第百四十九話
佐々木ダンジョン第二十七階層を徘徊するモンスター、人喰いペリカンを攻略するため、再び探索を開始する。
人喰いペリカンは人すら餌にしてしまえるような、巨大なペリカンなわけだが、本当に強い。
(よくよく考えたら空を飛ぶだけでも厄介だからな)
人間は空を飛べない。魔術を駆使すれば、それも可能ではあるが、燃費が悪すぎて、今の魔力量でも、おいそれと使うことができないほどのモノだ。
(おかげでほとんど、特化した魔術を使う羽目になった)
鳥型のモンスターであれば、大体通用しそうだが、ダンジョン内の構造によっては通じない場合もありそうである。
この辺りは戦い方に慣れれば何とでもなりそうではあるが、過信しすぎるのは良くないだろう。
(そろそろか)
探知によれば、そろそろ会敵するタイミングである。
ヴァルには合図を送り、戦闘準備に入ってもらう。
既に一度手痛い目にあっているため、なかなかに気合が入っている。
目はギラギラと戦闘欲に濡れ、それでいて、動きは無駄なくスマートだ。
ヴァルは力が凄いが、その技術とセンスも抜群のものがある。
時折、その動きの鋭さは東雲の卓越した技を、連想させることもあるほどだ。
(先程は問題なかったが、今回はどうだ…)
先程の戦闘は完全に型に嵌めれた気がするが、二度目はどうなるのか。
俺の頬を汗が伝う。
ヴァルの守りがあるにしても、強敵との戦闘は緊張する。
「いくぞ」
三度目の人喰いペリカンとの邂逅、俺とヴァルは気合を入れつつ、前に出た。
「クエエエ」
グンと加速して、人喰いペリカンが距離を詰めてくる。
天上からここまでかなりの距離があると思えるが、その距離が一瞬にして詰まった。
「もんだいなし」
ヴァルは事も無げに人喰いペリカンを受け止める。
三度目の戦いということもあって、ヴァルの動きは完全に人喰いペリカンの動作に適応していた。
(あとは俺だな)
「【マジカル・ネット】」
ここ、というタイミングで、俺は魔術を発動する。
ちょうど、ヴァルが人喰いペリカンを押しのけたタイミングであり、両者の距離がいい感じに離れたタイミングであった。
「クエッ!?」
突然の拘束に、人喰いペリカンは驚き藻掻く。
強固な魔術の網は怪物サイズの巨鳥を完全に封じ込め、強さを無効化させる。
「俺がやる、【アイス・カタパルト】」
巨大な氷塊がいくつも形成され、人喰いペリカンに殺到する。
無防備な状況で攻撃を受けるしかない人喰いペリカンは、抵抗することすら許されず、容赦ない圧倒的な暴力に晒された。
「無惨だな」
理不尽なまでの魔術の暴力、行動を完全に封じられ、砲弾のごとき威力の攻撃を無数に浴びせられる。
絶望的な攻撃の組み合わせである。
そうして、【アイス・カタパルト】を撃ち続けていると、気付けば、人喰いペリカンは息絶えていた。
肉体は原型をとどめており、完全に潰れていないのは、人喰いペリカンの強度を如実に表している。
(上手くいったな…)
特に怪我もなく、人喰いペリカンを打倒することができたことに、俺はそっと胸をなでおろした。
(だが、ちょっとモヤモヤするな)
俺は少しすわりが悪い気分になりながら、戦闘による興奮が収まるのを待って、人喰いペリカンへと近づくのであった。
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