10兄が何とかする面倒事
誇白達のお披露目の話をしてから2週間後。
お披露目当日、城の中は大変忙しそうだ。
兄の予定では1週間後のお披露目だったようなのだが予想外の事が起きて今日になった。
その原因は3人が人間の文化を全く知らなかった。
それもそのはず、誇白達は会話ができるが元々狼なのだから。
俺は普段自室から出ることはないから、表立って3人を指導することができない。
なので、義姉が積極的に教えてくれていた。
時間が取れないときは、メイドや騎士団の連中が教えてくれている。
城内で働く者には既に正体を明かしているのだが、それぞれ人気者になっていた。
人間の姿の3人は美人だ。
誇白は170cmくらいの銀髪のベリーショート。
黒音は160cmほどの黒髪のショートボブ。
黒華も160cmほどで黒髪の腰まである長い髪をポニーテールにしている。
一般的に見れば人気のでる容姿なのはわかるのだが、正体が狼とわかっていても人気なのはよくわからない。
因みに、兄が不思議に思い生活面の指導を手伝っているメイドに聞いてみたところ。
”狼の姿は可愛くて、人の姿はかっこいいとか反則なのです!”
っと言われ、模擬訓練で人の戦い方を教えている騎士団の者に聞いたら”でも目の前にいるのは強くて美人なのです”っと言っていたらしい。
この城の連中はいろいろ大丈夫だろうか?
3人の指導に関わっていない俺は今日までのんびりと魔法について研究している。
誇白達が使っていた頭に直接話しかける魔法に誇白の固定の魔法。そして召喚魔法に契約魔法。
こんなにも俺の知らない魔法があるなんて、研究のしがいがある。
◇◇◇◇◇◇◇◇
城内ではランスロットが誇白達と最終確認をしていた。
「さて、もうすぐ時間だ緊張とかするのかお前達?」
「主様。我々は橋の向こうの広場で止まってお披露目するだけですので特に問題ありません」
誇白達には私のことはランスロットもしくは主と呼ぶようにして、アーサーのことは主と呼ぶように伝えた。
間違ってもアーサーの名前が出ないようにするには一番良い呼び方となったからだ。
「そうだな、では狼の姿になってくれ」
誇白達は狼の姿に戻った。
アーサーには一応、従魔のお披露目なのだからどこかで隠れて見ているように言ってあるが、覚えているだろうか?凄く不安になってきた。今日はまだアーサーと顔を合わせていないから確認もできていない。これで忘れていたら絶対に説教してやる。
「よし、門を開けよ」
私の合図で門が開く。
ハイド王国は城の周りに大きな堀があり。
城の正面に石でできた橋がある。
そこを通りすぐに大きな広場に出ることになる。
今回は門で誇白達には狼の姿になってもらい。
歩いて広場まで行き、見に来たものへのお披露目になる。
広場には即席で作り上げた来賓用のスペースで招待された貴族やギルドマスター、友好的な他国の主要人物がいる予定だ。
「行くとしようか」
ランスロットが歩き出すとその後ろに誇白がゆっくりとついて行く。
黒音と黒華は誇白の左右に分かれてついてくる。
「まだ距離があるとゆうのに誇白の姿を見た者達の反応が伝わってくるな」
(私大きいですからね)
「私も初めて見た時はびっくりしたからな」
ギルドマスターには雲を翼と見間違えるほどの事が起こったんだと伝えた時は、あまり信じてもらえなかったからな。誇白の姿を見て無理やりにでも納得してもらわんとな。
ランスロットがそう考えながら歩いていると広場までついた。
さて、始めるか。
「今回、私は北の山脈を割った魔獣を捜索するためギルドからの情報を元に見つけ出し。従魔にすることに成功した。ギルドからの正確な情報のおかげで良き出会いができたこと感謝する。従魔契約は、はるか昔の時代なら存在した魔法だ。今は使うことができる人間がいるとは聞いたことがなかったが、今回知識ある私の従者のおかげで見事成功した。せっかくなので私の新たな仲間を国の皆に見せようと思いこの広場をお披露目の場として使った」
広場が歓声につつまれた。
「おお。凄い歓声だな流石兄だ。貴族達は兄に尊敬の眼差しを向けているし、良い傾向だな」
俺は広場の近くの屋根から見ている。
フードを深く被り念のため仮面をつけ気配もできるだけ消して。
「さて、従魔契約の魔法の知識をもつ従者を紹介せねばな。銀狼である誇白!そして元々誇白に仕えていた黒狼の黒音と黒華だ」
