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第三十九話

 


 ミノタウロスの弓使い。


 普通のミノタウロスであれば近接戦闘を主眼において対策を練ればいいが、弓使いの場合はそうはいかない。


 人間では引くことすらできないような巨大な弓を使い、距離が空いた状況でも攻撃を仕掛けてくる。


 現在、弓使いのミノタウロスは弓を背にかけて、斧を片手にこちらを睥睨(へいげい)している。


(この状況は・・・不味いのかなぁ)


 同じ層にいるモンスターでもレベルというものは上下する。


 先にいるミノタウロスは今までのミノタウロスよりも些か図体が大きく見え、圧力をより大きなものに感じられた。


(さて、どうしよう)


 極光を使ってさっさと殺すべきなのかもしれないが、今極光を使ってしまうと、現在のMPの残量が残りわずかになってしまい、その後の戦闘に支障が出る可能性がある。


 長期戦がどの程度有効か分からない上、データが少し欲しいということもある。


 悩ましい状況だ。


(とりあえず、結界を張って攻撃系の魔術を撃つか)


 俺は片手で結界を生成し、もう片方の手でとある魔術を発動する。


『ファイヤーボール』


 魔法の中でもファイヤーボールはよく使われている魔法として有名だ。


 そこそこの威力とそこそこのMP消費量、相手にダメージを与えやすい炎という点もあり、愛用する者は多い。


 俺は炎でできた直径三十センチ程度の球を形成する。


 魔法では四十センチ程度まで大きくなるそうであるが、そこは魔術であるため、仕方がない。


 俺はファイヤーボールをミノタウロスに向けて撃ち込んだ。


 激しく燃える炎の球は一直線に飛んでいき、ミノタウロスによる斧の一振りで切り裂かれた。


(だよなー)


 雷撃が効かないぐらいだし、ファイヤーボールも効かないか。


 というか、斬られてしまうのか。


(魔術が斬られるのは予想外だったが)


 じゃあ、他の手を試してみよう。


 そうだな、今度は数を増やして撃ってみることにしようか。


 俺は魔術名を叫ぶことなく、ファイヤーボールを三つほど作り出した。


(発射)


 三つの燃え盛る炎の球がミノタウロス目掛けて殺到する。


 あっという間に炎の球はミノタウロスのもとに届き、爆発と砂塵によってミノタウロスの身体はかき消された。


(折角だから、もっと撃つか)


『雷撃』『ウォーターランス』『ファイヤーボール』


 攻撃になりそうな魔術を片っ端から発動し、ミノタウロスがいるであろう場所に浴びせる。


(魔術はMPをあんまり消費しないのがいいよな)


 魔法であれば既にMPが枯渇しているであろうと思われる量の魔法(威力は少し低いが)を大したMP消費のなく、撃つことができるのだ。


 便利なことこの上ない。


(極光は例外だが)


 更に魔術を撃ちこんでいき、合計十五発の魔術をミノタウロスに浴びせた。


 それなりに魔術を撃ちこんだと思った俺は、一旦魔術の発動を止める。


(どうなったかな)


 そう思っている間に砂塵が晴れ、ミノタウロスの身体が露になった。


(おお、ボロボロだな。だけど・・・)


 ミノタウロスの身体は満身創痍であった。


 思ったよりも効いていることから、先の戦いでも大量の魔術を撃っていれば、もしかしたら効果があったのかもしれない。


 間違いなく効いており、ミノタウロスはボロボロの状態だが、勝負は決していなかった。


(目から闘争心が消えていないな)


 両者に闘争の意思がある以上は、戦いが終わることはない。


 ミノタウロスの瞳はこちらを射貫かんばかりに見つめており、俺たちに殺意を浴びせている。


 闘気が一気に濃くなった瞬間、ミノタウロスの身体が一回り大きく膨張した。


(来るな)


 ドシンっと地面を蹴り上げ、ミノタウロスは巨体であることを感じさせない速さで、こちらとの間合いを詰めてくるのであった。





読んでいただき、ありがとうございます。

これからも投稿を続けていきますので、この作品をよろしくお願いいたします。

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