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目立ちたく無い俺、腹黒聖女様に懐かれる  作者: おとら@7シリーズ商業化


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45/52

順位

翌日の朝、学校に向かうと……何やら玄関が騒がしい。


「……あぁ、中間テスト順位の張り出しか」


そういや、すっかり忘れていた。

一応、確認のために近づくと……騒ぎの原因がわかった。


「ねえねえ、横山君ぬかれてるよ」


「ほんとだ、初めて聖女の勝ちか」


「なんか、清水さんってますます隙がないって感じ」


……そういうことか。

俺も人混みの後ろに行き、張り出された紙を眺める。


「へぇ……清水、一位になってんじゃん」


そこには生徒会長を抜いて、清水が一位となっていた。

俺の知る限り、生徒会長の横山が一位じゃないのは初めてな気がする。

この男はいわゆる天才タイプで、勉強と運動神経が元々良い奴だったはず。


「あいつ、今回は頑張ってたもんな……やるな」


「あっ、優馬君!」


「おっ、悟か」


ふと振り返ると、何やら興奮した悟がいた。


「すごいね!」


「うん? ああ、清水のことか。確かにすごいな」


「それもすごいけど、優馬君もだよ! ……あれ? まだ確認してないの?」


「なんのことだ?」


「ほら、順位を上から見ていきなよ」


言われた通りに上から見ていくと……二十番代に俺の名前があった。

間違い無く、今までで最高順位だった。


「おっ、結構上がったな」


「いやいや、三十番以内って凄いんだよ!」


「サンキュー……ほら、教室行こうぜ」


どうにも照れくさくなり、俺はその場を離れようとする。

すると、生徒会長である横山が呆然としているのが目に入った。

俺はそれを見て……少しだけざまぁと思ってしまう。

天才型のあんたは遊んでたけど、その間に努力型の清水は頑張ってたんだよ。


「ふっ……」


「なになに? どうしたの?」


「いや、我ながら性格悪いなと」


「えっ? ……優馬君ほど性格良い人も少ないと思うけど」


俺は悟の肩を組んで引き寄せる。

そういや、先にきちんと言っておかないといけない。


「悟……俺、変わるけど良いか?」


「……やっぱり、そういうことなんだ。うん、僕は関係ないよ。だから、これからも仲良くしてくれると嬉しい」


「当たり前だろ。そう言えるお前の方が、よっぽど性格良いよ」


結局、寂しかった俺を救ってくれたのは悟だ。


もし何かあったら、力になりたいなと思っている。




教室に入ると、話題はそれ一色だ。


隣に座る清水は、皆にかこまれていた。


「清水さん、すごいね!」


「いやー、一位とかやばいし」


「会長、全国でもトップクラスだもんなー」


「ううん。たまたまだよ。いつもより、国語の点数が良かったから」


そう言い、一瞬だけ隣に座る俺を見た。

どうやら、少しは力になれたらしい。

すると、礼二さんが手を叩く。


「ほら、いつまでやってんだ。もう、チャイムは鳴ってるぞ」


「先生、すみません」


「別に清水は悪くないさ。とりあえず、一位おめでとう」


「ありがとうございます」


「さて……これで完全に中間テストが終わったが、期末試験はすぐだからな。高校二年生の夏休みは、実質最後みたいなものだ。赤点取ったやつは、最後の夏が消えないようにしっかりやっとけよ」


その言葉に、一部の生徒たちが消沈する。

確かに、高校三年の夏休みは受験や就職で忙しいだろう。

そうなると、今年が遊べる最後のチャンスってことか。

……俺も遊んでおくかな。


「それと、今日から体育の授業は全て体育祭の練習になる。もし優勝したら、俺が焼肉を奢ってやるから頑張ると良い」


「おおっ!」


「やばっ!」


「それなら話は別だ!」


……よっぽど、例の先生に負けたくないらしい。

まあ、礼二さんには世話になってるし、俺も頑張るとしますか。








その日のお昼休み、清水は来なかった。


別にそれ自体は、そんなに珍しいことじゃない。


弁当だって二日に一回だし、付き合いもある。


特に今日は目立ってるし、話したい奴らもいるだろう。


ただ、俺はその事を後で後悔することになる。


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