9面倒な説明は丸投げ
俺の隠し部屋の扉がノックされ、はしゃいでいた3人が姿勢を正し俺の後ろで待機した。
「待たせたなアーサー。3人を連れてきた。従魔を紹介したいとしか伝えていない。」
兄の後ろからまず父ランドール・ブラントが入ってきた。
「従魔を迎えると聞いてきたが聞き間違いか?」
次に入ってきた母メイリン・ブラントは3人を見て驚いていた。
「あら。私も従魔と聞いていましたよ?まさか貴方達は人を従魔と呼ぶほどに心を病んでいたのですか!?」
最後に入ってきた義姉アイリス・ブラントも似たような反応だった。
「アーサーが従魔と言っているだけならまだしも、あなたまで、、、、、」
俺ならあり得ると思われているのか。
「まてまてアイリス、あなたまでってなんだ。母上もおかしなこと言わないでください。私達は病んでなどいない」
「まずは俺達の話をしっかり聞いてくれ、先にこの者達の紹介もしたいんだ」
「メイリン、アイリス、まずはアーサーの言う通り挨拶をしようじゃないか」
父からの言葉で2人が聞く姿勢をとってくれた。
俺の後ろで横並びで立っている3人を順番に紹介した。
「ありがとう父上。まず3人の中でも一番の実力者誇白、彼女の使う固定魔法は対象の時も止めることができる。そして兄上が名前をつけた黒音と黒華、元々誇白に仕えていた者達だ。実力については実はそんなにわかっていない。そして誇白は銀狼、黒音と黒華は、、、、、あれ?お前達の種族ってなんだ?」
黒音の方に確認を取る。
「私達は黒狼になります」
「もしかして狼!?でもどう見ても人よね?」
母上の頭の上に?の文字が見えるくらい不思議な物を見ている顔になっている。
「誇白はサイズ的に無理だが2人は一度戻ってくれ」
2人はすぐに狼の姿になり前に出てきた。
「おお。真っ黒で綺麗な毛並みの狼だな」
父は意外と冷静な反応を見せていたのだが。
母と義姉は”わー”っと言って嬉しそうに2匹に駆け寄ってきた。
「すごいわ。可愛い。ふわふわですよランドール」
「本当ですね。とても可愛いです。あっ肉球ぷにぷに」
2人は凄い勢いで2匹を触りまくっている。
2匹はどうしたいいかわからず、ひたすらに触られ続けている。
(凄くくすぐったいです)
(このように人に触られる日がくるとは思いませんでした)
「あら?頭に直接声が聞こえます」
「私は話には聞いていましたが、このような感じなのですね」
「私にも聞こえるな。これはこの者達の魔法なのか?」
「父上の言う通り。この者達の魔法です。狼の姿だと直接話すことができないので、魔法で周囲の者の頭に直接聞こえるようにしているのです」
「便利だな」
父上が関心しているのをよそに、母と義姉はひたすらに2匹を撫でまくっていた。
「2人が魔獣をそこまで好きだとは思ってもいなかった」
兄が驚いそう口にすると。
「ランスロット!魔獣なんて呼んではかわいそうです。黒音と黒華って名前があるかわいい狼です」
「そうですよ。あなたが名前をつけたのに最低です」
「すみません」
兄が落ち込んだ。
「まあまあ。2人とも名前があることも、魔獣であることも事実なのだからそんなにランスロットを攻めてやるな」
「ランドール、この子達は銀狼と黒狼です。魔獣と一緒にしないでください」
「すみません」
父上も落ち込んだ。
「そろそろ本題に入りたい。父上、兄上元に戻ってください」
黒音と黒華もそろそろ解放してやろうと思い。
母と義姉にも離れるように言うことにした。
「母上、義姉上もそろそろ2匹から」
黒音と黒華から感謝の眼差しがむけられるが、
母と義姉からの余計なことを言うなと言わんばかりに睨まれた。
「そのままでいいです」
黒音と黒華の悲しそうな目を見て2匹に心の中で謝っておいた。
余計なことは言わない方がよさそうだしな。
「誇白も狼に戻れるのよね?見てみたいわ」
母が期待の眼差しで誇白を見てそう言ったので流石に止めることにした。
「母上、誇白をここで元に戻すのは物理的に無理なんです」
「物理的?」
「誇白は元々の大きさが違うですよ。ここで戻ると部屋が凄く窮屈になる」
「そうなのですね。今は我慢します。残念です」
「では今回この者達と契約した経緯について、最終の決定権を託していたので兄上に説明をお願いしたいとおもいます。」
「うむ。そうだな。説明する前に、途中ツッコミたくなることもあるだろうが最後まで聞いてからにしてほしい」
