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目立ちたく無い俺、腹黒聖女様に懐かれる  作者: おとら@7シリーズ商業化


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16/52

到着したが……

 そのまま山を登り続け、人目につく前に離れる。


 怪我をしてるとはいえ、この状態を見られるのはよろしくない。


「あとは行けるか?」


「ええ、ありがとう……」


「おいおい、しおらしくなるなよ。これで、少しは借りを返せたか?」


「う、うるさいわね。まだまだ貸しはあるんだから覚悟しなさい」


「へいへい、そうですね」


 変にしおらしくなるより、こっちの方が楽だ。

 そうすりゃ、俺も気を使わずに済むし。

 そして、少し離れた位置から頂上に到着する。

 すると、ちょうど礼二先生が降りようとしていた。


「おっ、二人ともきたか。遅いから、探しに行くところだったぞ。携帯にも出ないしな」


「あっ……ごめんなさい」


「先生、俺が悪いんですよ。ちょっと目眩がしまして。清水さんには気遣ってもらいました」


「……ふっ、無事ならいいさ。それじゃ、点呼を取るからお前たちも列に並んでくれ」


 そうして、生徒たちの元に戻っていく。

 すると、清水から視線を感じる。


「どうした?」


「別に庇わなくても良かったのに……」


「うん? まあ、お前が怪我なんかしたら男子が大騒ぎするからな。というか、俺がリンチされそうだ」


「ふふ、そうかもしれないわね」


「ほら、ゆっくりで良いから行くぞ」


「……我ながらほんと嫌、なんで素直にお礼が言えないのかな」


「あん? なんか言ったか?」


「う、ううん、何でもない」


 そうして俺達は悟達と合流し、礼二先生の話を聞く。


「よーし、これで全員揃ったな。とりあえず、お疲れさん。この後の予定だが、二時間の休憩兼オリエンテーションがある。近くに生簀があるので、そこで釣り体験もできるぞ。もちろん、食べたりできる」


「先生、夕飯はありますけど良いんですか?」


「清水、良い質問だ。夕飯は六時半だし、まだ二時半だから平気だろ。それにカレーをうまく作れるとは限らんからな。あとは普通に川遊びもできる。注意点は常に監視員もいるが、入るときは気をつけること。それと足湯もあるから自由に使うと良い……くらいか? んじゃ、あとは四時半まで各自自由にしてくれ」


「「「ウォォォォォォ!」」」


「小腹空いたし釣り行こうぜ! 俺、うまいんだぜ!」


「疲れたから足湯行きたい!」


「川でのんびりしたい〜」


 そんな声が上がる中、生徒達が移動を開始する。

 当然、男子達が清水を放っておくわけもなく……他クラスのイケメンやら、同じクラスの奴らが群がっていた。

 当然、それに勝てないと思った連中は引き下がって行く。


「ねえねえ、清水さん。俺、釣りが上手いんだよね」


「いやいや、あっちに良い景色があるみたいだから行こうよ」


「せっかく川があるから川遊びだろ」


「え、えっと、いっぺんに言われても困っちゃうな……」


 明らかに清水は困っているが、男子達は気にした様子はない。

 ずっと、自分のことを話し続けている。

 そのことに自己嫌悪を感じつつも、あいつらにも腹が立ってきた。

 あいつが足を痛めてることに気づきやしない。


「……借りはまだまだあるしな」


「はぁ? 清水さんは俺と釣りに行くんだよ」


「いやいや、良い景色がいいでしょ」


「断然、川遊びだろ」


「み、みんな落ち着いてね?」


 少しずつ気まずい空気が流れて始める。

 清水も足が痛いのか、いつものような余裕がなさそう。

 俺は咄嗟にスマホを取り出し、文章を打ち込む。

 すると、すぐに返事が帰ってきた。

 流石は、頼りになる先生だ。


「おーい! 清水! こっちきてくれるかー!? 少し手伝って欲しいことがある!」


「は、はい! ごめんね、みんな。ちょっと先生が呼んでるから行くね」


「「「そんな……」」」


 男子達ががっくしと肩を落とす中、清水が先生に駆け寄って行く。


 それを確認した俺はお礼の文章を打ち、一人で川を眺めに行くのだった。

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