8知らないところで進む面倒事
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世界のどこかにある精霊の楽園
精霊以外の者がたどり着くのは不可能とされている。
過去に楽園にたどり着いた者はいないことから精霊からそう認識されている。
精霊達は普段自分の住みたい場所にいる者もいれば、楽園に住んでいる者もいる。
ここに住んでいない者が集まる時に使われたりする便利な場所だ。
そこに、門を繋いで入ってきた少女のような精霊シルフ。
「やっぱり、来ていると思ったわ」
シルフは目の前の椅子に座っている。2人の精霊に向かって声をかけた。
「あなたが来るとも思っていましたよ」
声をかけられた女の姿をした精霊の1人がそう答えた。
「お前のことだ。今回の異例の契約者のことを話したいだろうと思ってまっていた」
腕を組み。男の姿の精霊がドヤ顔で答える。
「そりゃそうでしょ。皆気になるでしょ?、、、、それなのに来ているのが2人だけってどーゆーことよ!!」
「ノームは少し前までいたけど、待っているのが退屈と言って帰って行ったわ」
「はぁあ?なんでよ!帰っても寝るだけでしょあいつ」
「ノームはそんなもんだろ。待つのが嫌いだから仕方ない」
「まぁいいわ。つまりあいつ以外はここに来てすらいないのね?」
「そうね。そもそも気づいていないのか。気づいていたけど興味がないのか。契約の門が出現していないのはありえないでしょうから。どっちかでしょうね」
「どっちでもなんか心配になるわ。こんな面白いことに気づかないのも、興味がもてないのも、、、、、」
「来ていない者のことなどどうでもいいだろ。それよりも話せ、どんな奴だったんだ?」
「そうね。私達は話を聞きに来たんだから」
「私達を呼ぶくらいの魔力は十分に持っていたわ。戦えばそこそこいい勝負できたんじゃない?」
シルフがニヤニヤした顔で答えた。
「いい勝負?」
男の精霊が目を見開き嬉しそうに言った。
「あなたにしては高評価なのね」
女の精霊は冷静にシルフの話を聞いていた。
「まぁね。私が風精霊の頂点のシルフと伝えたら、跪いて私に会えたことを喜んでいたわ。だから慈悲深い私は、魔力の持ち主を高く評価してあげてるの」
「慈悲深いってゆうのはおいといて、お前が戦わずにそいつを評価だけしたってゆうのは納得できないな」
「・・・・・・・」
女の精霊は何かを察したように声を出さずにすべての話が終わるまで待つ姿勢をとっている。
「私も少しは力を見てやろうと思ったんだけどね。私の話を聞きたがっていたからいっぱい話してあげて、今度手合わせしてあげる約束をしたのよ」
「なに!?そいつに会うことができるのか!?」
「ええ。召喚の指輪を渡しておいたの、手合わせの準備ができたらいつでも呼んでもいいって伝えているわ」
「召喚の指輪を渡すとはそいつのことを相当気に入っているんだな。召喚される時俺のところに門をだせ。俺もそいつと戦いたい」
シルフはその言葉を聞いて笑顔で
「いいわよ。楽しみね」
と、答えた。
「楽しみができたから俺は帰る。召喚の際は必ず呼べよ」
「わかっているわよ」
それを聞いて男の精霊は門を使い帰って行った。
「で?あいつをやる気にさせてどうするつもり?」
黙っていた女の精霊がシルフに尋ねる。
「いや~。私のことを下に見ているあいつに痛い目にあって、あの態度を直させようと思ってね」
「あいつが痛い目に?そんなことできるくらいには力があったの?あんまり信じられないわね」
「ふふーん」
「あなたの服を汚すくらいには戦えるとは思うけど、それだけとは思えないのよんね。あいつはあなたの服のことなんか気づいてないでしょうけど。普通は気づくわ」
シルフが隠している情報を全て引き出そうと女の精霊は汚れについて指摘した。
シルフは自分の自慢の白い服が汚れることをひどく嫌う。
