3珍しい面倒事
闘技場での試合から1ヶ月がたった。
特に問題がおきることもなかったから魔法の研究に集中できた。
「お・と・う・と・よーーーーーー」
また、俺の隠し部屋の扉を勢いよく開けて入ってくる。
さて、今回はどんな面倒事を持ってきたのか。
「どうしたのだ兄上」
兄の登場には慣れているとはいえ、ノックもなしに毎回入ってくるのはどうなんだろうか。
兄弟でも少しは気を使ってほしいものだな。
「とんでもないことが起こるかもしれん」
「とんでもないことなら今も起こっているぞ」
「なに!それは本当か!」
「ああ目の前にある」
「どこだ??」
「はぁ、、、俺の部屋にノックもなしに勢いよく入ってきた兄上だ」
「すまん」
大人が凄く申し訳ないとゆう顔をしている。
とゆうか、双子だから俺が目の前でしゅんとしているように見えて凄く嫌だな。
「さて、本題に入ってもいいぞ」
「切り替え早いな」
「いつまでも、俺のしょげた顔なんか見ていたくないだけだ」
「それもそうだな」
「で?」
「実はな、北の山脈でとんでもない魔獣がでたらしい」
北の山脈で魔獣がでるのは当たり前だ。
人の手が加えられないほど生活することに向いていない険しい山脈。
人がいないなら見たことない魔獣が住んでいても不思議ではない。
とんでもないと言っても所詮は一般人から見た強さだろ。
だが疑問が生まれた。
あの山に行った一般人がいるってことだ。
何をしに行ったんだ?
「いくつか聞きたいことがある」
「おっ?興味あるのか!」
兄が嬉しそうにこっちを見ている。
俺が興味をもつことなんかめったにないことだから、嬉しいんだろうな。
「少しだけだ、魔獣を見たって言ってるやつは何者だ?わざわざあの山脈に行くやつは何をしに行ったんだ?」
「冒険者パーティーだそうだ。依頼で向かっていたらしいぞ」
それなら納得か。
特に変わったことではない。
「その魔獣はどんな見た目だったんだ?」
「それがわかっている情報は曖昧なんだ」
「わかっていることだけでいいさ」
「白く大きな翼、魔獣本体はそれしかわかっていない」
「なんだその生物として成り立たっていない魔獣」
「そうなのだ。だからこそ俺の耳に入ってくるまで時間がかかった」
「確かに、大きな白い翼だけの魔獣って意味が分からないから話しても信じてもらえず、話が広がるのに時間がかかったってことか」
「その魔獣は山を割ったそうだ。そして驚いた冒険者たちはその場から全力で逃げたらしい。だからこそ、話を聞いた者達は依頼の失敗の言い訳だと言って話を流した」
「ん?」
山が割れた。
ちょうど1ヶ月前に俺が山を斬り、ずらした時期と重なる。
だがその時に大きな白い翼をもった魔獣なんて見ていない。
残念だ見てみたかった。
「どうだ驚いただろ?」
「話が流れたならどうやって兄上まで話がきたんだ?」
「あまりにも信じてもらえないのがい嫌だったらしくて、冒険者ギルドに正式な調査依頼をだして高ランクの冒険者を連れて調査に行き、山が割れているのを見せ魔獣を捜索したらしいが」
冒険者ギルドか、冒険者ギルドとは国や街を拠点に存在し金さえ払えばどんな依頼も受けてくれる。
高ランクの冒険者の言うことは信憑性があるらな。
「魔獣は見つからなかったとゆうことか」
「その通りだ」
「それで?俺にどうしろって言うんだ?」
「おいおいわかるだろ?」
わかるがわかりたくない、正体までわかっていて出現してくれるならいいが、正体不明一度しか目撃情報もない魔獣なんて、面倒事の対象でしかない。
「わからん」
「では私の影武者のアーサーに命じる。魔獣を探し出して退治しろ」
「はぁ?」
「おいおい王子の命令だぞ」
兄がにやにやしながら言いった。
「わかったよ。さっさと行って探して退治する。一応確認だが今は山脈に誰もよりついていないであってるか?」
