スクールバトラー - 一日幼馴染の執事 -
ある休み時間のことだった。
「えっと…あんたつぐみって言ったわよね?」
主人公こと俺と幼馴染のすごく普通なつぐみが、休み時間いろいろ話しているときに、綾羽と言うものすごいお嬢様が割り入ってきた。
「ぇ…そうですけど。何か?」
「あんたにこいつを一日執事として貸してあげる!」
綾羽がこいつ、と言って指差したのは俺だった。
「ぇ!?」
「はぁ!?」
俺とつぐみの声が重なった。
「今日の私は機嫌がいいの。だからこいつ貸してあげる」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。キョウはあなたの物じゃないじゃないですか」
「…人が親切に貸してあげるって言ってるのに…素直に受け入れなさいよ!!」
っと言うことで…なってしまったわけだが…
「なったとしてもやるとないよな」
「うん…あ、そうだ」
「ん?なんだよ?」
「ね、小学校2年生の頃よく行った秘密の場所行かない?」
「あ…?う〜ん…まぁいいけど…」
小学校2年の頃よく行った秘密の場所とは、小学校の裏にあった野原だった。
そこは白い花がたくさん咲いているところで、人が全然寄り付かないところにあった。
「ここ、ここ〜」
「相変わらず白いな」
「うん。何も変わってなくてよかったw」
「そうだな…」
小学校の時の思い出なんてほとんど忘れているが、ここでの思い出は覚えている。
結構特別なところだったんだな…
「あ、そうだ。恭介」
「ん?なんだ」
「どう似合う?」
つぐみは白い花の冠を頭の上に乗せていた。
「…さぁな」
「ひ、酷い…昔はすぐに『可愛いよ、似合ってる』って言ってくれたのにぃ…」
つぐみは涙目になってそう言った。
「嘘、嘘。似合ってるから、泣くな」
「ほ、本当…?」
「嘘じゃない」
「よかったぁ。そうだ」
そう言ってつぐみは白い花を摘み始めた。
そして、組んで冠にすると俺に差し出してきた。
「はい。恭介も付けて」
「は?なんで俺がそんなことしないといけねぇんだよ」
「恭介は今私の執事でしょ?」
………。
まぁいいか…綾羽の命令よりは100倍ましだ。
「しょうがねぇなぁ…はずいけど…」
つぐみから冠を受け取ろうと思ったが、つぐみはひょいっと俺の手を交わして、俺の頭に乗せた。
「えへへ」
「………」
「なんか久しぶりだな〜…恭介とこう遊ぶの」
「そうだな」
俺は遊びには思えないが…
「なんかこうしてるとお姫様と王子様みたい」
………。
「そうだ、恭介」
「今度はなんだよ?」
「恭介メガネ取って?」
「は?」
「命令だよ」
「…わかった」
俺はメガネを外してポケットにしまった。
「えへへ…王子様みたいだよ恭介」
つぐみがそう言って笑った。
「そうかい…」
そしてあたりは暗くなり帰ることにした。
「………恭介」
「なんだよ」
「…手つなご……?」
「…あぁ」
そして次の朝。
「ふふん。昨日はあんたの幼馴染とはどうだったの?」
「別に普通じゃないのか?」
「そう。なんか今日も機嫌がいいのよね〜」
「………」
予感はしていた。
「あんた今日は静江の執事になってきなさい!」
…今日も一日執事か…