兄は3人を見てそう言うことで話を早く終わらそうと考えているようだ。
「まず始まりは私の元に北の山脈にとんでもない魔獣が出現したと情報が入ってきた」
兄がそう切り出し起こったことを話してくれた。
簡単にまとめると、俺が修行で北の山脈上空で雲を斬り、山脈を斬り中腹から上がずれていること。
その影響で一時的に誇白を傷つけ住処を破壊していたこと。
誇白は気配でその者が隠している魔力を感知できるから俺に接触してきたこと。
従魔になるために兄と直接話をして問題ないと判断したこと。
契約の時に風精霊の頂点のシルフが出てきたこと。
兄が気に入られシルフを召喚できる指輪を手に入れたこと。
兄は俺が気持ちを抑えるためにとった行動を修行と言い換えて少しでも怒られないように配慮してくれた。
そこはなんとかなりそうになったんだが、誇白を傷つけたと聞いた時の母と義姉の圧がやばかった。
仕方ないよな。本当に運がなかったとしか言えん。
精霊の話で3人とも驚いていたが、シルフの話でさらに驚いていた。
兄は3人の表情を見てシルフを埋めたことは話さなかった。
正しい判断な気がする。
「話はわかった。従魔の話から精霊が出てくるとは思いもしなかったが、流石私の息子達だ。そして誇白、アーサーが迷惑をかけたすまない」
「私ならこの通りアーサー様に治してもらい傷一つ残っていません。それにアーサー様が修行されていなければ、このような出会いもなかったのです。むしろ感謝しております」
流石だ誇白。絶対修行と思っていないだろうが兄の言葉の真意を見抜いてくれている。
更に感謝までしていると口に出してくれている。
説教がなくなる可能性がある。
俺は心の中でガッツポーズをした。
「誇白の言う通りです父上。アーサーは反省し誇白の傷を治し俺の元まで従魔にする許可を取りに来たのですから。その件についてはこの辺で終わりましょう」
「アーサーよ。ランスロットと誇白がここまで言っているので私はこの件についてはここまでにしといてやる」
「ありがとうございます」
助かった。
「それでですがアーサーとの契約ではありますが、もちろん王子の従魔としてこの者達を迎え入れたので、今後についての対応の共有をしたいのです」
「ランスロットの中ですでにどのように城におくか決まっているようだな」
「はい。まず誇白を北の山脈を斬った翼の魔獣に仕立てます。そして私自ら山脈にて誇白と対峙し結果従魔になったと伝え、黒音と黒華もその時に一緒にっとゆう流れです」
「翼の部分はどうするんだ?無理があるだろ」
「元々、雲を見間違えていた時点で色々無理があるんだ。山脈を斬るついでに雲も斬ったと言えばいいさ。誇白の銀狼としての姿を見せてやればギルドも納得する」
「あーそうか、ギルドから仕事を奪ったんだから、翼の魔獣がいた結果にしとかなければいけないのか。ギルドに手柄は分けてやれないが仕方ないな」
「人聞き悪いぞ。アーサーが調べるほうが確実だったから仕方あるまい。結果、正体はアーサーだなんて言えないんだからな」
「姿を見せるってゆうのはどうやって?」
「城の前の広場でお披露目をする。まずは銀狼と黒狼の姿を、その後にその場で人の姿になって今後は人の姿で私に仕えると伝えれば問題ない」
「おお。すべて解決か流石だ兄上」
「精霊の指輪のことは触れないのですか?かなり貴重な体験で、王子が成し遂げた偉大な事として広まるいいことなのでは?」
義姉上の疑問はもっともだな。
「流石に精霊の召喚など緊急でもない限り使うつもりがないからな。証拠にもならんだろ。それに信じられても、何かと面倒事が増えると思うからな触れないが正解だ」
「確かにそうだな。その方が今後の契約魔法を使った実験もできるし兄上に賛成だ」
「アーサー。凄く悪い顔しているぞ」
「おっといけない。面白いことを思いついてしまってつい顔が、、、、それよりお披露目の日はまた後日相談でいいのではないか?今日はこの辺にしよう」
「父上よろしいですか?」
「ああ、お前たちに任せれば基本問題ない。それでは私は戻るとしよう」
「私は?」
「さてアーサー。誇白が傷つけられた件については私達は納得していないので今からお説教ですよ」
「え?ちょっ父上がさっき見逃すと、、、、」
「ランドールは”私は”と言っていたのですよ」
母と義姉の怒りの笑顔が凄く怖い。
「あー」
その後、巻き込まれたくない父と兄はそそくさと部屋から逃げた。
俺は2時間説教された。