今度の広場はざわつきだした。
それもそうだろう。今皆の目の前にいるのは大きく綺麗な銀狼と大きさは普通の黒狼なのだから。
すごい魔獣としか認識していないだろうしな。
「代表で誇白に挨拶してもらおう」
(誇白と申します。主を支え国を守る事を宣言します)
広場にいる全ての者の頭の中に誇白の声が響く。
ざわつきはさらに大きくなった。
皆自分以外にも聞こえているのか確認して、驚きの表情に満ちている。
静まり帰る前に、誇白達3匹は3人になった。
今度は歓声に変わった。
「今後はこの姿で皆様の前に出ることになるでしょう。主様との契約で人の姿を得た私達をこの国の一員として今後ともよろしくお願いします」
言葉を直接発したことで、今回のお披露目で一番の歓声になった。
俺が圧倒されるくらいの熱狂だ。
「凄いな。城での人気もあったが広場にいる者達の顔を見ていると驚いている者もいるが、ほほが赤くなっている者や見とれている者までいる。とりあえずは兄の作戦は成功しているな、、、、、後は余計なことをしなければ終わりだ」
そんな独り言をつぶやきながら広場に耳を傾けていると、”大きな狼とはいえ山脈を割る事なんてできるのか?”とか”どうせなら力も見てみたいよな”とゆう声が聞こえてくる。
兄の方を見ると、聞こえていたのだろうな。
自信に満ち溢れている顔だ。
このタイミングでのあの顔はまずい。
余計な事を言う。
絶対に。
兄はニヤリと笑みを浮かべ話し出した。
「誇白に本当に力があるのか?そんな疑問も持っている者もいるだろう。折角だその力の一部を皆に披露しよう」
誇白は予定にない言動に驚いていた。
かわいそうに、慣れてもらうしかないが、、、、
折角、俺を慕い従魔になったのだ。
俺が助けてやらねばな。
事前に誇白にだけ披露していた会話の魔法を使い誇白に話しかけた。
(誇白。今お前だけに聞こえる会話の魔法を使っている。返事はしなくていい。俺の言うと通りの行動をとればそれで解決する)
誇白が小さく頷いているのを確認し指示をする。
(誇白の正面の空にある大きな雲に手をかざし魔法を圧縮した球を放て、後は任せろ)
そう指示すると同時に俺は魔法を使い誇白の後方の空で待機していた。
誇白が指示通り手を雲に向かってかざす。
そして誇白から放たれた魔法の球が雲に向かって放たれた。
全員が魔法の放たれた方角を向いている。
俺は魔法が雲の中心で斬れるように斬撃を飛ばした。
斬撃で一瞬雲が2つに割れ魔法がはじけ飛んだ。
雲は魔法により跡形もなくなり、歓声と拍手でお披露目が終わった。
「はぁ」
俺は大きなため息をつき城に戻った。
その日の夜。
勢いよく俺の部屋の扉が開いた。
「お・と・う・と・よーーーーーー」
兄だ。
後ろには誇白達3人も一緒だ。
「うるさいぞ兄上」
「いやー。誇白に聞いたんだが、頭に直接話す魔法を対象を決めて使えるようにしたらしいじゃないか!それでタイミングを合わせて雲を消し飛ばすとは凄いぞ流石だ!」
「流石だ。じゃない。俺がお披露目を見ていて魔法を完成させていたから最後の出来事は成功したんだぞ。俺が見ていなくて魔法もなければどう収拾つけるつもりだったんだ?誇白がかわいそうだろ」
「誇白ならできるかなと、、、、、」
「兄上」
俺はあきれて頭をかかえた。
「だが、成功したからいいじゃないか」
「兄上は人前にでると何かしらしようとする癖を何とかするべきだ。何かするにしても自分でできる範疇にしないと今後困るぞ」
「それについては反省する!だが今のところ失敗しないから出来ると思ってしまうのだ」
兄は俺が戦闘をするときのテンションを恥ずかしいと言うのだが、ああゆうことをするからこそ寄せた結果であることをわかってほしいものだ。
「俺だけならまだしも、誇白は今回が初めてでよく冷静に対処してくれたものだ」
「確かに驚きはしましたが、主様からの指示がすぐにありましたので対処できました。ありがとうございます」
「うむ。誇白、今回はすまなかった。今後ともよろしく」
兄は満足した顔で誇白に謝罪していた。
「かしこまりました」
「あっそうだアーサー。魔法都市サーチから是非、契約魔法について魔法式の開示と指導をお願いしたいと言われた」
「は?」
しれっと面倒事を伝えられた。