「ああ。こちらに話が入ってきた時に、ギルドのマスターに伝えている。一度こちらで調査をするから任せろと」
任せろねぇ。つまりはこちらでやるから邪魔するなってことだろ。まぁ俺のためにやってくれていることだろうし文句は言ってはいけないな。反感はないだろうが、結果はギルドにも教えて手柄を分けてやろう。
「よし、さっさと行ってくる」
「任せたぞ」
俺は頷くと城から抜けだし北の山脈に向かった。
「ふむ」
とりあえず魔法を使い上空から山脈を見渡している。
強い気配がない。
情報だけで考えるとそれなりに気配があってもいい気がするんだが、、、
「山を割るってことだから、斬り口を見に行くか」
目撃情報があったあたりを探していると、すごくわかりやすい斬り口だった。
だがこれは、、、
「俺のやったことだよな」
なるほど、魔獣を探すのは意味がなくなったな。
山を割ったのは俺でたまたま大きな白い翼の魔獣が近くにいたってことだろう。
だから、強い気配の魔獣もいないってわけだ。
「はぁ、、、無駄な時間だったな」
そうぼやいて、この場を離れようと魔法を発動しようとした瞬間。
声が聞こえてきた。
(少し聞きたいことがある。こちらの質問に答えてくれるか?)
頭に直接語り掛けてきた。
この魔法は初めての体験だな。
「聞きたいことがあるなら姿を見せて聞きに来い」
まぁ気配でいる場所はわかっている。
ただ気になるのはその存在なんだよなぁ。
大きな岩の影から2匹の真っ黒な狼?のような魔獣がでてきた。
(驚きはしないのだな。仮面のお客人)
俺は小さい頃から念のため外での活動は仮面をしている。
今回も念のため顔を隠すために使っている。
いつ誰に見られるかはわからいから。
「いや驚いてはいるさ、人の言葉を理解して話すことができる魔獣がいるとは思わなかった。ただ魔法で頭に直接語り掛けてきているから、話すとは少し違うな」
(やはり、只者ではないと言われていただけはあるな。肝が据わっている)
「言われていた?俺には魔獣の知り合いはいないんだがな。それにここに来たことも数回しかないぞ」
(先に質問させてください。先ほど山の切り口を見て、俺のやったことと言いましたよね?)
さっきまで黙っていたもう1匹が前に出てきた。
「ああ、俺がこの山を切った」
少しだけ威圧感をだして答えた。
(警戒はしないでください。会っていただきたい方がいます)
「そんな意味のないことはしないさ。それで会ってほしい方だと?会いたければ来ればいいじゃないか」
(それができないのです。来ていただければご説明させていただきます)
だいぶ困った雰囲気だ。
正直警戒するほどの脅威はない。
だが一方的に認識されているのは嫌だな。
「まぁいいだろう。お前たちについていってやる」
(ありがとうございます)
2匹ともお座りをしながら、頭を下げていた。
なんだろう。狼っぽいけどペットに見えてきた。
(案内させてもらう。着いてきてくれ)
少しすると洞窟が見えた。
「この中か」
(はい。本来はもっと大きな入り口だったのですが、1ヶ月ほど前に山が割れ入り口が崩壊してしまい。我々くらいの大きさの者しか通れなくなってしまったのです)
(ぎりぎりお客人も通れるくらいでよかった)
「お前たちが合わせたい者はこの山脈を支配しているやつとゆうことだな?」
(おお、お気づきですか)
「気づいてほしくて、わざわざお客人なんて呼ぶんだろ?自分たちが支配し治める場所だからお客人」
(その通り)
俺が山脈を割ったことによって住処が崩落したとは、少しだけ申し訳なく思う。
ここを支配する者がその後ここを立て直せないって事は、その程度の実力ってことだな。
(この扉の先に主がいます)
扉といってもほとんど壊れている。
隙間を通って扉の向こう側に行く。




