27面倒事はここからが本番
「俺達2人を相手にハイドの王子が1人で戦ってくれるってよ」
「あらあら舐められものねぇ」
サイズとビビアンからは怒りの感情はない。
むしろ面白がっているように感じる。
俺はかなり焦っている。
兄の予想外の言動のせいで、
予定が狂った。
本来なら俺がレンとして前にでて、
奴らを倒して終わりだったのに、
余計な事を言ってくれた。
(すまん。つい頭に血が上って、、、)
(つまりなんの計画もなく言ってしまったんだな)
そんな気はしていた。
なぜこんな状況でいつもの癖がでるんだよ。
(主様。私に考えがあります。私が水球、主様が炎球を放ちもう一度会場の視界を奪いお二人が入れ替わってください。主様がランスロット様として戦えば何も問題なくハイド王国の王子の名は更に広まると思います。)
誇白は優秀だ。
(それしかないな)
(流石だな。私はどうすればいい?)
正直兄にできる事はない。
むしろ戦闘においてはもう黙っていてほしい。
俺と入れ替わりレンになってもらって、
ランスロットになった俺が下がるように言えば、、、いいな。
(入れ替わった後は、無言で俺の前に出てくれそうすれば後は俺が何とかする)
「どうしたよ?黙りやがって!今更びびったのかあ!?」
(誇白今だ)
俺の合図で誇白が2階から水球を5つ発動して放つ。
思わぬ方向からの魔法にサイズとビビアンは一瞬動きが止まったが、
自分たちに直接魔法が飛んできていないとわかり
俺の方を警戒してきた。
そこに合わせて俺が炎球をぶつけて会場を水蒸気で視界を奪った。
「あっちにもいたのかよ。勢ぞろいじゃねーか」
「目くらまし?今更意味なんてないと思うんだけど?」
俺と誇白が兄の前に移動した。
(これを)
レンの衣装を兄に渡し直ぐに入れ替わる。
俺は元々兄と同じ服装にローブを着ているだけだから入れ替わりはスムーズだ。
これで、俺を守るように兄と誇白が前にでて守る陣形になった。
(アーサー、誇白視界が悪い間に共有しておきたいことがある)
(どうした?)
(ドランバルト学長が刺されてから回復の魔法を発動していないのが気がかりだ。リサが動かなくなり奴らとの距離があったのにだ。もしかするとドランバルト学長の近くに魔法を封じる指輪をしている奴がいるかもしれない)
(なるほど。この会場にいる者の中に他にもリサのように操られている者がいないとは限らないわけだ)
(誇白、奴らに魔法を浴びせてやれ)
既に準備していた誇白から
2人目掛けて閃光のような光の魔法が
勢いよく飛んで行った。
雷の魔法か
殺傷能力が高い魔法を選んだな。
「ぎゃあぁぁあ」
2つの悲鳴が会場に響いた。
直撃したようだ。
(直撃はしているが油断はするなよ)
直ぐに風魔法を使い視界を戻す。
奴らは何事もなかったように立っている。
そのかわり奴らの前には会場にいたであろう研究者が倒れていた。
さっきまで周りには誰もいなかった。
(盾代わりにされた者達はどこから?)
