1座っているとやってくる面倒事
ハイド王国
北は大きな山脈
西は広大な砂漠
東は街道と森林
南は海
攻め込まれることは難しく国内だけでも十分に生活をできるだけの資源が存在する国。
そこの王こそ俺の父、ランドール・ブラントである。
そして第一王子のランスロット・ブラントは最高の頭脳を持ち戦術において他を圧倒し、武芸と魔法では一人で戦況を変えることができ、家臣だけでなく国民からの信頼も得ている。
歴代最高で最強の王子となっている。
「お・と・う・と・よーーーーーー」
俺の部屋の隠し扉を盛大に開け突っ込んでくる男、身長は175cmで筋肉質、黒髪に金色の瞳を持つ我が兄であり、第一王子ランスロット・ブラントだ。
こうやって入ってくるとゆうことは毎回のように面倒事を持ってきたのだろう。
俺は読んでいた本を閉じ兄に尋ねた。
「今回はどんな面倒事を持ってきたのだ兄上」
「面倒事とはひどいじゃないか、毎回のりのりで手伝ってくれているくせに兄は悲しいぞ。心が張り裂けそうだ」
兄はわざとらしくため息をついている。
「それより本題に入ってくれ」
「アーサーもう少し俺と世間話しようとは思わんのか、たった二人の兄弟じゃないか」
「兄上」
俺が面倒くさいと目で訴えかけると兄は観念して話し始めた。
「実はな」
兄は真剣な表情に変わった。
「今度新たに騎士団に志願してきてくれた若者達でトーナメント形式の大会が行われるのだが、そこへ陛下達と私も直接出向いて観戦することになった」
騎士団は我らが国を守る者であり実力のあるものは是非入団してほしい。
もちろん騎士団の所属の者や貴族達が見に来るのは当然として。
大会ともなれば陛下はもちろん第一王子が観戦するのは普通のことだが、、、
「良い話じゃないか、次世代の騎士達の力を見れるいい機会だ。俺が手伝うことはなさそうな話だが?」
確かに兄は戦いにむいていないセンスがないのだ。だが観戦するだけなら俺がランスロット・ブラントの影武者としていく必要はない。
「観戦するだけなら問題はないさ、、、」
「は?」
我ながら間の抜けた声を出してしまった。
嫌な予感がした。
「私が優勝者と戦う事になった」
有り得ない内容に時間が止まったかと思ってしまった。
「なぜそうなる?」
本来なら家臣が全力で止めるだろう。
いや止めたのだろうな。
それなのに戦うとゆうことは兄が意地を張ったのだろう。
負けず嫌いなところがあるからな。
「私も初めは見るだけのつもりで話を聞いていたのだ。だがな家臣達が今回の若者たちは歴代の中でも最強の者達がそろっているとか言い出してな」
「いいことじゃないか有望な若者が国に仕えたいと言っているのは国として誇っていいことじゃないか」
「最強と言い出したのだぞ私を差し置いて最強とか言ったんだぞ」
「最強って歴代の騎士になった者達の話だろ。それに私って言ってるが正確には俺じゃないか」
俺は兄の影武者、戦術と人望は兄が武芸と魔法は俺の役割になっている。俺たちは双子なのだ。
ー10年前ー
「兄上、俺は死んだことにして兄上の影武者になる」
兄は口を大きく開け目がこれでもかってゆうくらい開いていた。
なんとも間抜けな顔だ。
「なにを言っているんだ。意味が分からない一緒に国を支えていけばいいじゃないか」
「影武者となり裏から支えることができるぞ」
「死んだことにしてはお前の人生が終わるじゃないかそんなこと許されない」
「兄上も気が付いているだろ?俺が夜な夜な町に行き悪人を懲らしめていることに」
俺は城を抜け出しては正体を隠し、悪党と呼ばれる奴らを懲らしめている。
「気がついてはいたさ、ここ最近悪い奴らのアジトが壊滅したり悪人が縄に縛られて放り出されていたりと正義の執行者が現れたとゆう噂を私も聞いた」
「俺は力がある。ならそれを使うべきだと考えている。正直楽しんで相手を懲らしめている」
俺は自分が王族として生まれたのが間違いなんじゃないかと思うくらい、戦う事が好きだ。
人を切ることにためらいはなく、魔法を使って命を奪うことにも罪悪感はないむしろ楽しい。
「アーサーが楽しんでいることは容易に想像はつくが、そのためだけに死んだことにするのか」
「俺は武芸と魔法に関してはこの国最強だと自負している。兄上は戦術と家臣と国民からの人望がある。これがもし一人の王が成し遂げればこの国は最高の国になると俺は考えている」
兄は何かと理由をつけては城から出て街に出向き、国民達の意見を聞き国の政策を見直し良い方向にもっていっている。
兄の発想はこの国を大きく発展させることができる。弟として誇らしい。
俺の表情を見て何を言っても無駄とわかってくれたのだろう。
兄は諦めた。
「言いたいことはわかるが、父上や母上の説得はどうする?許嫁もいるじゃないか」
「2人には正直に話してわかってもらう。許嫁も大丈夫だ」
許嫁といってもあったのは数回程度だ。それに6歳だと記憶している。むしろ早めに別の相手を探すことができていいだろう。
「わかった。だが父上と母上両方を説得できなければこの話はなしだからな」
俺たちは王である父上と王妃である母上と話し合いをした。
