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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「ちょうど500文字の作品」集めました

作者: こみや みこ

血が苦手な方は、ご注意ください。

 

 正面玄関から、彼が入ってくる。



 予定の時間を30分過ぎているから?


 遠目で見てもわかるくらいに焦りの色が浮かんでいた。

 走ってきたのか息が上がっている。



 彼とともに、入ってきた秋の風。

 今日は朝から冷え込んでいる。


 大陸からの寒気が流れ込んでいるのだとか。


 室内とは言え、私もそろそろ半袖はやめておこうか。





 乱れる呼吸のまま、彼は鞄を弄る。




 ―――そんなに慌てなくても待ってあげるのに。


 ううん、やっぱり早く来て。




 彼と初めて会ったのは、1週間前。


 初めて来た場所に緊張していた彼は、その一歩を踏み出せなかった。



 でも、今日の彼は違う。



 一歩一歩確かな足取りで私の前まで来ると、頬を上気させ手を差し出した。




 私はその腕を引き、瞬時に縛り、針を立てた。

 彼の顔が歪む。



 この時を待っていた。やっと叶う。




 彼の腕から赤い血が流れ出る。



 ―――温かい。


 嗚呼、その血が私の指先に温もりをくれる。



 上手くいったわ。


 思わず笑みが零れる。


「あの…」



 針を勢いよく引き抜き圧迫すると、彼が息を飲んだ。







「終わりましたよ。検査結果が出ましたら2番の診察室から先生が呼んでくれますので、それまで待合で掛けてお待ちくださいね」



 私は急いで採血スピッツを検査室に運んだ。




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