(影の魔法を使って無理やり連れてきたのか、操ったのか、、、)
「なんだよ。主人のとこに行きたくて視界を奪ったのかよ。まぁ全員相手する予定だからまとまってくれて助かったぜ」
「そうねぇまさか残りの従者が隠れているとは思わなかったから逆に助かったわ」
俺は前にいるレンと誇白を押しのけて前にでて質問した。
「この者達が勝手に近くに来ただけだ。お前らの相手は宣言通り私が相手をする。それよりもお前たちの前に倒れいてる者は誰だ?仲間か?」
「いいえ仲間じゃないわ。この会場にいた可哀そうな研究者よ」
「可哀そうになぁ痛そうだ。やったのはお前達だからな」
あまりにもわざとらしい笑みを浮かべている。
「お前たちの仕業だろ」
舞台の上から会場を見渡していると、
予想外の場所からの魔法の発動を感じた。
「まさかとは思うがここまでとは思わなかった」
予想外だった。
いや、予想をしておかなければならなかった。
いつからかはわからないがリサが操られ
ドランバルト学長のみが魔法を封じられている可能性がある状況。
そして、初めに俺以外の周りの者が
全員奴らから離れたあの状況で、
会場にいる残りの者達は魔法の影響下にあるかもしれない事に。
「残念だけどこの都市に来た時点であなた達は鳥籠に入れられた鳥なのよ」
ビビアンがこちらに指をさし合図した。
俺達3人がいる舞台に向かって
会場全体から魔法が放たれた。
(俺達とドランバルト学長以外が敵だ)
炎、水、雷、風、土、氷の様々な攻撃的な魔法が俺達を襲ってくる。
生きているかのように会場をかけて迫ってくる獣の姿をした炎の魔法。
蛇のような螺旋のような3mくらいの長さの水の魔法。
水の魔法に合わせて追加される雷の魔法。
鳥の形をしてまっすぐ突っ込んでくる風の魔法。
地面から魔力で固められた尖った土が迫ってくる土の魔法。
先が尖った氷塊を飛ばしてくる氷の魔法。
どの魔法も数がかなり多い。
会場にいる全ての研究者が魔法を放ってきているのだから仕方がないが。
「どれも面白そうな魔法だな」
俺は魔力を少し解放し、
剣を魔力で覆い一振りで
迫りくる魔法に対して全てかき消した。
「は?」
「滅茶苦茶ね」
サイズとビビアンから困惑の声が聞こえてくる。
奴らからしたら今の魔法で俺達を倒す予定だったんだろうな。
あれだけの魔法を発動されたら普通なら対処なんかできないだろうから、
当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが相手が悪かった。
あいつらが倒そうとしているのはハイド王国最強の王子。
ランスロット・ブラントだ。
「この程度で倒せると思っていたなら侵害だ」
ビビアンがの表情が歪んでいる。
今回の作戦によほど自信があったんだろう。
無理もないか、それを1人の人間の魔力を覆った剣のたった一振りで
台無しにされたんだ。
「サイズちゃん。予定変更よ」
「そうだな。あいつの魔力はかなりのものだ」
「あたしが相手をするから他を放してくれない?」
「しゃーねーな」
「私1人で相手をすると言ったはずだが?」
「邪魔な奴らを片付けたらすぐにてめぇも相手してやるよ」
レンと誇白の足元の影が広がった。
(誇白、兄上を必ず守れ)
(かしこまりました)
誇白が返事をした直後に2人は影に飲み込まれた。
「そっちは任せたわよ。こっちはあれを使うからしばらく戻ってこれないと思っておいてね」
「ああ。そうだろうと思ったぜ」
サイズはそう答えると影に消えていった。
「従者が消えたのに無反応なのねぇ。部下が心配じゃないの?」
「自分達で分断しておいてよく言う。私の従者があの程度の男に負けるわけがないからな心配する意味がないんだ」
ビビアンを挑発するように答えてみる。
「それは舐めすぎね」
「事実を言っているだけだ」
ビビアンの眉がピクピクと動き
顔面に血管が浮き出ている。
「その自信をぐちゃぐちゃにしてあげる」
相当怒っているようだ。
「どうやって?あの数の魔法を防いだ私をお前1人でどうにかできるとでも思っているのか?」
「魔法を確かに凄かったわ。でもねそんなの封じればいいだけなのよ」
ビビアンが指輪に魔力を込めた。
直ぐに魔法が使えるか確認してみたが使えなかった。
「指輪は一つではなかったんだな。それに私が知っている指輪の効果範囲よりもだいぶ広い」
「いつまでそんなに冷静でいられるのかしらね。魔法が使えないってことはあなたはただただ何もできずにあたしに倒される未来しか待っていないのよ?」
「知らないのか?ハイドの王子は武芸にも秀でているんだぞ?」
「それはこの人数を全部倒してから言ってもらいましょうか」
先ほどまで魔法を放っていた研究者達が一斉に剣を取り出しこちらに向かってきた。




