謎の老人
「メイド風!!」「東洋のゴクツマ装備!」「プリンセス!!」「男装の麗人!!」「女海賊!」「怪盗装備じゃい!」「魔女っ娘!」「古代文明再現装備!」「ウサ耳!!」「エルフの種族衣装!!」「料理人!!」「魔王!!」
絶対的…熱狂ッ!!
テミスちゃんの装備品候補が次から次へと出てくる。
具体的に言うと、テミスちゃんが一回着替えをしている間に二・三の候補が増えていく感じ。
ここまで来るとファッションショー…フェスティバル?
諸悪の根源が言うのもなんだけど……流石にドン引きね。
「お姉ちゃ~ん…………」
モデルが過労死しかけてる。
「騒がしいの~。」
喧騒と鎧のぶつかり合う音の中、覇気の無い、気の抜けた声が聞こえた気がした。
ガヤガヤヤイノヤイノガ…………
特別大きくもないその声が聞こえた途端、道具街全体が死んだ様に静まり返った。
「おー…嬢ちゃん。
こんなのはどうかの~?」
鍛冶職人達が割れてテミスちゃんまで一本の道が出来る。
そこを歩くのは骨と皮ばかりの老人。
鍛冶達が屈強なのもあり、その姿が余計に細く、弱く見える。
しかし、それは文の表現だけの話。
その場に居ると解る。
そこには存在感と違和感が在る。
覇気の無い老人が持っている筈の無い存在感。威圧感がある。
「そんなごちゃごちゃしたの、着ててつかれんか~?」
老人に訊かれたテミスちゃんが少しだけ、遠慮がちに頷いた。
「これ…ウチのもんじゃけど、良かったら着てみんか~?」
そう言って皮張りした骨の手の中に在った赤いポンチョの様なものを手渡す。
フード付きの、鮮やかな赤い色のポンチョ。丁度テミスちゃんくらいの大きさの子どもの為の物だった。
「……………(ペコリ)」
テミスちゃんは御辞儀をすると試着室に駆けていった。
テミスちゃんが戻るまでに10秒と掛からなかった。
「これがいい(!)」
あまり積極的ではないテミスちゃんが、それでも力強く断言した。
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
テミスちゃんを見た…正確にはテミスちゃんの服を見た鍛冶がギョッとして口々に何かを言い出した。
「じゃあ、嬢ちゃん。嬢ちゃん用に直すから、付いてきてくれるかの~?」
割れた鍛冶達の道を、テミスちゃんを連れてフラフラと歩いていく。
「お~。嬢ちゃんも来んのか~。」
「あ、行きます。」
老人が背を向けて歩いていった。
赤いポンチョ!(語彙消滅)




