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目立ちたく無い俺、腹黒聖女様に懐かれる  作者: おとら@7シリーズ商業化


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変わるために

 そして、数日後……全てのテストが返された。


 クラスは阿鼻叫喚に包まれ、その模様は様々だった。


 そんな中、俺はというと……。


「あっ、優馬君めちゃくちゃ上がってる! ほとんど八十点を超えてるね」


「ああ、そうみたいだな。というか、悟だって上がってんじゃん」


「へへ、森川さんとの勉強のおかげかも。僕、全部が平均点以上なの初めてだよ」


「ほほう? これは、後で詳しく聞くとしよう」


「べ、別になにもないよ」


 どうやら、良い関係を築けているらしい。

 それにかまけて成績を落とす者もいるから立派なことだ。

 すると、隣から視線を感じる。


「清水さん、どうかしたかな?」


「な、なんでもないよっ」


 清水は、何やらおどおどしている。

 あの日から、ずっとこんな感じである。

 特に連絡も来ないし……やはり、少し言いすぎたか?

 さてさて、どうしたもんかね。







 そして三限目の、特別ホームルームの時間になる。


 これは、来週末にある体育祭のメンバーを決める時間だ。


「さて、これでテストは終わったな。というわけで、次は体育祭だ。清水、すまんが手伝ってくれ」


「はい、先生」


 清水が教壇の前に立ち、黒板に文字を書いていく。

 そこには徒競走やらリレー、玉入れや大玉転がし、借り物競争など様々だった。

 組体操みたいな危険なものは、ここ最近なくなったらしい。

 俺が小学生の頃は、まだあって楽しかったんだが……。


「お前達! 今回は勝ちに行くぞ!」


「先生ー、どうしたんです?」


「あれだよ、きっと賭けでもしてるんだよ」


「あー! いけないんだ!」


 その声に、礼二さんはあからさまに目線を逸らした。

 そういや、叔父さんの家でよく麻雀とかやってたな。

 俺もやり方を教わったりしたっけ……無論、賭け麻雀はやってない。


「違う! ただ、あの女が……貴方のクラスに運動部は少ないし、勝つのは私のクラスねって……オノレェェ! クラスのテストの平均点で負けたからって!」


「あぁー、明子先生ね」


「あの二人、同期で大学も一緒だったんでしょ?」


「相変わらず、犬猿の仲みたい」


 ……そういや、そんなことを愚痴っていた記憶があるな。

 高校に入ってから、そういうことは話さないし。

 すると、清水がチョークでカツンと黒板を指す。


「みんな、先生のために勝ちましょう」


「し、清水……!」


「清水さんがそう言うなら……」


「まあ、だるいけどやりますか」


「ただ、清水さんらしくないような……?」


 これは……あいつの負けず嫌いが発動したか?

 少しは俺の言ったことが通じたか。

 ……なら、俺も有言実行しないと男じゃないわな。


「んじゃ! じゃんじゃん決めていくぞ! 足の速いやつ、力持ちな奴!」


「それじゃあ、順番に決めていきますね。比較的楽なものから順に……」


 そうして次々とメンバーが決まっていく。

 全体は強制参加で、各自一種目は出るルールだ。

 そして五名の生徒が二種目に出ることができる。

 あとは特例として休んだ人や、怪我をした人の代理とかがあったり。


「えー、次は男女混合の二人三脚か。これは運動神経と言うより、協調性とか確実にこなせる人のが良いのか」


「はい、そうだと思います。足の速さよりも、相手に合わせたりする優しい人が良いですね」


「なるほど……ひとまず、挙手にするか。誰か、やりたい奴はいるかー?」


すると、何人か手をあげる中……前の席にいる悟が手を挙げていた。

てっきり、もっと目立たない種目を選ぶと思ったが……しかも、森川も挙げている。


「河合君? えっと、確認だけど良いの?」


「は、はい! 頑張りますっ!」


「おおっ、良いじゃねえか。河合は優しいし、最近は足腰も鍛えてそうだ」

礼二さんの言う通り、悟は少し変わってきた。

家に篭らずに、森川と出かけたりしているとか。

俯かなくなってきたし、俺以外とも話すことある。

……やれやれ、負けてられないな。


「それじゃ、森川さんとペアで良いかな? 最近、仲が良いみたいだから」


「かぁー! そういうことか! へっ、羨ましい限りだぜ」


「ふふ、先生も頑張ってください」


「お、おう……はぁ、何処かに綺麗なお姉さんはいないのか」


その後も、次々とメンバーが決まっていく。

残すところは、体育祭のメイン種目である。


「これで、だいぶ決まったな。あとは、メインである八百メートルリレーか」


「これは点数も多いので特に勝ちたいですね。そうなると、一番足の速い人……」


「それじゃ、俺っすね。あとは吉川がいいんじゃないかと」


「まあ、そうなるかなー」


「安藤君に吉川さんは陸上部だもんね。それじゃ、二人は決定かな。あと、やりたい人はいるかな?」


 その言葉に教室がざわつく。

 結構責任ある競技だし、失敗したら目立つだろう。

 サッカー部やバスケ部も数名いるが、そちらは他の競技に参加するし。

 ……じゃあ、ここから変わるとするか。


「へっ?……逢沢君?」


「おいおい……優馬」


 清水と礼二さんが目を丸くする中、俺は堂々と手を挙げる。


 もう、うじうじするのは辞めだ。


 清水に示すためにも、まずは俺が変わったことを証明しないといけない。







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