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第1章  神に勝ってしまったんだが。

俺の名前はタクト。

俺は両親を若い頃に亡くした。

両親は凄かった。

孤児院に寄付をし、捨て猫を育て、俺を大事に育ててくれた。


だが病にかかったのだ。

医者に見せても、治らないというし、どうすることもできずにこの世を去った。

この世界に神という存在がいるのだとしたら、その神は無能なのだろう。

こんなに素敵な家庭を崩壊させるのだから。


俺は神なんていう非科学的な存在は信じない。まぁ、魔法はあるのだが。

神なんてものいるわけがない。

だが町中に溢れているのだ。その「神」という言葉が。

実際に神を見たという人もいるらしい。

出鱈目に決まっている。


「この前うちの息子の病気が治ったのよ!きっと神様のおかげよ」

居酒屋でそんな声が聞こえた。


そんなわけない。俺の両親のことは助けてくれなかった。

タクトは心の中でそう思った。


「腕相撲どっちが勝つか賭けようぜ」

「俺はアラーが勝つと思うぜ!」

「神様、どうか私に運をください。」


神様に祈っても無駄だ。神様なんていないのだから。


「よっしゃあああ!勝った!俺神ってるぜ!」


神ってる?神なんていないのに?

タクトはずっとそんなことを考えていた。


「神様なんているわけないぜ。そんなのきっと嘘つきが「わしゃ神じゃ」

とか言ってほら吹き回ってるだけだぜ」


「カチン」


どこかから妙な効果音が聞こえた。


「それはわしのことかの?わしのことをほら吹き呼ばわりとはいい度胸じゃないか」

「爺さん誰だ?」


「きゃーあのお方1度見たことがあるわ!!この世界の創造神ゼウス様よ!!下界にご降臨なされているわ!!」


「うちの息子の病を治してくれた方よ!」

「わしゃそんなの知らんわい」


「テメェがあの有名な神様ってやつか?」

「如何にも」


神様って感じの髭を蓄えた白いおじさんがそう返事をした。


「テメェいい加減わしが神じゃとかいう嘘をつくのやめろよ!」


「カチン」


「嘘じゃないわい。わしは立派な神じゃ! そこまで言うなら決闘してやるぞい

わしのことを信じておらんなら、こんな老耄に負けるとは思わんじゃろ?」


「いいだろう!受けて立つ!みんな!この嘘つきジジイを懲らしめてやるからな!」


「カチン」


外に出た。すると、面白がって通りすがりの観客達がリングを作り始めた。

「神様と一般人が決闘するらしいぞ!みんな見ていこうぜ!」



「勝負は1回!言い訳なしだからな!」

「こっちのセリフじゃわい」

「悪いけど俺、毎日筋トレだけは欠かさないから力にだけは自信あるぜ」

「神の前に筋トレなんて無意味じゃ」


「それでは試合開始の準備をしてください」

その辺にいた人が勝手に審判をやり出した。

「試合開始!!」


「死ねぇええわしをコケにしおってからに!」

ゼウス様とは思えない発言。

さっきからカチンカチン言っているだけあってかなりイライラしていたようだ。

「雷神の稲妻」


どごぉおおおっん


ギリギリ観客に当たらない程度の大きな稲妻がリング内に降り注いだ。


その時魔法のことはからっきしだったタクトは初めて喰らった魔法で衝撃を受けた。

ダメージを負った。と言うより、感激したと言う方が正しいだろう。


「なに!?今の攻撃を受けて立っているじゃと?常人ならすでに3回は死んでいてもおかしくない威力だったぞい」


どう言うわけか、筋トレのおかげなのかタクトにダメージは無かった。

「すげーーーー!!!これが魔法か!今の稲妻で肩凝りが全部吹き飛んじまった!今ならいつもの2倍のスピードで動けるぜ!」


攻撃したどころか、相手を強くしてしまったらしいゼウス。

タクトはこれに感動し、魔法の道を進もうと心に決めたのであった。


「次はこっちの番だ!」


「シュンッ」


「ドス」


「バタ」


一瞬の出来事だった。

タクトの姿が消えたかと思えば、次の瞬間ゼウスが倒れていた。


「え?これ、一般人が勝ったのか? 嘘だ!ゼウス様ーーーー!!!」

「勝者、一般人ーーーー!」

「「「ぶうううーーーー」」」


とてつもないブーイングが響いた。

この試合が終わった後、タクトは魔法の勉学と筋トレを毎日欠かさないのであった。


ここから始まる大賢者の神話生活。

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