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目立ちたく無い俺、腹黒聖女様に懐かれる  作者: おとら@9シリーズ商業化


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46/52

走る

ん? ……清水がいない?


昼休みを終えて戻ってきたが、隣には清水がいなかった。


スマホを見るが、特に連絡は入ってなかった。


少し待っていると、保健の先生が教室に来る。


「清水さん、少し具合悪いから預かってるわ。体育は休むって、先生に伝えといてください」


「はい、わかりました」


「清水さん、平気かな?」


「多分、勉強頑張って気が抜けたのかも」


……確かに一理ある。

意外と負けず嫌いの清水は、今回はかなり頑張っていた。

一位を取って、溜まった疲れが出たのかもしれない。





着替えを済ませたら、校庭に出て体育祭の練習が始まる。


大玉転がしや、障害物競走、二人三脚など分かれたり。


悟は森川と二人三脚らしく、一生懸命に練習をしていた。


そんな中、俺はというと……清水がいないので、三人でひとまずバトンの練習をする。


メンバーは陸上部の森田、同じく陸上部の中村だ。


「さて、どうする? それこそ、走る順番とか」


「そりゃ、あんたがアンカーでしょ。悲しいけど、私より清水さんは早いから三番目? 私か逢沢君……だっけ? どっちかが、最初と二番目になるんじゃない?」


「まあ、お前は短距離専門じゃないっしょ。そういう俺も、ハードルがメインだし……アンカーはきついわー」


ふむふむ、二人は専門ってわけではないのか。

それだったら、もしかしたら俺の方が速いかもしれない。


「あぁー、話してるところ悪い。一度、俺が全力で走ってるのを見てもらっても良いか?」


「おっ、そういや先生が速いとか言ってたっけ」


「まあ、どちらにしろ確かめないといけないし」


「それじゃ、タイムを計ってくれ」


「……なんか、そんなだったか?」


「確かに雰囲気違うかも」


「まあ、気にしないでくれ」


すぐにイメージは払拭できない。

テストもそうだが、今回の走りはそのための一歩だ。

俺はリレー用のレーンに行き、軽くストレッチをする。

さて……全盛期の力が残ってると良いが。


「それじゃ、準備はいい?」


「ああ、いつでも」


「よーい……ドン!」


俺はタイミングを合わせ走り出す。

実際と同じように一周を回る。

足と手を動かし、ぐんぐんと伸びるイメージを。

武闘もそうだが、イメージというのは大事だ。


「おおっ!? はやっ!!」


「ちょっ!? うちの短距離選手より早くない!?」


「なになに!? 走ってるの誰!?」


「あ、逢沢君!?」


遠くからそんな声が聞こえてくる。

そして、 一周してゴールに到着した。


「ふぅ……どうだ?」


「……うそでしょ……二十三秒代よ」


「はぁ!? 県大会クラスじゃんか!」


「そんなものか……やっぱり鈍ったな」


運動自体はサボってないから、体力は問題ない。

だから、本来なら後半で伸びてもいい。

俺の最速は、50メートルを5,40秒だったはず。

おそらく、あと一秒は縮められる。


「な、なに言ってんのよ!? これ、うちの陸上部のエース並みよ?」


「おいおい、今から陸上部入らね?」


「いや、それはやめておく。本気でやってる奴らに失礼だからな」


「へぇー、良いこと言う」


「確かに言えてるわ」


「んで、俺はどこが良い?」


俺が問いかけると、二人が顔を見合わせた。


「「アンカーに決まってるし!!」」


「了解。んじゃ、精一杯やらせてもらう」


「それより、なんで隠してたのよ?」


「大した理由じゃない。帰宅部希望だから、部活勧誘とかされると面倒でな」


「あぁー、それは言えてる。こんな逸材いたら、うちの部が放っておかないし」


「二年生の今なら勧誘も来ないからってことね」


「まあ、そんな感じだ」


どうやら、誤魔化せたようだ。


体育祭のアンカーになれば目立つことは間違いない。


正直言って、いちいち聞かれるのは面倒だ。


だったら、イメージを一回で払拭すれば良い。


……帰ったら走り込みが必要だな。

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