5/18
培われた身体能力
連れて行かれたのは、王宮のど真ん中。政務室だった。そして、私を連れてきた偉い人は、当たり前のように王の椅子に座った。
これで、もうこの人の正体は確定した。もし、違ったら相当のうつけ。……逆に勇者と呼べる。
私の視線に耐えられなかったのかその人は口を開いた。
「一応間違いが無いように聞いておくが……お前が倒したんだな?」
「はい」
「その身体能力はどのように培った?」
「厳しい環境で育ったので……」
それを嘘だろって顔をしている。そりゃそうですよね。
「私が育ったのは、王国の端っこ。ハージ村です」
「あの辺境のか!確かに、あそこは厳しい環境にあるな」
王様(ほぼ確定)は、「なるほど、なるほど。確かにあそこは、隣国に侵略されたり色々あるからな」と勝手に納得してくれた。
「よし、それでは褒美だが給料の半年分。金貨60枚」
そう言って渡された金貨入りの袋は60枚以上の重みがあった。込められた意志的に重かったわけでは無い。金貨が60枚以上入ってるということだ。
「あの……枚数間違えてませんか?」