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聖女様にお願い

……なんでこうなった?


俺は滅多にない妹と買い物に行き疲れ、ようやくメシにありつけるというのに。


何故に、こんなに緊張せねばならん。


「あの、清水さん……お兄ちゃんとどういう関係なんですか!?」


「へっ? いや、別に普通のクラスメイトだよー。今年から同じクラスだし、席が隣だしね」


「やっぱり、そうですよね。お兄ちゃん、ダメダメだし。ちゃんとすればかっこいいのに。せっかく、こんな可愛い人が隣にいるのにねー」


「ダメダメとかいうなし。そして、俺はそういうのに興味ない」


あの後、美憂が騒いで大変だった。

お兄ちゃんの彼女!?とか、こんなに可愛い人が!?とか。

どうにか落ち着かせて、対面の席に着かせたはいいが……この調子である。


「ふふ、仲がいいんだ?」


「今日はたまたまだよ。というか、猫をかぶるの早」


「猫? お兄ちゃん、何を言ってるの?」


「逢沢くん?」


「イテッ!? ……ナンデモナイデス」


美憂に見えない位置から、太ももをつねられた。

いやだってよ……こっちだって笑いを堪えるの必死なんだよ。

もう、本性を知っているわけだし。


「なんだが怪しい……本当は付き合ってるとか」


「んなわけないだろ。美憂、話してないで早く食べなさい。俺は夕方からバイトあるし」


「あっ、そうだった! ごめんなさい!」


ようやく美憂がハンバーガーに手をつけ始める。

……そして、何故か清水は俺の方を見てるし。


「何か用ですかね?」


「ううん、見てるだけ。今日はメガネもしてないし、髪型も普通だね」


「まあ、あれは伊達だし。髪型は起きたままだからだよ」


「あっ、そういうことなんだ」


いかん、この状態の清水と話してると変な感じになる。

俺もハンバーガーを手に取り、黙々と食べ進めることにした。




そうして俺が食べ終わり、美優も食べ終わる。


よし、これでこの場からおさらばできる!


「清水さん、ありがとうございました!」


「ううん、私も一人だったから助かったよー」


「それじゃ、俺たちはこれで……」


そこで、ふと気づいた。

この後、俺に訪れるであろう試練に。

男の俺には荷が重い、かといって身内には女性が少ない。

そして、目の前には……都合よく年頃の女の子が。


「あ、逢沢くん、そんなに見つめられると……」


「もう、お兄ちゃんったら。清水さんが可愛いからって、ジロジロ見ちゃダメだよ」


「そういうんじゃない。清水、この後は時間あったりするか?」


「えっ? べ、別にあるけど……」


「すまんが、俺の頼みを聞いてくれるか?」


俺は頭を下げる。

こればっかりは、完全に俺側の都合だ。

清水には、なんの利点もない。


「お、お兄ちゃん!?」


「ちょっ……頭をあげてよ、逢沢くん。とりあえず、店を出よっか?」


「ああ、そうだな」


他の客の目もあるので、ひとまずマックから出てひと気のない端っこに行く。

なるべくなら、人に聞かれたくないだろうし。


「それで、どうしたの?」


「いや、そのだな……うちには今、母親が家にいなくてな……それで美憂の……だァァァァ!」


「な、なに? 平気かな?」


「すまん、美憂……お前から言ってくれ」


「美憂ちゃん?」


「……あっ! そういうことね! えっと…あの、ゴニョゴニョ」


美憂が耳打ちをして、清水に内容を伝えると……。


「ああ、なるほど……うん、それは大変ね。逢沢くん、それを手伝って欲しいのね?」


「まあ、そうなる」


「もちろん、いいわ」


「ほんとですか!? ありがとうございます!」


「ううん、気にしないで。あとで、お兄さんから借りは返してもらうから」


「……モチロンデス」


その借りが何なのか、恐怖で体が震えてきそうだ。


しかし、背に腹はかえられぬ。


妹の下着選びをするくらいなら、どんなことでもこい……いや、どうだろう? なんか失敗した気もするが。







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