普段から風の魔法を纏い汚れないようにしているのに、
そんなシルフが汚れすら気にせず私達の前に姿を現したことに疑問をもっていた。
「あ!」
「隠している事を話しなさい。私にも言わないつもり?」
「はーい」
観念したシルフは事実を話すことにした。
「拳で私の障壁3枚を割って地面に埋めるくらいの化物よ」
「・・・・・・・・」
「本当だからね!?私のことをバカにしたから魔力と殺気をこめてそいつを痛めつけようとしたんだけど。そいつビビるどころか、一発殴ってきたのよ!!」
「そんなことありえるの?」
「私は地面に埋まって確信したわ。逆らってはいけない存在だって」
シルフは数分前の出来事を思い出して体を震わせていた。
その様子を見た。女の精霊は事実であると確信することにした。
「わかったわ。信じましょう」
「ウンディーネは絶対喧嘩売らないでね!!あなたがやられても私じゃ助けられない」
ウンディーネと呼ばれた女の精霊は水の精霊の頂点。
「そうね。そんな存在に喧嘩を売るなんて消滅しても文句言えないわ」
「まぁ普段、海を拠点にしてるウンディーネなら会うことをないと思うけど」
「そうね、、、、、、、疑問なんだけど。あなたそんな相手にどうやって召喚の指輪を渡したの?まさか脅されたの!?」
「違う違う!実はその化物には双子の兄がいて」
ウンディーネは衝撃の事実に思わず口をはさんでしまった。
「えっ!?化物が2人もいるの!?」
「大丈夫!化物はそいつだけで兄の方は普通だったよ」
「それなら良かったわ」
「ただ、、、、、、、」
「どうしたの?普通だったのよね?」
「力はないのは確かなの、でも力とは違う。何とも言い表せない存在だったわ」
「そう。いったんは考えないようにしておくわ。ごめんなさい話を遮って」
「うん。それでね、その兄の方に召喚の指輪を渡したのよ。面白そうだからって理由にして」
「そうなの。ん?でもそれじゃあ召喚される時はその兄の方になるのよね?それじゃあ戦いにもならないんじゃないの?」
「あいつのことだから、召喚された瞬間攻撃するはずよ。化物は兄を大事にしているみたいだったから、少しでもあいつが傷をつけようとすれば確実に化物がでてきてコテンパンにやられるわ!!」
「大丈夫かしらそれ」
「大丈夫よ」
「説明を聞かなかったあいつが悪いって言い張るから」
シルフは胸をはってドヤ顔でそう答えた。
「わかったわ。念のため召喚される時は私も呼びなさい」
「え!いいの?ありがとう!!」
「ええ。心配だから」
「心配しすぎだよ!でもありがとう!」
「それじゃあ私も帰るわ」
ウンディーネは門を使い帰った。
シルフは1人残り楽しそうに独り言をつぶやく。
「さーて、いつ呼ばれるかなぁ」
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時間は少し戻りシルフが帰った後の洞窟
「さて戻るか」
「そうだな。まさか山脈を切った魔獣の話からここまでの体験になるとは思っていなかった。普段ならアーサーに文句を言いたいところだがどうでもよくなったな」
「それはよかったよ」
「それじゃあアーサー頼んだ」
俺は兄の合図で全員に魔法を使い山脈から飛び立った。
帰ってきた時には既に夜になっていたが、父上、母上、義姉上を部屋に招くには丁度いい時間で、兄に呼びに行ってもらった。
待っている間、俺の部屋が凄かった。
誇白、黒音、黒華の3人は部屋に興奮していた。
誇白は少しだけ知識があったらしいのだが、それも何百年も前らしく2人と全然かわらなかった。
俺達にとっては普通の物でも目を輝かせて質問してくる。
ベットの上に座った瞬間とか子供のように飛び跳ねていた。
人の姿の3人は見た目が十分いい大人なだけあって、違和感が半端なかった。
時間が少したち隠し部屋の扉がノックされた。




