそのまま倒れ込んでしまいます。

あんまり高くなかったみたいで、ちょっと驚いて、ちょっと痛いくらいで済みました。

ギンちゃんもすぐに対応できたみたいで、ほっぺスリスリで心配してくれてるみたいです。


「ギンちゃんも大丈夫そうで良かったです。えっと……落とし穴ですかね?全然気が付きませんでした。」

上を見上げると天井がありますが、上に手を上げるとそこをスカッと通り抜けます。すごくリアリティのあるホログラムとかそんな感じですね。そこに向かって階段があるので、登るのは出来そうです。

ここもやっぱり明かりがないのに明るい不思議な状態なので、暗くて困ることはなさそうです。


「あっちに道が続いてますね。」

細い通路のようになっていて、三方は壁ですが、一方は通路のようになっています。、水の方向ですね。

まさかの地下通路形式でしたか。きっと水かきや船を手に入れたら使わなくなる通路なんでしょう。

せっかく見つけた通路です。ギンちゃんを手に早速進んでいきます。



ブクマや星5、はげみになります!

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