第6話 曽根崎くん、妹から有力情報を得る。
目が覚めると辺りは真っ暗だった。
いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。
スマホを見ると19時15分だった。
横山からRainが入っているみたいだったが、スマホを置いて階段を下りた。
台所が明るい。
妹が帰っていた。
「あ、お兄ちゃん居たんだ。」
椅子に座ってテレビをつけながら、スマホを触っていた。
「おう」
麦茶を飲んで、テレビをぼうっと眺める。
若草市内のトンネル事故のニュース。
対向車線をはみ出した車が対向車とぶつかり、
1人亡くなっていた。
「あ、お兄ちゃんさぁ」
「ん?」
妹がスマホから目を離してこちらを見た。
俺と似ていない妹は、目がでかい。
出目金のようだといつも思う。
しかも化粧が濃い。
「この前私を家まで送ってくれた女の人居たでしょ?」
彼女がどうした?
「あの人、阿見山町で陶芸教室の先生してるんだって」
まじかよ。
「…へえ~」
陶芸教室か…ろくろ?ってやつで食器作るんだっけ。
モンモンと色んな妄想が膨らんだ(ついでに股間も)。
妹は訝しげに俺を見る。
わざとらしい返事だったか?
「何でお前が知ってんの?」
「昨日、ナガブチで偶然出会って、話したの」
話ながら、妹は俺の顔をじぃっと見てくる。
興味津々って感じだな。
「お兄ちゃん、行ってみたら?」
「…何でだよ。」
妹は意味深な笑みを浮かべた。
「ふーん、お兄ちゃんって陶芸とか興味ないもんね。」
そう言ってスマホに向き直った。
待て待て。
「いや、そんな事も…ないけど」
「プッ!!!」
吹き出す妹。
お前、絶対何か知ってるだろ。
「今日横山先輩とナガブチに居たの見ちゃったよ?」
最悪だ。
「声かけようと思ったけど、お取込み中みたいだったから…」
「お前、変な事言いふらすなよ!?」
「言わないよー。で、どうするの?通ったらあの人と話せるよ」
そんなの…即入会するに決まってるだろ。