「アーサーの覚悟はわかった」
結果俺の提案は受け入れられた。
正直、上手くいくだろうと思っていた。
俺たちの両親はなんとゆうかゆるい、政務をしている時や家族以外の前では威厳ある王と王妃なのだが、俺たちの前では別人のようにゆるい、元々王位を継ぐ予定なのは兄で決まっていたのだが、俺が兄よりも武芸も魔法も優れていることから、貴族や家臣の中でも派閥が分かれていた。
兄は頭が良く戦術はもちろん頭を使う娯楽は負けなし国を発展させることもでき国民からの人望もある。
きっと良き王になるに違いないのにそれがわからないとは嘆かわしいことだ。
父上達はそのことに頭を抱えていたのだが、俺の考えと覚悟を聞いて賛成し協力してくれた。
その後、俺が魔法の修行中に制御を怠り暴発、遺体が残らないほどの爆発でこの世を去った。
とゆうことにして俺は魔法で城に抜け道を作ったり新しく隠し部屋を用意した。
普段はそこで修行をしながら隠れて父上、母上それと兄上にあっていた。
三人とも息抜きがてらよく部屋にくる。
そして兄がみんなの前で武芸や魔法を披露する時は俺が代わりにでて力を示した。
はじめは家臣達も驚いていたが、弟の死を引き金に兄は武芸や魔法の才能に目覚めたのだと思うようになってくれた。
これで全てにおいて最高であり最強の王を誕生させる為の準備を進めていく。
陛下は俺たちの計画が上手くいっていることを感じていて
「お前たちがいればこの若さでゆっくり隠居生活楽しめるぞ」
と呑気なことを言っていた。
それでいいのかとは思ったがまだまだ現役で王としていてもらおう。
ー現在ー
「わかっているお前以外に最強などとゆう言葉が使われるのは我慢できなかったのだ」
「我慢してくれ」
「ついな、そんなに強いのなら私自ら見極めてやろうって言ってしまった。家臣達はもちろん止めたのだ。貴族達もあり得ないとか前代未聞だのなんだの言っていたが一度口に出したからには引き下がれるわけもなく」
この兄は本当に弟思いなのは嬉しいことなのだが、王子として堪えるところは堪えてもらわないといけない。そんなことを考えていると。隠し扉からもう一人の協力者が入ってきた。
「義姉上、あなたがついていながらなぜこうなったんだ」
「仕方がないじゃないですか、この人のあなたへの思いを止めることなどできません」
そう言って答えてくたのは、兄の嫁のアイリス妃だ。
彼女には俺と兄が入れ替わっていることに気づかれてしまったので事情を伝えた。
流石兄の許嫁であっただけわあると感心した。
結婚して数日後、俺が入れ替わって魔法を披露した際にバレた。
なぜわかったのかと確認したところ、兄上が昔見せた魔法の発動時の魔法陣と俺とでは雲泥の差があると言われた。
義姉上は特殊な目をもっているらしく、聞いた時はかなり焦った。
だが他の親族に同じものがいるとは聞いたことがないとのことと特に妨害や脅しがなかったことから義姉上が特殊だと判断した。
「その言い方はやめてください。寒気がする」
「おい。なんてこと言うんだ兄である私が弟であるお前を一番に考えるのは当たり前じゃないか」
「あら、私が一番ではないのですか?」
義姉上から殺気があふれている。
「まてアイリス、もちろん君も一番だ」
「知っています。少し意地悪を言ってみただけです」
「仲がいいのはわかったから、本題に戻ろう」
ー試合当日ー
大きな闘技場で試合が行われている。
陛下達は安全なところから試合を見ていた。
俺は決勝が終わるまで闘技場でも勝手に改築した隠し部屋で優雅に試合を見ていた。
因み前日にこの部屋を見た兄の反応は。
「俺達が見るところより快適だろこれ、いつ作ったんだ。せこいぞ!」
「作ったのは話を聞いてからだ。」
「相変わらずお前の魔法は凄いな。とゆうことは入れ替わっている間、私はここにいられるではないか!よくやったアーサー」
「喜んでくれてよかったよ兄上」
そんなやり取りをしていたのだが、この隠し部屋を兄だけが使っていることがばれたら、義姉上は怒るだろうな。
まぁ俺には関係ないことだろうからその時は兄だけ犠牲になってもらおう。
そんなことを考えていると優勝者が決まった。
少しの休憩と回復魔法によって万全の状態になったら早速俺の出番だ。
闘技場の控室に行くと兄が驚いていた。
まぁそうだよな教えていない隠し扉から準備室に入ってきたのだから。
「お前の魔法はなんでもありすぎだ」
「隠し通路を作らないと兄上と入れ替わるチャンスなどないので、これが一番打倒なんだ」
「それもそうか」
兄は政務や戦術を考えるとき以外は別人のようにぬけている人だ、なぜこうも切り替えができるのかわからない。
「この通路を通っていけばあの部屋につく」
「わかった。アーサー」
真剣な表情で兄が見てきた。
「なんだ兄上、俺が負けるとでも思うのか?」
「本気で言っていつのか?お前が負けることはない。それよりもやりすぎるなよ」
俺が手加減を間違えるはずないのに、無駄な心配をするとはもう少し俺を信頼してくれてもいいのに。
「大丈夫だ任せてくれ」
そう言うと俺は控室を出ていき闘技場に向かった。




