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ステッラの心配

嫌がっていたのにステッラは率先して作戦を立てた。

「戦いたくないから作戦が必要になる。道理だろう?」


然りと頷きつつ俺は小槌に質問した。

「ジャックインザボックスが使役できる精霊は二体だけなんだな?」


「捕らえた精霊にも精を注入しなければいけないから二体が限界なの。そして攻撃する時は一回に一つの蓋しか開けられない。二体有していてもそれは変わらないの」


小槌は食堂で軽食を平らげた後のせいか若干眠そうな顔つきで言った。食事中もコソコソとした仕草で面をずらして食べていた。申し訳ないような気分になりなるべく見ないようにした。


「恐ろしく燃費が悪い能力だな。強力なのは確かだが精霊使いの命を湯水のように使っている事になる」ステッラはその先を言う事はなかった。


ーー放っておけば自滅するーー


きっと誰もがそう思った事だろう。

「助けてもらって何だが、あまり遅くなるとユユリの機嫌が悪くなる。今夜中に決着をつけたい」


俺はわがままだと承知の上で言った。役に立たないのならせめて悪役くらいはさせてもらおう。


「夜襲は基本だな。囮役と強襲役、捕縛担当はそれぞれ、カムイ、ジジ、ステッラで構わないか?」リュウシュウハは皆を見渡して言った。「私は皆がしくじった時のバックアップ担当になる」


それぞれの精霊の能力を鑑みた結果なので妥当であった。問題はーー。


「囮の役が一番危険だ。大丈夫か?」


俺は無言で頷いた。

リュウシュウハの気遣いは筋近いである。危険を省みず馳せ参じる皆と対等でいたいのならこれくらいは当然だ。何よりユユリは俺の精霊だ。


「そのアルエとかいう女はどんな子なんだ?」ステッラは小槌に訊いた。


「顔見知りではあるけれど、よく知らないの」申し訳なさげに彼女は言った。


少し年上で小槌が精霊使いになる頃には既に前線で活躍していたらしい。村にいる事がほとんど無く、たまに会っても一方的に会釈をする関係であると言う。


「ただ、会う度に顔色が悪くなるのは皆知っていたけれど口には出さなかったの」


性格は? というリュウシュウハの質問にもただ小槌は首を振るだけであった。


「まあ、ユユリを救うのが第一目的だしな」というステッラの言葉からより実践的な話になった。


「メデューサの一度目の攻撃はおそらく人間には通用しない。精霊限定の能力だ。二度目の蛇に関しては作戦がある」俺は用意した台詞を誦んじた。


「ユユリが攻撃したらどうするんだ‥‥」ステッラは心配気に呟いた。


「あいつは直線の攻撃しか出来ない。それに」俺は確証の無いまま気休めに近い事を言った。「ジャックインザボックスには致命的な弱点がある」




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