【完結】時之螺旋階段　～王立魔道学院の卒業試験で洞窟に魔術剣を抜きに行ったら、初対面のはずが33日前に会ったと主張する少年が現れたが何も覚えていない件～

あたし玲萌(レモ)には2年前の夜、暗闇から突如、人があらわれるのを見たという不可解な記憶があった。

王立魔道学院の三回生になったあたしは、卒業試験に合格するため葦寸(アシスン)の洞窟に魔術剣を抜きに来た。しかしこの洞窟、去年もおととしも行った学生が戻ってこないという曰くつきの場所である。今年は優秀なあたしが試験突破してみせる！と意気込んでいた矢先、旅の連れである夕露(ユーロ)が誘拐事件にまきこまれた！

誘拐の犯人を突き止めるため向かった先で、あたしは不思議な少年に出会った。銀髪にエメラルドの瞳を持つ彼は、肩から角を生やし腕には青白い鱗が光り、一度見たら忘れられない姿。33日前、彼はあたしとある約束を交わしたと言うけれど、あたしには彼と会話した記憶なんてない。

少年の謎、夕露の誘拐、そして2年前の夜の記憶――　すべての事件には失踪中の若き天才魔道医、摩弥(マヤ)が関係しているらしい。あたしは真相究明と、卒業試験合格に向けて走り出す！

（『極楽魔道記』シリーズ長篇）