第百四十六話
モンスターの名称を〖人喰いペリカン〗に変更いたしました(2025/12/08)
佐々木ダンジョン第二十七階層は、これまでの階層と比べて、天井がかなり高くなっている。
三、四十メートルほどはあるように見えるが、それは、この階層に生息するモンスターに影響していた。
「”人喰いペリカン”なんて、物騒だよな」
この階層に住んでいるモンスターは人喰いペリカンという、大型の鳥型モンスターだ。
嘴は赤黒く、羽根は血のように赤い上、瞳の色は黄色という、なんとも禍々しい色彩をしている。
肝心のサイズであるが、翼を広げるとその大きさは六メートルほどになるため、本当に人間などは只の捕食対象でしかない。
小動物になったような気分になった俺は、警戒心を一層引き上げて、進んでいくと、普段は感じ取ることのない位置から気配を察知する。
(あんな所にいるのか)
角を曲がった先の天井付近から、巨大な気配を察知した。
大型のモンスターは気配がその分大きいが、感じ取る威圧感も大きくなるため、認識するだけで強い緊張感が生まれる。
俺はヴァルに奇襲への警戒をするように、合図を送った。
魔刀を抜き、魔術で身体能力を強化しつつ、ヴェルを先頭に慎重な足取りで進んでいく。
角を曲がり、その姿を視認した瞬間、赤い巨大な塊が一気に、こちらへと向かって飛んできた。
「ヴァル!」
衝撃音が響き、ヴァルが大盾ごと吹き飛ばされそうになる光景が目に映る。
なんとか足を床にめり込ませるようにして耐えているが、それでも耐えきったという表現が正しいように思えるほどに拮抗していた。
あのヴァルが正面からのそれも耐えるだけの状況で、吹き飛ばされそうになるのだ。
尋常ではない。
「【バインド】」
若干、飲まれそうになりながらも、俺は僅かに硬直した隙を逃さぬように、【バインド】を使って、人喰いペリカンを拘束しにかかる。
しかし、翼を広げ、魔力の蔦を弾き壊すと、悠々と空に舞い戻っていった。
(これは結構きついな)
前評判でも、人喰いペリカンは気をつけるべきモンスターとして、紹介されていた。
そもそも、オーガもそうであったが、あのモンスターは俺たちにとって相手にしやすい部類だったようである。
更に魔術で身体能力を大幅に強化し、瞬発力を一気に引き上げる。
次にターゲットとなったのは、俺だ。
瞬きする間に、赤い巨大な塊が一瞬にして、目の前にいる。
俺はそれを視界で捉えながら、なんとか躱した。
(さて、どうしたものか)
普段使うような遠距離魔術は、人喰いペリカンの動きが速すぎて当たる気がしない。
面で攻めるにしても、広い空間を自由に動ける鳥型のモンスター相手に有効に機能するとは思い難い。
(結構ヤバいか?)
俺は人喰いペリカンの一挙手一投足を逃さぬように、神経を尖らせながら、思考を巡らすのだった。
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